これで物価高騰対策になるのでしょうか。これで地域の米穀店などを守ることはできるのでしょうか?「お米10キロ相当をご自宅に」→「お米限定のデジタルクーポンにしてお米は小売店で取得、お米以外はECサイトで選んで自宅へ」→「ECサイトでお米も選べるように」(以上大意)。十分な議論をしたとは思えない状況のまま、「お米10キロ」の予算は可決されました。今後、1月下旬に事業者が決まり、システムをつくったあと、3月中旬ごろから申請と配布が始まるそうです。ちょうど4月の知事・市長・府議・市議の選挙の直前ですね。あらためて確認しておきますが、この事業の財源は国からのコロナ関連の交付金です。大阪府の行革の成果でも、吉村知事からのプレゼントでもありません。

 

  2020年12月20日(火)の報道

 

大阪府議会で「お米クーポン」を可決、来年3月から受け付けへ "旧統一教会と一線画す”決議も(読売テレビ) - Yahoo!ニュース

 

【大阪府】子育て世代支援 18歳以下お米配布 大阪府議会可決 | やさしいニュース | TVO テレビ大阪 (tv-osaka.co.jp)

 

  2022年12月20日(火)大阪府議会議員のツイートより

 

 

 

 

 

それでは、当日の議会と知事会見の様子を見て行きましょう。最後にまとめをつけています。

 

 

 

 

  2022年12月20日(火)大阪府議会 議会運営委員会

府議会の動画はこちら

◇委員長
知事提出議案の採決について資料1及び資料2をご覧ください。議案28件に対する賛否につきまして、各会派に事前に確認いたしましたところ、資料1に記載のとおりであります。採決は資料2の通り行いますのでよろしくお願いいたします。次に、各派において討論されるかどうかについてお聞かせ願います。なお討論される場合は討論者のお名前も併せてお聞かせ願います。

維新
討論ありでお願いします。永井広大で。

公明
討論行います。中野議員でお願いします。

自民
行います。杉本太平議員です。

◇委員長
ありがとうございました。討論は維新、公明、自民の順とし、討論の時間は10分以内でお願いいたします。

 

  2022年12月20日(火)13:00~大阪府議会 本会議 採決

府議会の動画はこちら

◇議長
日程第一、議案第36号から第61号まで、第63号から第64号、令和4年度大阪府一般会計補正予算第9号の件ほか27件を一括議題といたします。これより討論に入ります。通告により、永井広大議員を指名いたします。

◆永井広大議員
大阪維新の会大阪府議会議員団の永井広大です。今定例会後半に上程されている諸議案等について我が会派の態度と意見を表明いたします。
(中略)

国際的な原材料価格の高騰や円安の影響により、エネルギー、食料品等の価格上昇が続いており、家計の負担増が懸念されている中、子育て世帯を食費の面から支援するため、18歳以下の子どもにお米10キログラム相当を配布することが表明されました。我が会派では当初案に対して子育て世帯や米穀店等からさまざまなお声をお聞きし、担当部局と協議を重ねてきた結果、デジタルクーポンの発行や、お米以外の食品も選択可能となり、地域の米穀店が参入できる事業スキームとなりました。今後、府内すべての子育て世帯に喜んでいただけるように十分に周知を行い、迅速な事業執行をお願いいたします。
(中略)
以上、るる申し上げましたが、今定例会に上程されている知事提出議案等につきまして、全て賛成であることを表明し、我が会派の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。

