匝文短歌(二重構造。一首で二首入っている短歌)もしりとり双六も、長丁場でアキてきました。中休みをしましょう。
源氏物語が評判のようですから、今日は「オモテ/ウラ紫」特番です。
「夕顔」の巻の歌で、作中作者は、「光源氏」。
基歌《見しひとの けぶりを雲と 眺むれば ゆふべの空も むつましきかな》
を匝文(そうぶん)短歌(以下、基歌をオモテとした「裏紫(うらむらさき)」と呼称)》につくり替えてみました。
『源氏物語』夕顔の巻では、光源氏は寂れた某院に夕顔を連れ出すが、夕顔は物の怪(もののけ)に襲われて命を落としてしまう、というシーン展開です。
(夕顔を火葬にした煙をあのひとの雲かと思うと、夕方の空も親しく思われる・・・)
という背景を持った和歌です。
裏紫の歌です。基歌をそっくり逆詠みした短歌です。逆読みすると別の短歌が現れる、いわば、二重構造(一首で二首)の短歌です。オモテ詠みは基歌のまま、ウラ詠みのみを以下に示しています。意味の変化を含めて読み比べてください。
ながき島 摘む妹らその辺 冬晴れむ
鉋と杢居り 武家の訪ひし見
———ながきしま つむもらそのへ ふゆはれむ
かなともくをり ぶけのとひしみ
妹(も):イモのイが脱落したもの。イモ。①姉妹。⑵妻。③女。男は兄(せ)。
辺(へ):(沖に対して)身近な海浜。
鉋(かな):かんな。板を削る大工道具。
杢(もく):大工。
*
列島で木の芽を摘んでいる女たち、賑やかな笑い声にはどんよりとした冬も消え去って行くことだろう。大工の棟梁のところにお武家が入って行くところを見た。また将棋を指しに来たのだろう。———暖かい穏やかな冬だ。
古語辞典の力を借りながら、例によって逆読みをしてみました。
ビックリ仰天。別の短歌が現れたのです。夕顔のモノノケが現れたかと思いました。
調べて見たら10首位上あることがわかりました。源氏物語ってこんな隠し技を秘めていたのですね!オドロキです。
それにしても寒いですね。血圧計が上がりっぱなしです。
今日のキャッチはよくできていると思いませんか?
《ビックリ! 源氏物語のヒ・ミ・ツ コジツケ匝文短歌》
誇大広告ですって? ハイハイ……
正逆二重短歌。いよいよ佳境! ナンテコマーシャルなみの誇大広舌。こじ付けオンパレード。ご覧ください。「いろは」の「か」です。
か——よ
数へ日の/流離九年に/死期来もよ (仲冬)
かぞへびの りうりくとせに しごきもよ
蓬ごし/偽徳利売り/伸びへ素娥 (三春)
季語:数え日・仲冬。蓬(よもぎ)・三春。
数え日(かぞえび):年末の残り少ない日々。「数え月」は十二月のこと。
流離(りゅうり):故郷を出て他国をさまよい歩くこと。流浪。
もよ:【連語】係助詞「も」に間投助詞「よ」の付いたもの。詠嘆の意。
素娥(そが):月に住むという伝説の仙女。月の異名。「素」は色が白いこと。
ことしも終わりに近づいた。思えば国を出て流浪することもう九年になるのだなあ。生涯がこんなだったとはなあ。
よもぎ越しにインチキ陶磁器売りが声をかけてきた。「月へ行くにはどう行けば?」と言う。聞きつけた月の仙女が腰を伸ばした、とさ。
「にせ」には、「偽(にせ)」のほかに「二才(にせ)」もあり、意味は「若いひと」「青年」です。
もう数え月ですってねえ。寝丹前を引っ張り出しました。
か——よ
数へ日の/流離九年に/死期来もよ (仲冬)
かぞへびの りうりくとせに しごきもよ
蓬ごし/偽徳利売り/伸びへ素娥 (三春)
季語:数え日・仲冬。蓬(よもぎ)・三春。
数え日(かぞえび):年末の残り少ない日々。「数え月」は十二月のこと。
流離(りゅうり):故郷を出て他国をさまよい歩くこと。流浪。
もよ:【連語】係助詞「も」に間投助詞「よ」の付いたもの。詠嘆の意。
素娥(そが):月に住むという伝説の仙女。月の異名。「素」は色が白いこと。
ことしも終わりに近づいた。思えば国を出て流浪することもう九年になるのだなあ。生涯がこんなだったとはなあ。
よもぎ越しにインチキ陶磁器売りが声をかけてきた。「月へ行くにはどう行けば?」と言う。聞きつけた月の仙女が腰を伸ばした、とさ。
「にせ」には、「偽(にせ)」のほかに「二才(にせ)」もあり、意味は「若いひと」「青年」です。
もう数え月ですってねえ。寝丹前を引っ張り出しました。
逆読みして正読みと同じになる「回文俳句」に対して、別の意味になる「匝文俳句」を作っています。ムズカシいでした。
[わ]-[か]
忘れ花/この訪ひ詠めや/田は月か (初冬)
わすればな このとひよめや たはつきか
垣つ端/やめよ人の子/隠れずわ (雑)
季語:忘れ花・初冬。
忘れ花(わすればな):小春日和に咲く、時ならぬ花。狂い咲き。帰り花。桜・梅・梨・杜若(かきつばた)など。
隠る(なばる):動詞ラ行四段。隠れる。
わ:【終助詞】文末に用いられた係助詞「は」の転。活用語の終止形に接続する。軽い詠嘆や驚きの気持ちを表す。「よくやるわ、あいつ」
おや、かきつばたの帰り咲きじゃないか。一句詠んでおこうか。「田は月か」でどうだい?
狭い垣の露地で子どもに出っくわした? 吠えないで隠れなさい。なに?隠れるところが無い!?
「かきつばた」といえば在原業平の物名歌(もののなうた)が有名ですね。
から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ (古今和歌集・伊勢物語)
各句の冠に「か」「ら」「た」「ち」を詠みこんであるのです。そこでここでは回文は回文なりに「隠し題」を趣向しました。「田は月か(たはつきか)」でした。「かきつばた」の逆読みです。
予約しておいた検診に行きました。ヘトヘトに疲れました。病人のようになって帰途につきました。
[わ]-[か]
忘れ花/この訪ひ詠めや/田は月か (初冬)
わすればな このとひよめや たはつきか
垣つ端/やめよ人の子/隠れずわ (雑)
季語:忘れ花・初冬。
忘れ花(わすればな):小春日和に咲く、時ならぬ花。狂い咲き。帰り花。桜・梅・梨・杜若(かきつばた)など。
隠る(なばる):動詞ラ行四段。隠れる。
わ:【終助詞】文末に用いられた係助詞「は」の転。活用語の終止形に接続する。軽い詠嘆や驚きの気持ちを表す。「よくやるわ、あいつ」
おや、かきつばたの帰り咲きじゃないか。一句詠んでおこうか。「田は月か」でどうだい?
狭い垣の露地で子どもに出っくわした? 吠えないで隠れなさい。なに?隠れるところが無い!?
「かきつばた」といえば在原業平の物名歌(もののなうた)が有名ですね。
から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ (古今和歌集・伊勢物語)
各句の冠に「か」「ら」「た」「ち」を詠みこんであるのです。そこでここでは回文は回文なりに「隠し題」を趣向しました。「田は月か(たはつきか)」でした。「かきつばた」の逆読みです。
予約しておいた検診に行きました。ヘトヘトに疲れました。病人のようになって帰途につきました。