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平安二十歌仙 第四

 第四 明和四丁亥年二月九日不夜庵会
 
居(ゐ)腐(くさ)りて春を突(つき)込(こむ)寒さ哉  嘯山
 柳もいまだ手(しゆ)炉(ろ)のてあたり      随古
書(ふみ)の窓ひとりの童藪(やぶ)入(いり)て    太祇
 時をおぼえた雀むらむら             山
月はよし牛馬の舟も暮の景             古
 ひそかにかこつ秋の参勤             祇

冷(ひや)つきを先(まづ)さかやきに覚たり      山
 乗物医者を腰付の門               古
うつりゆく日影のけふは目にたちて         祇
 じやぶりと飛(とん)だ泉水の魚          山
細長い箱に大工の草(ざう)履(り)まで        古
 文(ふみ)書(かく)真似を仕(し)て見する也     祇
やる瀬なくとんとん踊る胸(むな)先(さき)に     山
 時こそうつれ城(じやう)衆(しゆう)の駕(かご)   古
片寄リに埃(ほこり)吹ゆく風の道          祇
 雲に入(いる)なる太(だい)神楽笛         山
一鎮(しづめ)しづめて遊べ花月楼          古
 弟(おとと)御(ご)達は宦(くわん)僧(そう)の春   祇

帰る雁胡(<エビス>)の国へうち連(つれ)て     山
 村は破船の樽酒に酔(ゑふ)            古
鍋の湯の何かは蓋(ふた)のならぬ迄         祇
 明神様と狐をぞいふ               山
しろしろと野川に露の動(うごく)也         古
 銭(ぜに)座(ざ)の跡の土地誉(ほむ)る月      祇
秋の風五重の塔のあたりより            山
 道(だう)者(しや)引(ひか)むと口たたくらん    古
あやまつて香(かう)煎(せん)多く振出(ふりいだ)し  祇
 雪を丸(まる)めて何所へあてうぞ         山
節(せち)会(ゑ)の夜衣をかづいて並(なみ)居つつ   古
 ねむさにたへぬ老も成ぬる            祇

日記操(く)る手元も暗くさみだれて         古
 こは(怖)ふはないがいやな蛇(くちな)ハ      山
米蔵の板の間ぐいと掃(はか)せたり         祇
 三とせ満(みち)けるしのび奉公          山
花の雲江戸出ぬけても江戸なれや          祇
 筑波(つくば)おろしにめづらしき蝶        古