俳諧伝授 -5ページ目

平安二十歌仙 第一

 第一 明和三丙戌年十一月十八日葎亭会
 

白壁の月も細しや冬木立     嘯山
 粉糠こぼれし庭の薄氷     随古
下部等にいたく酔ぞと酒もりて  太祇
 鼠ほどなる胴乱の象       山
日直れば橋からもたつ夕霞     古
 大きな凧を持出しにけり     祇


二番はへ天窓に春や満ぬらん    山
 廓がよひの供を預ける      古
白き手を火鉢の上で握るなり    祇
 論語今川伊勢物語        山
古しへを見透すための眼鏡かは   古
 老のむせびに膝へ湯を吐く    祇
余所の伯母砧の槌を借に来て    山
 送りの小馬道遅き月       古
露じめり砂の金をこころむる    祇
 鼻の高さも地頭成けり      山
僧堂に藪買付て花紅葉       古
 光りしづかに古きとぼし火    祇

名残の表
半時は早ふ暮ぬる五月雨に     山
 田うへがすむと子にもらふ沙汰  古
手に顔に手拭の藍移りたる     祇
 読できかせて腹を立さす     山
伐筈の木をそれなりに小一年    古
 踏ンで身に添ふ蛇の影      祇
いかな事還城楽も出来ばこそ    山
 水羊羹の寒き歯あたり      古
月の漏る軒賑しき入院也      祇
 はたはたはたと促織が飛ぶ    山
童等につけ廻さるる烏瓜      古
 住すて歩行名医有けり      祇

名残の裏
銀づくはへかこ安部川紙子にて   山
 雷狩に霰たばしる        古
くされ儒者うまれ在所へかへり住  祇
 続けばつづく春日和かな     山
船玉へ湊の花をたてまつり     祇
 蛙可愛くいただかす幣      古