匝文俳諧/しりとり駅伝双六 十五夜と絵日記と橋懸かり | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

「し」と「ゑ」そして「ゑ」と「し」のダブル沓冠(くつこうぶり)の俳諧です。
「ゑ」のコトバは絶望的に少ない。どうすれば褒めてもらえるか、か。

し——ゑ 

十五夜や/屈託は雲/尼狐に餌        (仲秋)
 じふごやや くつたくはくも にきつにゑ
絵日記に/木馬ぐたつく/稚児無事      (晩夏)

季語:十五夜・仲秋。絵日記・晩夏。
十五夜(じゅうごや):旧暦八月十五日「仲秋の名月」月が澄んで一年で最も美しい。
屈託(くったく):気がかりな。心配ごと。
尼狐(にきつ):「きつ」はキツネ。「ネ」は美称。
ぐたつく:物腰がきまらず。よたよたする。
稚児(ややこ):あかご。

 明月十五夜。ただちょっと気がかりは雲が、大丈夫かな。いつのころからか、住み付いている美しいメギツネに食事を準備する。
 遊園地の回転木馬は楽しかったが弟の幼児がよたついていて危なく落馬するところだった。今日の絵日記帳より。

歯科医問答。こちらも日記帳より。
「いよいよ、請負第二架橋工事。現場の状況はどうですか」
「基礎が緩んで、ちょっと危ない橋を渡る」
「渡り初め⁉ 組頭の工夫の見せどころですね。ドドメに麻酔を何本も打ちましたが……」
「くい打ちは仮止め。雨が来ると持たない」
「ところで、陸橋、だそうですが、普通の橋とどう違うのです?」
「陸橋は歩道橋。だから、手すりが着く。歩道橋はひとのためにあるんじゃない。下を通るクルマのためにある。手すりは人がクルマの通行のじゃまをしないためにつけます」
「え? 手すり? 通せんぼ、しているのですか手すりは…手すりで第一、噛めますかね」
左側の歯のブリッジの話をしている。念のために聞いておこうか。
「まさか、歯ごとに擬宝珠をたてるのじゃないでしょうね、手すりはいいとしても」やりかねないのだ、この歯医者は。
「そんなことはしないよ。保険の適用外だからね」
健康保険が適用されればやりかねないところだったのだ。危ないところで犬釘を一本。

この歯医者はヒトの口の中に歩道橋を造ろうとしている。そんな無法が許されるのか。
開いた口がふさがらない。「口を開けてください」口はふさがっていた。顎が外れていた。