- GAME/Perfume
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作曲者:中田ヤスタカ
編曲者:中田ヤスタカ
概要:2008年に発表された、Perfume初のオリジナルアルバム『GAME』内の9曲目。シングル曲ではないものの、コマーシャルのタイアップソングとなり、Perfumeの認知度を広める一要因ともなりました。
色:黒の中のキラキラ。
場面:都会を歩きながら聴く。
展開:前奏-A(サビ)-B-A-間奏-B-A-A-後奏
キーワード:構成が簡単でも、アレンジで飽きさせないのだ!
総論:
Perfumeはポリリズムから知ったという新参ファンなのですが、『GAME』というアルバムはベストアルバムじゃないのか?と思えるほどに素晴らしい楽曲が多い。
そんな中でこのシークレットシークレットは、作りとしては単純なほうなのだと思います。メロディとサビだけで構成されていて、楽器のソロも、展開部もありません。
しかし、よく聴くと単純な構成とは裏腹に、その中でやっていることは非常に技巧的で、変化に富むものなのです
Perfumeを含め、中田ヤスタカさんの楽曲はシンセサイザーや電子音が頻繁に使われているのですが、しかし、これのみにあらず!むしろ電子音と生の楽器の音を効果的に使っているので、まったく無機質な感じに聞こえないのだと思います。例えば同じ『GAME』に収録されているシングル曲、「Baby cruising Love」は分かりやすく生のピアノと電子音やヴォコーダー処理された3人の歌声がうまくマッチして、それはそれは感涙物の作品なのです。
このシークレットシークレットももちろん例外ではなく、ところどころで生の音を入れることでアクセントとなっています。そういったアレンジの妙を楽しんでいます。
そして、「生音と電子音」というアレンジだけではなく、歌手であるPerfumeの3人の声やハモリでも、アレンジや遊び心があるのです。
ただし、毎回毎回、アレンジを変えればいいってもんじゃないと思うんです。アレンジを変えに変えてしまうことで、「カッコいいんだけどなんだか落ち着かないなぁ」っていう気分が出てきてしまいます。
ところどころ同じアレンジにすることでそれを解消させ、さらにラストサビなんかでチョロっとアレンジを変えられたりするとイチコロになってしまうのです。
この曲もそういう風な意味で、イチコロになります。
つっこみ:
前奏
なにが始まるのかなと思えるような不思議な「ランラン」で始まるこの曲。ピアノやハープなどの生音に乗りながら進んでいきますが、それを壊すような電子音が「ブリブリ」っと入ってきます。その電子音につられて機械的な音で透き通った音のメロディから前奏が始まります。
そしてサビにかぶる感じで、ハープが見事に挿入。このハープの音色、彼女たちの7thシングル「love the world」でも効果的に使われるのですが、それはまた別の機会に!
にしても、中田さんはハープが好きなんでしょうかね~。
1番 A(サビ)
サビでは生音はほとんど聞かれず、声と電子音とで押しています。
Perfumeは当然、3人のメンバーなのですが、実は色んなところでハモってます。しかも「あ~、いいハモリだなぁ」って分かりやすいものもあれば、目を閉じてじっくり聴いてみると「あれ、これハモってない!?」と気付くようなものまであり、「3人」という特性を十分に生かしているんだなと思うのです。これもアレンジの妙でしょうか。
このサビ部分も、ハモリは部分的に入っています。「ほんとうの~」の部分と「ななめ~」の部分。そして同じメロディの「足りないよ~」と「最高~」の部分。
そして、気になるところをあと一つ。それはベースさんです。
「足りないよ~」と歌い出す0:57付近、ベースが前のめって出てきているんです。
これは同様に2番のサビでも聴かれるのですが、これがなんともいえぬ違和感と言うか、気になります

1番 B
サビが終って、Bパートに入る前の小休止のような部分、静かになったなと思ったら、ここでハープやピアノの生音がポロンポロンと奏でます。
これによって、視覚的に言えば場面が変わったんだなと思えるようなことを音楽でやっているように思います。
さらには曲が始まった時の様に、また電子音の「ブリブリ」が生音を邪魔して入ってきます。そこで、「あぁ歌が始まるな」ということが、なんとなく分かるようなしくみになっていると思うのです。
B部分は基本的に電子音とベースが主体となっています。
ここでまた気になるところが。おそらくのっちの声でしょうか?
1:40あたりで「せつなーい」と伸ばしているのですが、聴き様によって
「せつなぁぁぁぁぁぁぁぁあああい」と伸ばしが異常に長いことと、電子処理されているのです。
もうこれは
中田さんの遊び心か
と思えて仕方ありません。2番 A(サビ)
ここも基本的には1番でつっこんだように、電子音ブリブリ、部分ハモり、ベースの前のめりは健在。アレンジはほとんど変わっていないような気がします。
2番 B
さきほどのBにはいる前の小休止が中休止くらいの長さになって、声の面でも冒頭の「ランラン」がプラスされています。
3:02付近「いつも~」からはドラムが消えます。
「おやっ」
と思ったら
3:08付近「気付かない~」からはバスドラムが現れてドンドンという4分音符刻み。
「あぁ」
と少し安心
3:14サビに入る直前、ふっと今までブリブリしていた電子音が消え、極端に音色が薄くなります。
「あらっ」
と急に寂しくなる、と思いきや、
最後の2連続サビでこれでもかの盛り上がりを見せてくれるのです。
ラスト前 A(サビ)
この部分で一番気になったのは、前のめりベースが消えたということ。
「あぁ、違和感が消えた」と安心。
ラストサビ A(サビ)
ここでも前のめりベースが消えています。心地いい。
そして、ラストのサビで締めるのに追加されたアレンジは、声が大きくなる+ハモリが増えている、ということです。
さっきまで部分ハモリだったのに、
「ほんとう~」から、最後の「シークレット」まで絶え間なくハモっています。しかもこのハモりただ増えただけでなく、すごくすごく美しいんです。特に、3:48付近「キラキラで」のところ!
何回も繰り返し聴いてしまいます

余談:
Perfumeのダンスは、数えるほどしか見たことがありませんが、それでもそのキレのよさは分かりました。
総じて、キレのあるダンスには電子音が合うのかもしれません。もちろん、社交ダンスや舞踊などは別にして。
それは、生の楽器は鳴らすとどうしても余韻とかエコーが響いてしまうというのに対し、電子音は余韻なく鳴らすことができるから、というのが一つの要因になっている気がします。
だから、Perfumeの中でも比較的生音が響いている「マカロニ」なんかをキレているダンスで表現してしまうと、変な違和感が出てきてしまうんじゃないかなぁとふと感じました。
この「シークレットシークレット」はそういう意味で生音の良さと、電子音の良さが巧く組み合わさっているのだと思いました。