◇議長
次に中野剛議員を指名いたします。

◆中野剛議員
公明党大阪府議会議員団の中野剛でございます。会派を代表して今次定例会に提出されております諸議案の採決に当たり、我が会派の意見と態度を申し述べます。最初に令和4年度大阪府一般会計補正予算第9号案の件です。10月の代表質問で我が会派から一日も早く補正予算を編成し、困難を抱える府民や事業者への支援を急ぐべきと府の方針を問いただし、府は速やかに支援が届くよう対策を検討していくとの答弁をされました。さらに11月に地方創生臨時交付金の早期活用を求める緊急要望を行いました。府から物価高騰等対策として福祉施設職員等を支援するための1万円分のギフトカードの配布をはじめ、福祉施設、医療機関、市立学校等への光熱費の一部支援及び中小企業へのLED証明の設置補助に要する費用に関する補正予算案、さらに、物価高騰等の影響を受けている子育て世帯への米10 kg相当などの配布に係る補正予算案が上程されました。物価高騰等による困窮されている府民ならびに事業者の方に、これらの事業による支援が一日でも早く届くよう、予算の確実な執行を改めて求めておきます
(中略)
以上、るる申し上げましたが、本議会に出されております。諸議案についてはすべて賛成であることを表明し、我が会派の討論とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

◇議長
次に、杉本太平議員を指名いたします。

◆杉本太平議員
自由民主党大阪府議会議員団の杉本太平でございます。採決に先立ち、本定例会に提案されている諸議案等について我が会派の意見と態度を表明させていただきます。最初に、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した支援策について意見を申し述べます。本定例会に提案されている令和4年度一般会計補正予算第9号では、国の地方創生臨時交付金を活用した府の支援策が講じられておりますが、足元の原油高・物価高は計り知れず、生活必需品の値上がりはとどまるところを知らず継続しており、今なお府民の家計や企業経営に大きな影響を及ぼしています。そのような中、子育て世帯への支援として、18歳以下の子ども一人に対して米10キロ相当を配布する事業と、介護幼稚園を含む保育障害施設等の福祉施設職員等への支援として、1万円分のギフトカードを配布する事業が提案をされました。どちらの事業もまだ詳細な内容が決まっていないため、委員会に付託すべきと考えましたが、残念ながら省略されることになってしまいました。真に府民のためを思うのであれば、会期を延長してでも議論を重ねるべきと考えます。我が会派が福祉部から現状最新の事業スキーム案の説明を受けたのは、15日の午前中であります。しかも、こちらから説明を求める旨の要求をしたから来ていただけたのであって、もし要求をしなかったら、提案当初の概要案だけで採決にかかる判断をしなければなりません。判断材料となる情報が少ない中で、満足な議論もせずに強引に採決に持っていくようでは、議会の存在意義に関わる問題です。子育て世帯の支援に対して、我が会派としてさまざまな主張をしてまいりました使い勝手のいい現金やギトカードにすべきであること、仮に食料品に限定するのであればお米以外も選択できるようにすべきであること、地元の米穀店への影響や価格高騰を避けるべきであること、委託費や事務経費が極力少なくて済む方法で配布すべきであることなどです。また、福祉施設職員等への支援についても、事務経費の縮減や配布方法の効率化、対象者の広範化など、会派として主張提案をしてまいりました。その結果、一定これらの要望主張も事業内容に反映をしていただきました。しかし、まだまだ検討していただきたいことがあります。一点目は、支援漏れが発生しないよう、府のホームページだけでなく、あらゆる媒体を活用して周知徹底を図っていただきたいことです。二点目は、なりすまし等を防ぐためにより厳格に本人確認を行うとともに、市町村と住民情報の共有を行うなどにより、迅速かつ正確に事務処理を遂行していただきたいことです。三点目は、府内の米小売り業者に対して本制度の周知徹底を図り、クーポン活用時に混乱が生じないようにしていただきたいことです。次に、お米以外の商品が選ばれるようになっていますが大阪もんをはじめとした地元の産品に重きを置き、できるだけ幅広く商品を取り揃えるようにしていただきたいことです。その際、お米アレルギーや農薬に対して過敏な子供がいることから、有機栽培や無農薬の食材も使用したものも取りそろえるよう配慮をお願いをいたします。昨今の原油高物価化や新型コロナウイルス感染症によって負担が増して困っている家庭や企業を支援することは、府として当然必要なことですので、本件については迅速確実に進めていただきたいと思います。また、効果検証することで、今後のより良い支援につなげていっていただきたいと思います。
(中略)
以上るる申し上げましたが、今定例会に提出されております。知事提出議案については全て賛成であることを表明し、我が会派の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。


