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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

11篇目のイロハ讃歌は、可憐なところで「旅籠の娘」と参じました。意味は邪推してください。     

逆旅(げきりょ)、子……小さく
ませて そつがなし
われらの威風辺(へ)  
意、え無味——— 
菖蒲(あやめ)を委ぬるも
餌に蜻蛉(とんぼ)羽根下ろす 


げきりょ、こ……ちひさく
ませて そつがなし
われらの ゐふうへ
い、え むみ―――
あやめ を ゆだぬるも
ゑ に とんぼ はねおろす

逆旅(げきりょ):①旅籠。宿。②旅をすること。

旅館の娘は、こまっしゃくれていて、人扱いに慣れているようだ。
オジサンたちに立ち交じって気後れするふうもない。
供花のアヤメを分けてあげたのだが、見向きもしないで、この小蜻蛉、餌の団子餅のほうに関心があるようだ。やっぱり餓鬼だな。


目に入れても痛くないという親の弱みに付け込んで5歳の誕生日に「三輪車」を せしめました。ペダルに足が届きません。それが可愛いというのでまた写真です。長男は得ですね。そのスナップがブログの「プロフィール」にあるトップ・イメージです。

5歳のボクは見るたびになにか文句をつけたそうにじっとこちらを見返してくるのです。その不満そうな目を見ると申し訳ないような気持になるのです。
美術館のモナリザが疑い深い視線で追ってくる、刑事のように鋭い目を、5歳の私が、出世しなかった罪を95歳になってまで咎めるのは理不尽じゃないでしょうか。

ことしの詠進歌のお題は「夢」でした。短歌を作ったのは初めてでした。
かねがね回文短歌はつくっていますが、まともな普通の短歌は作ったことがありません。さすがに、ボツでした。

三輪車ペダル届かぬ足五歳
九十五の今夢に見て焦る


———回文短歌として———

●夢虫は 徒寝なかむかひ 冬の香の      
  夕日醸むかな いと愛し梅ゆ

———ゆめむしは といなかむかひ ふゆのかの
     ゆふひかむかな いとはしむめゆ

夢虫(ゆめむし):荘子の胡蝶の夢の故事から「蝶」の異称。夢見鳥、ともいう。
徒(と):役に立たない。無駄な。いたずら。
寝(い):人間の生理的な睡眠。朝寝(あさい)。塾寝(うまい)。安寝(やすい)。寝(ね):体を物理的に横たえること。横寝(よこね)。眠る(ねぶる):居眠りのこと。寝ぬ(いぬ):イは睡眠、ヌは横になる意。【動詞】下二段。睡眠。
醸む(かむ):かもす、の古語。もと米などを噛んで作ったことから。その場に或る雰囲気を作り出す。
愛し(はし):可憐な。いとしい。
梅ゆ(むめゆ):ムメは、梅の古語。ユは、【助詞】時や動作の起点・経過点を表す。より。から。を通って。

うとうとしていると、蝶が美しい梅から冬の夕日の香りを引き出している夢を見るともなしに…

年を取るとハナシが道草を喰いますね。


イロハ 1回こっきり 旧仮名弁 現代詩が、10篇になりましたので、タイトルをひとまとめにしてみました。

01 雪の降らない夜 02 居囃子 03 昼顔  04 月蝕 05 ガンジスの岸辺
06 毬藻 07 両国08 鵺 09 山櫻 10 ヒンメリ

第10
ヒンメリ     

ヒンメリ掛けて祝す
太陽の生(あ)れる 時節(とき)
おみな笑まむ 空へ
吾子に幸得ぬも…… 

帆船を夜居 櫓は刹(せつ) 


ひんめりかけてしゅくす
たいやうのあれる とき
おみなゑまむ そらへ
わこにさちえぬも……

ほぶねをよゐ ろはせつ


ヒンメリ:北欧フィンランドの光のモビールhimmeli
冬至を太陽が生まれる日(冬至祭)として祝うときの飾り物。
三角錐を二つ重ねた形の六面体を吊るして祝う。
おみな:嫗。老女。おうな。若い女は「をみな」。
夜居(よい):加持祈祷のために僧が一晩中傍に詰めること。
刹(せつ):悪い鬼の称。刹鬼。

ヒンメリを下げて願い事を————冬至祭。
老女が空に向かって微笑みかけている。
わが子が幸福なのかそれほど報われていないのか……それでも……

天(あま)駆(か)ける舟の、帆は僧が、櫓は鬼が、——

「冬至」はことしは12月22日だそうです。
すこし気が早いのですが、街はジグルベルやおせち料理で急き立てています。「黒金魚ストーリー」も、前倒しして……という気になるじゃありませんか。
次は「クリスマス」でやらないといけないのかな。「ス」がカブっているから×(ダメ)だし、あ、そうか、ズルをやって「Xマス」にするかな。なんて純情な詩人を、もうから悩ませる季節です。かぼちゃ・柚子湯…
運がつくように、にんじん、なんきん(かぼちゃ)、れんこん。名前に「ん」が重なるものを食べる日だそうですよ。ニンジンきらい? 参鶏湯(サムゲタン)がおすすめですよ。高麗人参をたっぷり入れて…

いろは1回限りの歌、9回を数えます。画面がだんだんキレイになる予感がします。
慣れてきたのでしょうか。


山櫻     

ほこる山ざくら彫(ゑ)り
愚か湯浴(ゆあ)むそち辺に
つて求めぬ
囲繞(ゐねう)せし飛檐(ひえん)よ——
われ随喜の
涙を拭けば……


ほこるやまざくら ゑり
おろか ゆあむそちへに
つてもとめぬ
ゐねうせしひえんよ
われずいきの
なみだをふけば

つて:手づる。手掛かり。
囲繞(いにょう): 取り囲むこと。
飛檐(ひえん):高い軒(のき)。飛宇(ひう)。

咲き誇っている山桜の模様の彫刻がとてもよくできあがったので、嬉しくなって入浴なさっていらっしゃるというのにあなたにご連絡を……。塀が取り巻いている高貴な方のお館。
お褒めのお言葉があり、あまりの有難さに感泣したのでした。

偶然を期待して辞典をひねくりまわして、ひねり出しています。「ヒエン」なんて言葉はなにも考えないでパッと開いたところにあったコトバです。そのコトバを基に物語をつくっていきます。そうすると狭い個人の思い付きなどよりテーマが広いバラエティに富んだストーリーが得られます。得られないときも多いですけど……