生還
死んでもよかったんだ
むしろ、死にたかったんだ
おもむろに取り出した
拳銃に
諦めを込めて
知らない誰かに押し付けた
あっちでもこっちでも
必死に駆けている
泣いているもの
絶望するものの横を過ぎて
何のために戦うかを考える
それが、無意味だと悟った瞬間
私の体には
立ち上がり
歩き出す力は、無かった
貫いた痛み
心地よさを覚えた
狭くなる視界に
喜びすら芽生えた
けれども
けれども・・・
目覚めてしまった
見慣れた友の顔
見慣れた親の顔
見慣れた妻、そして子の顔
なぜか、新鮮で
なぜか、涙が溢れた
生きていることに
ここまで感謝することはもう二度とないだろう
生還したことに
ここまで満足することは、もう二度と無いだろう
声にならない想い
表しきれない想い
そのすべてが涙に灯る
二度と離さないと拳を握り
二度と離れないと抱き合った
そして、潤んだ天井を見上げ
なんども
なんども、神様というものに
ありがとうと言ったんだ・・・
by幻想師キケロw