◇議長
以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論は終結いたします。これより議案につきまして採決に入りたいと思いますが、議事の都合により分離して採決いたします。まず第36号議案大阪、、、失礼しました令和4年度大阪府一般会計補正予算第9号の件を起立により採決いたします。本議案につきまして、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。


(起立多数)
 

◇議長

起立多数であります。よって第36号議案は原案のとおり可決されました

 

 

 

 

 

  2022年12月20日(火)14:30~吉村洋文大阪府知事 囲み会見

囲み会見の動画はこちら

お米配布事業のスキームと事業者決定の時期

  • 「18歳以下の大阪のすべての子供にお米10キロ相当、あるいはそれに代わる食料をお届けする事業」と、吉村知事は説明しています。デジタルクーポンは5000円相当分なのか、10キロ分を引き換えた残高はどうなるのか、残額に不足分を足せば更にお米を買えるのか、そのあたりが見えてきません。
  • 公募をして事業者が決定するのは1月の下旬。そこからシステムをつくって、申請と配布は3月中旬くらいから。

7:17~
◇記者
先ほど府議会の本会議が開催されまして、府の補正予算ですね、こちらの方が議決、可決されたと思います。まず議決されたことの受けとめと、その中に18歳以下の子供さんへのお米の支給という事業も盛り込まれていると思います。このお米の支給事業については、その具体的なスキームですね、固まっている部分がありましたら、教えていただけますでしょうか

◆吉村知事
はい。本日、議会が閉会になりまして、予算についても可決がされました。18歳以下の大阪のすべての子供にお米10キロ相当、あるいはそれに代わる食料をお届けする事業についても可決されましたので、今後速やかに手続きに入っていきます。まず議会議決が重要でしたので、議会議決を今回得ました。これを踏まえて、まず公募事業者の公募手続きに入ります。そして公募が恐らくこれは一か月くらいかかる、最終的に決定して、そして契約に至るまで一か月くらいかかるというふうにも聞いていますので、まだそこからシステムを作るということにも当然なります。今回、申請方式ですので、できるだけ早めにお届けしたいと思いますが、3月の中旬ぐらいになるというふうに思います。その頃を目指して具体的な準備を完了さして、そして府民の皆さんが申請して配布をするというのを3月ごろに、3月中旬ぐらいから始めたいと思っています。そして、スキームですけれども、これも議会でもさまざまな議論がありました。基本的には申請をいただくと、申請いただくという方式になります。そして、選択をしていただくことになります。お米という選択肢も当然ありますし、そしてお米以外の食料品なんかも選べるように、お米アレルギーの方もいらっしゃいます。ですので、そういった手続きになると思います。ECサイトで選ぶパターンもあると思いますし、それから選べるという意味では、デジタルクーポンにして近くのスーパーとか近くのお米屋さん米穀店でも取得できるように、さまざまな選択を準備したいと思っています。スキームとしてはそういった選択を重視するというスキームで今、進めていますけど、それで行うことになると思います。

◇記者
先ほど**の公募に一ヶ月くらいということでしたけれども、となると議決されてですね、これからは準備等を進めていくと。事業者が決まるのは、大体来年の1月ごろには決まるという**でよろしかったでしょうか。

◆吉村知事:そうですね。1月の下旬ぐらいだと思いますけどね。

◆職員:下旬です。

◆吉村知事:1月の下旬だと思います。

 

議会の議論は十分だったのか

  • 吉村知事も出席している20日の府議会本会議で、自民会派は「福祉部から現状最新の事業スキーム案の説明を受けたのは、15日の午前中」と証言をしています。吉村知事は、12日から15日の一般質問で「十分議論を交わされているというふうには私は思っています」と記者に答えていますが、現実的にそのようなことは可能でしょうか。

