匝文俳諧/しりとり駅伝双六 青帝、佐保姫とボサノバ | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

二階建て俳句も最終コーナー。イロハの最後「~せす」です。
歌留多では「京」が〆です。


せ——す 

施行宿/かの棘紆余し/杖拝す        (三春)
 せぎやうやど かのいらうよし つゑはいす
酸葉恵つ/松籟のかど/夜雨山羊背       (仲春)

季語:施行宿・三春。酸葉・仲春。
施行宿(せぎょうやど):修行者・遍路を無料で泊める宿。善根宿。
紆余(うよ):曲がりくねっていること。 
酸葉(すいば):タデ科。葉や茎に酸味がある。スカンポ。
 
善根宿はほんとうに有難い。難儀な行路もおかげさまでこうして休めるのです。共にしたこの杖を捧げて拝礼しました。
 スカンポを摘んで口にしました。酸い味が懐かしい。松林を吹き抜ける風の音が止んだ。夜の雨が音もなく山羊の背を濡らしている。

拗音(音節「キャ」「しょ」のように一音を二字で書き表すもの)が句のなかにあるときは、対のもう一つの句にも拗音の字句が必要です。ここの例では、第一句の上五に「ギヤウ」とでてきたので、第二句で中七に「ショウ」を工夫しました。
しっくりしないので、作り替えます。

青帝や/夜目遠目佐保/床拝す          (初春)
 せいていや よめとほめさほ とこはいす 
酸葉こと/ボサ目歩とめよ/夜出で伊勢     (仲春)

季語:青帝・初春。酸葉・仲春。
青帝(せいてい):五行説で春をつかさどる神。
夜目遠目(よめとおめ):「夜目遠目笠の内」女の容貌がいっそう美しく見えること。
佐保(さほ):佐保姫。春をつかさどる佐保山の女神。平城京の東に位置するので五行説で春霞の衣をまとう女神とされ西の龍田山と対比される。
ボサ:ボサノバ。サンバの新型。
 
春の神、青帝は佐保姫を遠くから目にとめて憎からず思いました。そして夜の褥に誘われました。
 スカンポのすっぱいこと。ちょっと、ちょっと、ボサノバのCDとめてよ。伊勢参りは夜立ちだってよ。

左見右見(とみこうみ)。右顧左眄(うこさべん)。——結局これにします。

ことしは去年より3度暑いのだそうです。
昨日は医者を2軒ハシゴして95歳の夏をナントカ乗り切りました。さすがに疲れました。
待合室で呼ばれるのを待っている間、俳句をヒネルのは手頃な暇つぶし。
新しい句体を考案するのは、楽しい時間つぶしです。
このシリーズのあとご披露しますが、……

ブラジルは四季が日本と真逆で、今が一番寒い時です。2月が真夏。強いとうもろこし酒を飲んで大騒ぎするカーニバルの準備に官民を挙げて「今忙し」でしょう。