帰らない黒猫
(′・ω・)第八話、猫に戸惑う猫(そのじゅういち)
もぞもぞと、蠢くそれには何が起こったのか理解できていないらしい。高くなったり低くなったりするものの、その場から差ほど動こうとはしない。恐る恐る、そのふくらみに私は近づき、左右の前足で、ちょん、ちょちょんと交互に触れてみる。
「フー!!」
「?????」
何度か触れていた。あっちにふらふら、こっちにふらふら。そうのうち、この中から聞き覚えのある怒声が上がった。まさか、私の頭の中には、あの光景以外浮かばなかった。それを確かめるべく、私は意を決して最後のタオルを引っ張った。同時に、後ろへ再び飛んだ。後、閉じた瞳を恐る恐る開いた。目の前に出てきたものは、黒く長い毛並みのそれでいて瞳の色が左右に違う子猫だった。拍子抜けである。学校のときの子猫は、もうちょい毛が短かったような無かったような。瞳の色は左右に同じだったはず。子猫は、キョトンと座り込み、あたりをまじまじと見渡している。やがて、私のほうに気が付くと、鼻をスンスンと多少荒げに鳴らして、じわりじわりと近寄ってきた。はて、この場合私はどうすればよいのだ。近づいてくる子猫の顔。彼女を見ても、まだ悩んでいる。どうしたらよいのか、考えすら浮かばない。とりあえず、前足で、子猫の頭を押さえた。もぞもぞと動いてまたこちらへ向かってくる。今度は反対の前足で押さえた。どうしたらよいか、どうすればよいか・・・。すると突然。
「こーら、黒ちゃん!ちびたをいじめちゃダメでしょ!?」
首根っこをつかまれ持ち上げられた。彼女の、今にも笑い出しそうなのを我慢している顔が目の前に広がり、やがて、ぎゅっと抱きしめられた。
「!?く、くるしい・・・・!」
「もう、おんなじ猫にしかも子供を怖がってどうするのよ。ねー?ちびた。猫に戸惑う猫なんて聞いたことも無いわ?黒ちゃん。ちゃんと教育できるのかしらホンと。」
「どうでもいいが離してくれ!くるしいぃ!」【フー、ミャオー!】
「こーら!逃げない!!さぁ、ちゃんとあいさつしましょうねぇ~・・・ー」
それから、かれこれ一時間ほど、延々と話を聞く羽目になる。料理は、どうなったかだって?そんなもの、火をつけたのも忘れているわけだから、言う必要など無いだろう。
「おかーさーん、ただいまぁーって!?何この臭い!!なんか焦がした!?」
「あらやだ、黒ちゃん2号と遊んでたら忘れてたわ?」
「どうでもいいから早く換気しないと!お兄が帰ってきちゃう!また怒られるよ!?」
「そ、そうね。急ぎましょう。」
そうして、ようやく開放されたが、なぜか、私を含めた3匹が彼に説教されることとなった。理不尽である。