向かうは大学時代に通っていた
オレンジ色の電車にて
降りなれた駅で改札は通らず
乗り換えをして東京方面へ向かう
ここは学生時代にギターの弾き方を
教えてくれた友人の住んでいた駅
懐かしい…
まだ住んでるだろうか…
ラインの友だちには登録されていたが
十年以上連絡も何もしていなかった
とにかくモテようとして
演奏できるように教えてもらったが
けっきょくフラレたあとに
ギターじゃなく顔だったんだと
浅はかな
あまい幻想に取り憑かれていたと
我にかえったことにより
ホコリを被ってしまった
あのアコギのように
昔の友人との繋がりも
遠い過去の記憶となってしまった
だが今日は感傷に浸っているときではない
わたしにとって
かけがえのない一日になるからだ
ガラガラと
衣装の入ったキャリーケースを転ばせながら
わたしは目的地の場所へ向かった