どうも( ^_^)/
活火山に関しては書かないと決めた者です。
何をいってるのか分からない人は分からないままで大丈夫です。分かる人はここで「へへっ」と笑って済ませてください。
これまでのメッセージを超えようとしているアルバムだと思いました。
仏陀が「悟りを開きたいあまりに苦行ばかり課すのは遊んでるのと変わりない」と言ったように、優しさを内にも向けようとしています。
それを踏まえて、8曲、聴いて行きましょう。
それでも世界が続くなら
僕は君に会えない
01.ライフ/アフターライフ
最初に聴いて思ったことは「ベースの音が深いなぁ」でした。
車の中などで聴いてみると、ステアリングがビリビリするほどの深く、ノイズになる寸前の周波数まで拾っているかのような音に惹かれました。
もともと、このバンドのベースは音の出し方がいいなと思ってましたが、今作でひとつ、到達しましたね。
この曲について、テーマは「自尊/自愛/自分を許す」あたりでしょうか。
いつかは「がんばったね」って 自分を許すことができるかな
逆説的ですが、自分を許せないのは、許すほどの罪を犯しているわけでもないからだと思います。
何も悪いことをしていないのに、この世界に存在していることが許されないような気がしてしまう。「死にたい」ではなく「死ななきゃいけない」と思っている。理不尽な死刑宣告に納得がいかない。
いつしかそんな理不尽を内面化し、自家中毒に陥ってしまった“ライフ”を≪叩き壊したスマートフォン≫という非常に現代的な喝を感じさせる所作で一旦ぶち壊した。
そこから始まる“アフターライフ”が、どうか楽しみと喜びに満ちた―――いや、ただ今よりも少しは苦痛の少ない生であればいいなと語る、祈りの歌なのかもしれません。
02.タイムトラベラー
それでも世界が続くならの歌詞における“笑顔”が、ポジティブな意味で使われることはほぼありません。
だいたいにおいて、笑顔は奥底の悲しみから目を逸らし、他者に「迷惑をかけない」ために使う理性的な道具であり、腹の底から自然発生する感情を殺す凶器として扱われます。
でもこの曲は、笑い合うことを肯定する。理由もなく、理解もいらないから≪笑ってやろうぜ≫と歌われます。
そして、泣くことをやめなくてもいいとも歌われます。バンド史上最上級に優しい歌なんじゃないでしょうか。
バンドサウンドの真骨頂たる、じんわりと瞳に沁みてくる涙のようなリバーブギターの使いどころが素晴らしく素晴らしいです。
03.生活と自粛
踊れないファンクといった趣きの曲です。それでも世界が続くならは土台はダンサブルな曲も直立不動で聴かせるところがあります。
生きてくだけでこんなんで 死んでいくことも困難で
こんなにちゃんと韻も踏んでるのに、「そんなことよりこのグルーブをちゃんと聴かなくちゃ」って気にさせる、稀有なアンサンブル力を持ってます。
こちらでも、自分を許すことが出てきます。
せっかく生活も止まったんだから、自責や自傷も自粛してみたらどうかな? というメッセージではないかと思いました。
04.遺書
“遺書”ってタイトルの曲がここまで作られていなかったのが意外です。「そういえば無かったね」ってなりました。
歌詞に出てくる“君”が遺した言葉なのか、はたまた、まるでラブレターのようなこの歌詞が遺書なのか。どちらとも解釈できそうです。好きなのを選びます。
さよならで思い出したんだ 君が僕の隣にいたってことを
この世に不幸がなければ、誰も幸せになりたいなんて思わないでしょう。
まるで苦しむために生きているようではないですか。それは嫌です。
もう二度と会えないだろうけど、また会えると信じて生きていくことが、苦しみばかりの人生に対する反逆になるのかもしれません。
05.僕の音楽を聴いてくれてる君へ
間髪入れずに殺人的なディストーションが右耳から左耳に突き抜けていきました。
こんな手紙みたいなタイトルなのに、めちゃめちゃパンクなのが面白い。落ちサビのベースとか、クリックを使ってないらしくだんだん早くなっていくテンポもライブ感マシマシでとても良い。
なのに最後の最後で「ごめんね」って言っちゃう。
「そういうとこですよ」と言いたいので、また彼らのライブ行きたいです。
06.カウントダウン
「声、近っ!」というのが最初の感触でした。アコースティックらしい「雑味も旨味」なサウンドを堪能できます。それってつまり、人生と同じです。
夢のせいでおかしくなる。愛のせいで人が狂う。綺麗な言葉じゃ生きられない。信じられたのは音楽だった。多分、綺麗なものって優しくないんです。音楽が持つ柔らかさを信じたい気持ちは、自分にもあります。
アウトロで、音がいきなりブチッと切れて、ノイズが流れる。急に終わってしまうのも人生です。カウントダウンは、理不尽なまでに淡々と刻まれます。
07.月曜日
最初は“凪待ち”だったのが、洒落っ気のないタイトルになるのが非常にらしいです。
二本のギターのハーモニーが気持ちいいです。忙しそうですが、こういう切迫した緊張感が音楽の楽しさです。
ポツポツと降る雨のようなサウンドが、嵐のようなサビに乗り出していく展開も見事です。
俺にはバンドマンの知人友人がたくさんいて、ある人は正社員として働きながら、またある人はバイトに殺されかかりながら、はたまたリボ払いのアリ地獄にハマってるどうしようもない連中もいるんですが、総じてみんなタフガイです。とても真似できない。
月曜日が嵐になるような日常は、ちょっと御免こうむりたいな、なんて軟弱なことを思ってしまうわけです。
08.猫と飛行機
アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)の行った調査では、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%である、と発表されている。
ある種の大当たりを引いてしまった悲劇も、自分と関係なければ上手く悲しめない。そんなところまで自己嫌悪の領域を広げてもしょうがないんですが、そんな人の性(さが)から目を逸らせないからこそこういう音楽をやっているんでしょう。
自分以外のことまでぜんぶ背負おうとするのはメサイアコンプレックスっぽくもあり、自我が大きくなり過ぎて疎まれるところもありそうですが、
どうやったらモテるか どうやったら好かれるか
そんなことが音楽なら辞めてやるよ
こうして「そんなもん知るか」って歌われると本気度が伝わりますね。
「恥でカッコつけが始まったらおしまい」とでもいうような覚悟が伝わります。
以上8曲、まだまだ自分より他人が優先されますが「一緒に悩み苦しんでいこうぜ」って雰囲気は伝わりました。