帰らない黒猫 | 梟霊のブログ

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帰らない黒猫
(′・ω・)第五話、不機嫌な猫(そのろく)
 
 
 
 
 
 
「やだ・・・、この猫怖い。何で急に不機嫌になるの?」
私は、はっとした。そういえば引っ掻いていたのだった。弥勒の膝の上にチョンと座り、三点で体を支え、左の前足を持ち上げていたのだ。なにげに、懐かしかったものだからついつい夢中になっていた。今までなかったはずの爪ですっかり力の加減が解らなくなっていたからな。しょうがないといえばしょうがない。
「リコ、御前可愛いものになると、強く締め付けるからな。如何に胸があるからといっても、まだ、そのあれだから。猫にとっては痛かったのだろう。許してやれ。」
私は、妹と彼を交互に見ていた。知っているぞ?これは英語とやらでやっていた。ふぉろうと言うやつだ。つまりは、弥勒がこの私のために弁解してくれているということだ。少しばかり、顔がにやけてしまった。
「あー!!おにぃ!今の見た!?すっごい嫌味な顔してた!!!だから、引っ掻いたのだって絶対わざとだよ!」
どうやら、その顔を見られたらしく。また、タイミングも悪かったのだろう。妹の顔が、見る見る膨らんで紅くなった。彼は、面倒くさそうに頭を掻いて、私の頭にポンと手を載せた。無言のまま、暫くするとそれを右へ左へ。私の自慢の耳を巻き込んで動かした。む、少しばかり心地よい。やがて、膝の上に、四肢を折りたたみ、顎まで乗せて目を閉じた。それからは、喉を鳴らしつつ、聴くだけに徹した。
「な?これ見れば解るだろ?判るよな?リコ。俺には、爪を立てこない。と言うことは、びっくりして、逃げようとして爪を立てた。と、考えられないか?。」
「むぅーーーーー!違うもん!絶対わざとだもん!胸だってちゃんとあるから、痛いはずないもん!!」
「いや、柔らかすぎて圧苦しかったんじゃないか?ククッ・・・。」
「あー!!今の顔、猫と同じ!!おにぃも私のこと馬鹿にして楽しんでるでしょ!!!」
「日ごろの行いが行いだからな。あーあの時のタックルは痛かったなー。」
「あらなに?リコったらそんなことしてたの?」
「そうだよー。かーさん。酷いとおもわね?」
「ちょ!?母さん、違うの!これはその!」
「どう違うんだよ。勝手に入り込んで布団めちゃくちゃにして。」
「え?そんなことまでしてるの?」
「あぁ、母さんが甘やかすから。」
「あらなに?私のせい?」
「ちょっと!おにぃ!ね?母さん。違うからね?たまたま脅かそうとして、その、えと・・・とにかくちがうってばぁあああああああ!!もう!!」
「おいおい、かぁいい。妹に対してそれはねーぜ。お兄さんよぉ・・・。」
「は?」
「とーさん!父さんは信じてくれるよね?ね!?。」
「応!あったぼうよ!要するにその猫を叩き出してしまえばいいだな!?」
『・・・・・・・・。』(違うし。)【父以外一同】
「さぁ!かっちゃん!その猫を渡してもらおう。」
「!?。おいおい、正気か御前!」
「かっちゃん!!父親に向かってお前はないだろう!さ!その薄汚い猫をこっちへ!!」
「・・・・・、父さんそれはないよ。」
「あなた、いい加減にしてください?怒りますよ?」
「母さん・・・、そう睨み付けんなよ・・・。一種の躾なんだから・・・。」
「そのゴルフのドライバーを使うことのどこが躾になるんだよ!妹よりひでぇ虐待じゃねーか!!!」
「ちょ!おにぃ!!私その子いじめてない!!変なこと言わないで!」
「おー、よしよし。リコは何もしてないぞー?悪いのは、この大黒柱の許可もなく居候するこの不届きな猫だ!」
「おいおい・・・マジかよ・・・」
「さぁ~お仕置きしちゃうぞーーーーー♪」
さすがに、目を閉じているだけでは、無理のようだ。心地のよい手も、止まってしまえば重い肉塊。顎を、ひざにつけているせいか、なおのこと息苦しい。それよりも、目を開いたその先に奴が居た、その時点で一気に不機嫌になる。
「えぇい!!うるさいわっぱ共だ!!」
頭をずらし、手をどけた。体を起こし、ふるふると背伸びした。そこから大声で叫び。彼の父親を睨み付けた。
「な、なんだよ。急に・・・不機嫌な猫め・・・。お、お父さんは悪くないぞー?」
さすがの父親でも、急に声を上げたものだから、腰を引かしているのか。それとも、本当はただの小心者なのか。むしろ、そのどらいばーとやらを振り回せば、皿やらなにやら壊してしまうことにも気がつかない馬鹿なのか。一歩、一歩。ゆっくり近づきながら、頭を低くし、上目で、ぎろぎろと様子を窺った。
「はーいそこまでぇ~。」
間の抜けた声が、私と奴の間に割り込んできた。私は、その声の主に持ち上げられ、奴は妙に青ざめた顔をしてそわそわと目を合わせないようにしていた。私は、どれほど怖い顔をしているかと思い、ぐっと顎を上げてそれを覗き込んだ。笑顔だった。さほど怖いという感覚はない。だがしかし、奴の怯えよう。不思議なこともあるものだと、首をかしげた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
by幻想師キケロw