星となりて流れ行く
まっさらな大地に夜を告げる虫の歌声
遠くの山の陰に
花開く雷光を見つけた
届くことのない叫びが
聞こえるはずのないあの時の
衝撃となって
目の前を行き来する
今と過去を
見たくないと閉じた
その目蓋の奥底から
するりと流れ出た涙は
終ったはずの
許したはずの
事象への恨みを返り咲かせた
考えとは裏腹に動き出すそれは
まるで不快な虫でも見ているかのように
気持ち悪い
この胸の鼓動の奥で
ずるずると蠢き
いつしか
囁き始めた
憎め、憎め、憎め
と・・・・
深い深い闇に、月が隠れてしまうように
夢で輝く
僕自身が
不安に隠されていく
どこから流れてくるのか
どこから湧き出ているのか
判らず
もがくこともできず
ただ、諦めず輝くしかなかった
透通った瞳を失って
世界が
とてもとてもつまらなくなってしまった
あの囁きは
楽になれと
憎らしい笑いを
脳裏まで響かせる
少しずつ
少しずつ
あの綺麗な円から
欠け始めていた
うつむくことが増えて
大地の温もりが恋しく
僕は、あの星になりたいと
思い始めた
腕を見つめたこともあった
適度な樹木の枝を捜すこともあった
安らかな薬でさえ
手を誘っているように思えた
天に近い岩の上に座ることもあった
けれども
どれも違う気がして
違う気がして
そこから先へ進むことができなかった
時間だけが過ぎていく
僕はあの雲のように流れているだけ
考えることもやめて
求めることもやめて
こころをここと空の狭間と同じ色に変えた
それから
それから・・・・
天国が降りてきたかのように
再び世界が輝きだしたんだ
揺れ動くこの星の鼓動が聞こえる
太陽の強さ、優しさ
夜空の儚さ
営みと呼ばれるすべてが
捨てかけた命へ
呼びかける
生きよう
生きろ
生きて
と・・・
そうか
何かに気がついた
空ばかりを見上げていたから
気がつかなかった
僕は、星の上に生きている
と言うことに
あの月よりも近く
あの太陽よりも優しい
大きな大きな揺り籠
地球と言う星
当たり前のはずの
今このときが
ものすごく偉大で
ものすごく奇跡に感じてしまう
取り戻した輝きは
一層強くこの瞳を輝かせ
感じさせる
あぁ僕は
星となりて流れ行く
あぁ、僕は
星となりて流れ行く
この命
この言葉
この運命が
星の一部
だから
僕らは
この星と共に
宇宙を旅しているんだ
世界が変わるって
このことをいうのだろうかと
虫が寝静まる
明日の始まりへ
問いかけて
黙り込んだ・・・
by幻想師キケロw