古流
新しい物ばかりに目が行って
古いものを捨ててきた
新しい物ばかりを追いかけて
古いものを振り切ってきた
いざそれが崩れ去った世界
何もできず
不便で
不憫で
理不尽だと愚痴ばかりが
零れた
新しいものが
消滅した世界は
大波の背中に在った
古いものも
捨ててしまったから
手元にすらない
文字通り
ゼロ
如何に幸せな時間を過ごしていたのかが
解った瞬間だった
不安だらけで
不貞腐れる
不安だらけで
蹲る
更地なった場所で
過去が笑って走り去る
こんな筈じゃなかった
そんな途方に暮れる中
一本の鍬で
土を起こして草を抜く君
馬鹿にして
蔑んだ
男の子
まるで不変
まるで普通
この状況にあっても
なんてことが無い
どうしてなのか
単純、古風で古流な背中が答え
むかつくくらい
そうなのだ
いくつもの気に入らない想いが
罵声となって飛び掛かっても
振り返っては無視をした
黙々と何かを取り続け
汗を、落とし
湯気をまとっていた
叫び疲れて
その場に塞ぎ込む
黙って土が切り刻まれる音を聞く
大嫌いな男の子
大嫌いな男子
質素素朴
格好つけるわけでもなく
何もしない
そんな人が
誰よりも頑丈で
誰よりも地に足を付けて
今、眼の前に立っている
夕暮れに伸びた影だけを見て
生まれて初めて
格好良いという一つの例を眺めた
by幻想師キケロw
流行に乗っても呑まれるな
かと言って
乗らない石を踏みつけても、馬鹿にはするな
動かないのは
それだけ何かかしらに強いということだから
いつか
その強さに気が付いた時
あなたはきっと
その背中を追いかけるだろう