匝文俳諧/しりとり駅伝双六 ラストスパート/「す」ーー「京」 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

最後の句オモテ「す」ーー「京」と、ウラ「京」ーー「す」の折り返し点です。


す——京 

菫咲く/疵す獐樟/白虹京           (三春)
 すみれさく きずすのろくす はくこう京
京右獄は/末黒の薄/鏈れ魅す        (初春)

季語:菫・三春。末黒の薄(すぐろのすすき)・初春。
獐(のろ):シカ科の哺乳類。オスは三股の角をもつ。ユーラシア大陸に分布。ノロジカ。
右獄(うごく):平安時代京都右京区にあった獄舎。
末黒野(すぐろの):早春、害虫駆除のためと萌え出る草の成長を早めるために野焼きする。その黒々としたなかの、川べりなどにわずかに残す緑の風情を言う。
鏈る(くさる):①長く連なる。つづく。②つなぐ。繋ぎ合わせる。

スミレの花咲くころ、ノロジカは角をクスノキにこすりつける。動物から同類の植物へ——「獐」から「樟」へ——の挨拶、愛情のキスなのだ。小さい幸せ・謙虚・誠実・スミレの花言葉。京の空には〈白いアルカン・シエル〉が懸かっている。
京に残す平安の獄舎あと。末黒のすすき。連綿のもたらす暗黒の美しさ。

双六の「上がり」は「京」。「京」は漢字ではなく仮名の扱いなので、カナの最後つまり「仮名尻(かなじり)」といいます。因みに、いろはの「い」はカナのトップなので「仮名頭(かながしら)」。

 ここでも「京」を仮名として作ってみました。

———帀文(そうぶん)俳諧/
        メビウス連句しりとり駅伝双六
の折り返し点、です。これから帰路はいわば下り坂。須走りで完走です。お疲れさまでした。  
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このシリーズは終わりです。ありがとうございました。
         ウロ こと 「ウロボロス34」 拝