「サイドカーに犬」 | こだわりのつっこみ

こだわりのつっこみ

素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

長嶋有の小説、『サイドカーに犬』の映画版です。
小説のレビューやあらすじはこちら からどうぞ。

以下、ネタバレを含みますので嫌な方は見ないでください。




サイドカーに犬 [DVD]/ポニーキャニオン
¥4,935
Amazon.co.jp

















やっぱり、これは原作よりも映画の方がよかったと思います。

冒頭からずいぶん設定が変わっています。いい意味で。

洋子が教えた味、コーラを何度も飲むシーンがあったり、なによりも主人公である小4の薫と、父親の愛人洋子の絡みが多かったりするので非常に面白いです。

特に、最初から薫も自転車にのるシーンが多く、同じく自転車で颯爽とやってくる洋子との一体性があり、そもそも薫に自転車の乗り方を教えるのが洋子ということになっています。
さらには映画オリジナルのストーリーが後半に展開されていきます。
それは、洋子が薫を誘って、父親から受け取った手切れ金を手に、旅行に出かけるのです。
この部分、洋子は薫と友達であっても、決して母親にはなれないことがはっきりとします。また、洋子はかつて薫のようなオクテな少女だったことなどの共通点が浮き彫りになり、このことが2人の別れを観ている方に感じさせる。
それにしても、宿泊先の温水さんと樹木希林さんの演技、よかった!!

父親と洋子さんの関係も深くていいです。
父の新しい仕事を否定する母親、励ます洋子。しかし、洋子は逆に父親に三行半(結婚してないですが)を突きつけられた格好となり、その手切れ金が薫との旅行につながる。

弱い父親、優しい父親、しかしなにかを隠しているような不審な父親。
とにかく惚れちゃいけない男。でも、逮捕されないんですね、それはよかった。
最後の方、薫が父親に向けてのパンチ。これは寡黙だった薫が感情的に父親にぶつかる(しかもおそらく色んな感情の発露から)というシーンで、薫と父親の関係が全て表現されていると思います。

ただ、映画にしたことでの「・・・」な点も。
まず第一に時代設定がよく分からないということ。20年前というだけあって、テレビでは江川が現役でピッチャーしてるし、車も割と古いものを登場させているのですが、服、舞台が(スーパーマーケットなんて、そのまんま)現代っぽく、そうなると「麦チョコ」というレトロなお菓子の時代感が伝わってこないんですよ。

あと、音楽もよく分かりません
清志郎の歌はいいんです。カッコいいです。
でも、それ以外に流れる、BGMとしてのあのチンドン屋のような曲はなんなんでしょう?

あとはまあ、個人的に竹内結子の演技がさほど心に留まらなかったことかな。
パンケーキを食べながら泣くとこはいいんですが、、、

しかし、子供と子供、おとなとおとな、子供とおとなの世界の描写がとても面白かったと思いますニコニコ



ストーリー★★☆
配役★★(主役の子、樹木希林は素敵です)
音楽
オープニング★★