14:18~
◇記者
共同通信の**といいます。補正予算の関係でお尋ねします。お米の支給の事業を巡っては、自民党などから支給のスキームについての一般質問でのやり取りとかは不十分じゃないかというような指摘がありました。併せて、恐らく吉村知事が主導されたといいますか、思い入れがある事業ということで、知事与党である大阪維新もその意を汲んでそういった議論が徹底されなかったんではないかというような自民党からの指摘もあります。改めて、この事業へのご自身の考える意義と、あとそういった議論が不十分じゃないかという指摘に対するお考えがあればお願いします。

◆吉村知事
まず、やはり物価、特に食料品価格、エネルギー価格が上がっている中で、子育て世帯の食料品、食料費にかかる負担というのが大きくなっています。これは子どものいる世帯と子どものいない世帯を比較しても、やはり子どもがいる家庭の食費の家計の負担率というのが高いというのも明らかにデータとして出ています。食料品の物価が上がっている以上ですね、また子供ってよく食べますから、これで十分だとは思いませんけれども、子育て世帯、大阪の子どもたちを支援したいという思いで実施した事業になります。あとは、議論においては、今回の一般質問でも議論も行われましたし、自民党の議員も4、 5名ぐらいの方は一般質問の壇に立っているわけですから、十分議論を交わされているというふうには私は思っています。ただ、議会の仕切りというか、それは議会で判断されますので、僕自身がどうこういう話ではないと思います。ただ、一般質問この一週間ずっと本会議場で議論をやり続けたわけですから、この議論は十分行っていると思います。ただ、議会回しはもう議会の皆さんにお任せをして、理事者である我々が言う話ではないと思っています。

 

ECサイトでもお米を選択できるようにする

  • 吉村知事が「議会からご意見」と会見で言っているのは、「議会の場以外でも担当部は議会と意見交換している」意見のことであると思われます。(本会議の一般質問で出ていたのであればお知らせください)
  • お米10キロを自宅に送って現物支給という当初案は方針転換し、12日の段階ではECサイトの選択肢にお米は含めないとしていたのはなぜだったのか。地域の米穀店等の民業圧迫を避けるためではなかったのか。最終的にECサイトにお米を含めるとしたことで、どのような弊害が出るのか注視していく必要があります。

17:05~
◇記者
関西テレビの**と申します。補正予算についてですけれども、前回お話をお聞きした時に、ECサイトの方にはお米を含まず他の食料品というようにお聞きしてたと思うんですけど、いまの資料というか案を拝見しますと、そのECサイトの方にもお米の方が含まれるという、その辺りを教えていただけますでしょうか。

◆吉村知事
はい。あの、議会との意見交換の中で、これは議会の場以外でも担当部は議会と意見交換しているんですけれども、その中でやはりECサイトの中にもお米というのは選択できた方がいい。もちろんスーパーとか米穀店で買えるようにしてもらいたい。だけども、やはり、そのご家庭の中には種類を多くからたくさん選ぶ、**、あるいは自分がいつも買っているところを選ぶという方も、もちろんいらっしゃるんだけども、ECサイトで簡便に申請もしたいという意見もあるということも、議会からご意見もありましたので、そこを踏まえまして、それほど種類は多くできないと思いますけれども、ECサイトの中にもお米を選択できるようにしたいというふうに思います。それが恐らく最終内容になります。

 

 

スキームについては、こちらのツイートの図が分かりやすいです。

 

 

 

まとめ

 

 

 

 

 

 

 

個人的には、地域限定で消費税8%の食料品のみを購入できる電子クーポンにすればよかったのではないかと思います。

吉村知事の会見で「お米10キロ相当をご自宅に」というインパクトが強すぎたために、お米の呪縛から解き放たれず、議会の場の外で要望を受け入れているうちに迷走気味の施策になってしまいました。

 

この件に関しては、今後も公募や申請の状況をチェックしていきたいと思います。