さかしら伊呂波50撰(2)最終回 | ouroboros-34のブログ

ouroboros-34のブログ

こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

回文短歌(逆読みしても正読みとおなじになる短歌)を、いろは歌留多のようにイロハ順に「い」から、そして今日「京」まで、二回りしました。今日は千秋楽です。内容は世界の有名人をテーマに48人×2=96人+アルファで、98人一首といった感じでしょうか。
再々述べているようにワタクシは短歌を詠んだことは一度もありません。回文短歌は短歌とは似て非なるものと実感しています。そうですね、テニスコートを借りてネットを片付けて、そこで三角野球をしているというイメージでしょうか。「さかしら」と銘打ったのは「逆さま」と語呂あわせで「賢(さか)しら」と欲張っただけのことで、しいて言えば悪賢い!?
回文俳句を毎日日記代わりに作り460句あまり纏めて「回文俳句日記『回転角360度+5日』(龜鳴屋・金沢)から出版したのが回文に興味をもった初めてでしたが、病が昂じて今回の「短歌」になったという次第です。さて、大仕事を終えたいま、鼻毛を机の端に植え付けながら思案しているのですが、さてどうしましょう。つぎはもっと難しい俳句プラス短歌(五-七-五)(七-七)(五-七-五)。「三ツ物」と言う江戸時代の俳諧のひとつをやろうかと思案中です。


[京]

京鹿の子(がのこ) 星々(ほしぼし)の粒(つぶ) 括(くく)りたり
   煦煦仏(くくぶつ)のしぼ 入(しほ)木(こ)の香(か) 京

———京鹿の子は、裳(も)着(ぎ)の「ため息」が結んだ露だ。括(くく)りは夜空の星々がいっせいに舞い降りて帯揚げになり、仏様の羅(ら)髪(ほつ)のひとつひとつが括りにちりばめられてきものの裾模様になっている。お花墨の香りが立ちこめているような、京。

京鹿の子(きょうがのこ):①鹿の子(かのこ)絞り(しぼり)とは、絞り染めの一種。絹織物に多種のくくり技法と染め分け技法を用いて施す模様染めである。目結(めゆい)、纐纈(こうけち)ともいう。
括(くく)り目を粒(つぶ)、糸の縛(しば)りや撚(よ)りで作った細かい凹凸(おうとつ)模様を皺(しぼ)という。総絞りにした模様が小鹿の背のまだらに似ていることからその名で呼ばれる。②和菓子の一。③バラ科の多年草。紅色五弁の小花を密に多数つける。白花品種を夏雪草(なつゆきそう)という。
煦煦仏(くくぶつ)のしぼ:煦煦(くく)は①暖かいさま。②恵みをかけるさま。仏像の頭には螺髪(らはつ)のように数百個の仏像が密集している。
入木(しほこ):入(しお)は、本来、染め物をするとき布を溶液に浸す度数であったが、聖数とされた「八」を用い、漠然とヤシオと表現した。入木は、「じゅぼく」のこと。王(おう)羲(ぎ)之(し)が墨書(ぼくしょ)した木を、削ったところ墨が木の三分の深さにまで浸透していたという故事から、墨跡(ぼくせき)のこと。書道のことを「入木道(じゅぼくどう)」ともいう。

「京」ではじまり「京」で終わる、漢字で挟んでみました。そのままで読んでください(キヤウと仮名分けしないで、全部で1音)



エピローグ

逆子(さかご)にて 生(う)まれたりしが 世(よ)が逆(さか)さ
  佳代(かよ)齧(かじ)り誰(だれ) 痲(ま)雨(う)手(て)に小傘(こかさ) 

   仔犬
仔犬がはじめて聞いた回文は、そしていつも悲しくなるコトバは、
《この子どこの子》です。
歌留多によせて詠んだ『さかしら伊呂波五十撰』一番・二番。
犬も歩けば棒に当りますが、逆子の仔犬、言葉が麻痺しているようで頑是ない足取り丿(へつ)乀(ふつ)(舟などが左右に揺れるさま)をお見せしました。

古語は『岩波古語辞典』(大野晋ほか編)、人物紹介はwikipediaによりました。私は歌人でも俳人でもありません。通りすがりの一介の老人です。およそ、まともな考えをもったことがありません。ですが…もののあわれ😢クシュン