この胸に
じわり
じわりと
汗がにじむ
今日もまた仕事だ
近くの建設現場からは
金属を叩き付ける音
重機の駆動音が
とめどなく流れ込んでくる
背中の田畑からは
肩掛けの草刈機が
暑さにもめげずに回っている
私は
顔を泥だらけにして
鍬を握る
トマトやオクラなんてものを
傍らの笊に乗せて
せっせと
せっせと
土を返す
人の手だもの
ときどき
こころが折れそうになるさ
だけど
めげねぇど
まげねぇど
小声に出して
突き立てる爽快な音
あぁ、日長一日・・・
でも本当は短く過ごしているもんさ
木陰で休む昼間時
笊に乗せた野菜に
塩、ぶっかけてかぶり付いた
ぬるくなっても
うめぇのは
どうしてだろうな
自転車に乗った若い者の
賑やかさが輝き
青々とした遠くの山に
鳴き始めた蝉
ざわめく木々のささやきに
うつら、うつろと
首を揺らした
茣蓙の上
食いかけの握り飯を
急いで頬張って
身体を寝かす
大きな、吐息と共に
寝過ごして飛び起きた
二周り後の午後のこと
のっそり立ち上がり
鍬を持つ
すれ違う友人に手を振った
立ち止まるご近所さんと
居野畑会議
見知らぬ他人と意見を交わし
気がつけば
蜩の時雨
遠くで呆れ顔の太陽
空を染め
山を染め
私を、紅く、染めて
手を降り始めれば
影は、道を歩き
家を目指している
泥ダラケの手ぬぐいで
顔を拭い
この胸に落ちた汗を
笑った
舞い始めた蛍と共に
by幻想師キケロw