暗刻
歩く音がする
歩く音だけが聞こえる
暗闇を進む音がする
暗闇を進む音だけが聞こえる
こつ、こつ、こつ
こつ、こつ、こつ
こつ、こつ、こつ
私の背中に鉄の壁が在るのだろうか
それ以上後ろには進めない
私の背中には崖が在るのだろうか
それ以上先には進めない
押し寄せる恐怖があるというのに
もはや、この身この心は
石のように動かない
走馬灯に閉じ込められて
葛藤に苛まれる
罪だとか
罰だとか
いろいろと
考え込んでは
否定していく
引き伸ばされた時間
滴り落ちる汗
波立つこころ
言葉にならず歯をならす
後悔が、泡となってどこかへ浮き上がる
なおも近付く
音が在る
暗闇を刻む
音が居る
軽やかに
荘厳に
厳戒に
緩やかに
刻み来るそれは
神か、悪魔か・・・
わたしだけに当てられた一筋の光
わたしだけが見られ
観察されている
近付いてくる
あぁ、近付いてくる
足音が
足音が
大きく、大きく、大きく
そして、止まる
目の前に止まる
けれども
何も見えない
何もいない
目を閉じても同じ暗闇
ならば
開いてみよう
ゆっくりと
ゆっくりと・・・
真面目に見つめる君が居た
白いタクシードに包まれる
あなたがいた
ヴェールをそっと持ち上げる
貴方が居た
見渡せば
祝福された鐘が響き
気が付けば重なる愛が在る
ときめけば
永遠の誓いを読み上げて
こみあげる不安全てが
喜びの太陽に掻き消される
思考は止まり
試考は砕けた
居場所がそこに存在し
こころも
からだも
軽いものになっていた
by幻想師キケロw