ひとつ、ひとつ | 梟霊のブログ

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適当に詩をUPします。
評価に、興味なし
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山菜大好き
ハーブ大好き
とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

ひとつ、ひとつ




苦しかったら死ねばいい
痛かったら死ねばいい
その父の言葉が背中にある
私が我儘を言ったとき
鋭くとがった視線と
雷のような声で
そのセリフを
なんど言ったことだろう
当時は、理解すら出来ない
なんと理不尽なことを言うのかと
幾度となく反発したものだ
だが、今は違う
私は、いつでも崖を目前に生きている
私は、いつでも死を選べる場所に居る
その一瞬を迎えるには
あまりにも簡単すぎて
あまりにもつまらない
それが私を、どこまでも生かしている
まだ見ていないこと
知らないこと
ひとつ、ひとつ
確かめながら
この崖の外を眺めているのだ
そこには
愛だの
恋だの
慈悲だの
素晴らしいものは何一つない
無情なまでに現実で
夢すら許されない事実が広がっている

時折、駆け上ってくる風が
私を押し戻すたびに
考える
逃げ道は、決して塞がることはない
いつでもその扉は開いているのだ
それを知っている振りをして
飛び込む人々は
いったい何につまずいたのだろう
そこに橋の幻想でも見ていたのだろうか・・・
あの頃より、こけた父に
私は、言った
苦しくとも、生き続けること
痛くとも、生き続けるのはなぜだ
父は、弱った背中に
魂を燃やして
応えた
一瞬の笑顔を見るためさ
いったい何を言っているのか
私には、理解できない
ただ、なんとなく
なんとなく
見えた気がした
反発は無かった
どことなく頷いて
父の言葉を
胸に刻む
一瞬の笑顔
それを見るために
また、生きてみようと・・・









by幻想師キケロw