どうも( ^_^)/
風の強い日は良い曲が浮かぶ者です
ですが、『Biutiful』という映画に観入っていたら、メロディを忘れてしまいました 笑
悔しいので、感想と感動を書き残しておきます
・あらすじ
スペインで幼い子供二人と貧しい生活を送るウスバルは不法移民に仕事を斡旋することで生計を立てていたが、末期の癌が見つかり余命2カ月と宣告される......
話はこれだけです、一人の男が死ぬまでの時間を淡々と追った映画
しかしながら、色んな状況が困窮の極みにあって、観る者をハラハラさせます
登場人物を一人ずつ掘り下げていくと
主人公のウスバル・・・非合法な仕事をしなければならないほど貧しく、自分が死んだら誰が子供たちを育てていくのか悩み「死にたくない」と友人に漏らす
ウスバルの娘アナと息子マテオ・・・不安定な家庭環境と経済環境に置かれている姉弟、マテオはおねしょ癖が治らないでいる
ウスバルの妻マランブラ・・・双極性障害を患い、精神的に不安定な上に母親としてもかなり未熟で、子供の世話を放り出して遊びに行ったり、言うことを聞かないと暴力を振るう
ウスバルは妻を愛しているが母親としてはふさわしくないと考えており別居中
中国系の友人ハイ・・・移民を使って違法な労働に従事させている、警察に顔が効くウスバルのお陰で逮捕はされていないが、同性愛者の恋人にコントロールされている節がある
エクウェメ・・・セネガル移民の男で麻薬の売人、同じセネガル人の妻イへと赤ん坊(名前はサミュエル)を抱えており事あるごとにウスバルを頼る
とまぁ散々なもの
さらにそれらの状況を生んでいるスペインという国を掘り下げると
全人口の20%が移民という移民大国で(2012年現在)、言語や文化の違いから就職が困難な者も多い
しかし、母国に戻ったところで仕事も無いため、違法労働に従事する者も多数
世界9位の経済大国も、2007年のサブプライムローン問題を発端に住宅バブルが崩壊、リセッション(景気後退)からズルズルとPIIGS(ピーグス・ユーロ圏で特に経済の立て直しが効かなくなった国々の頭文字を取って付けられた)の仲間入りを果たしてしまい、失業率は昨年2011年から約25%
この映画の撮影は2008年で、真綿で首を絞められるように不況がジワジワ進行していた時代
退廃的な雰囲気が漂う暗い映像に、ほんの少しの絶望感がにじみ出ているようにも感じます
そんな“状況”が生むドラマも、何だか陰鬱で、平均台の上を目隠しで渡っているのような危うさがあって、どう着地するのか不安になる
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、この物語を『父に捧げる』と銘打って、ウスバルの父性にフォーカスを当てる
余命幾ばくもない体で、遺される子供たちにできることは何でもやる
ウスバル本人は父親を知らずに育った人間、父親が母に贈った指輪を今も大事にしている
“父”とはどうあるべきなのかと悩んでいるようにも見えました
不器用な父親そして人間の魂が、不治の病と逃れられぬ死によってどう輝くのか
それを丹念に紐解き、見せられていくうち、行き止まりかと思えた困難な状況も、何とかなるのではないかと思えてきます
人が人に対する愛情を失わない(時にそれは狂気的でもある)生き物ならば
物語は穏やかな引き潮のように終わるので、登場人物たちのその後は推察せよ、というメッセージと解釈すると
うん、大丈夫
俺はそう思いました
あなたの感想はどうでしょう?
そして今の状況は?
視界が淀んで、行き詰ったと感じたら、この映画を観てみると良いです