「Toshishun」(杜子春) | こだわりのつっこみ

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素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

レベル:中学2~3年生レベルで、数時間で読めると思います。


ジャンル:ヒューマン


あらすじ(背表紙から):

唐の都に暮らす若者、杜子春は一文無し。
ある日の夕方、不思議な老人と出会い、仙人の道をめざして旅に出た杜子春は、人間にとって財宝や仙力よりも大切なものを身をもって学ぶこととなる。

面白さ:★★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。













杜子春 (洋販ラダーシリーズ)/芥川 龍之介
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内容:

ある春の午後、かつては金持ちだった杜子春は、洛陽の西門近くで空を見上げていました。すると、不思議な老人が現れ穴を掘ったら金持ちになる、と杜子春に告げ忽然と姿を消します。
杜子春は半信半疑ながらも掘ってみると、大金が埋まっていたのでした。

さて、金持ちになった杜子春のもとには、かつて貧乏だった杜子春には目を向けなかった「友人」たちが毎日集い、宴が催され、結局3年後には金を使いはたして元の木阿弥。
すると、あの時と同じように杜子春の前に老人が現れ、同じようなことを告げ、同じ事をし、同じように金が埋まっていました。

3年後、同じように金を使い果たした杜子春が再び洛陽の西門近くでたたずんでいると、またあの老人が。
でも、杜子春は、金があると群がり、なくなると去っていく「人間」に疲れた、もう金は要らないと老人に言います。そして、老人に対し「あなたは仙人ですよね?私も仙人になりたい。」とお願いをします。

老人は、杜子春とともに竹の棒で峨眉山へ飛び、杜子春に向かって「仙人になりたくば、私が留守をしている間何があっても口をきくな」と注文。
仙人が出かけた後、虎などが登場するも杜子春は仙人の言いつけをまもります。
しかし、言い寄ってきた悪魔にも口をきかなかったばかりに、槍で刺されて死んでしまいます。

さて、地獄の閻魔大王のもとに連れて行かれ、そこでも口をきくように言われる杜子春ですが、仙人の言いつけを守り通します。
業を煮やした閻魔大王は、姿は馬のようだが人間の顔を持つ魂を2つ連れてきます。
なんとその人間の顔こそ、父親と母親だったのです。
その2人に対し閻魔大王は部下に命じて鞭打たせる。
杜子春は、いつでも自分のことを守ってくれていた母を思い出し、つい「お母さん!」と声を出してしまうのでした。

さて、杜子春が気づくと、そこは洛陽の西門。
仙人が杜子春に話しかけます。
「母親が鞭を打たれているあの場面で、おまえが何も言わなかったら、私がおまえを殺していたよ」と。
「何かほしいものはないか?」と聞く仙人に対し、杜子春は「何もいらない。簡素な生活でも、良いと思える生活ができれば」と返答。

すると仙人、別れ際に、
「その心持ちを忘れるな。そういえば、泰山に小さな家がある。周りの庭と合わせておまえにあげよう。今年は桃の花が咲き乱れているぞ。」と言うのでした。


感想:
 
芥川龍之介の作品は恥ずかしながらほぼ読んだことがないです。
なんかあの格調が高く、まったく隙のない完成された短編に、馴染めないというか敷居が高いというか。
例えるなら顔が整いすぎて、スリムなモデルに色気を感じないのと似ているとでもいいましょうか。。。

ただ、英語の勉強を兼ねて、ということで今回初の洋販ラダーシリーズビックリマーク

面白かったです、仙人いい味出してますね~。さすが仙人。
杜子春も経験を通して、財力も、人並みはずれた超能力もいらない、自然とともに簡素であっても普通な生活がしたいという境地に達しました。
私なぞはまだ財力欲しい段階でとどまっていますがあせる