さかしら伊呂波五十撰(2)「ほ」虞美人 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

[ほ] 虞美人

牡丹植う 灸(やいと)据うなり 経穴(つぼ)徴し    
  ぽつり菜雨すと いや雨雲(ううん)髱(たぼ)

ぼたんうう やいとすうなり つぼしるし
  ぽつりなうすと いやううんたぼ

———牡丹を植えた。さすがにもう年。腰の痛みがひどい。あんなに嫌っていたお灸を受け入れることができた。ツボの効き目はあらたかでそれはいいのだが、膝の三里のボヤにムカシの娘(?)が唸っていた。 

牡丹(ぼたん):中国渡来の花。花の姿は華麗。漢詩人、なかでも白楽天が好んで詠んだ。俳句でも牡丹の名句が多く詠まれているが、画家でもあった蕪村にとりわけ多い。
灸(やいと):灸治。焼処(やきど)の転。
経穴(つぼ):灸点。鍼点。
菜雨…雨雲髷:菜種雨がポツリと落ちてきた。まさにその時、雨雲みたいに結い上げた髪の女がお灸に耐えかねて呻き声をあげた。その婀娜(あだ)っぽさはまるで…。
虞美人(ぐびじん):項羽の愛人。正確な名前ははっきりしておらず、「美人」も後宮での役職名であるとも、その容姿を表現したものであるともいわれる。
「四面楚歌」の「虞兮虞兮奈若何(虞や虞やわれなんじを如何せん)」で有名です。
   ***
前々回、ボルヘスの図書館のことを書きましたが、前回アンドレ・ジッドを書いていて「贋金づくり」が入れ子構造の紋中紋の小説だと書いたときに、そう言えばボルヘスの図書館こそが立派な紋中紋だったのでした。「つまり本作『バベルの図書館』自体がバベルの図書館に所蔵されている。序章でボルヘスはこの作品自体、すでに書かれていたものであるとしている。」(前々回ブログより一部再録)
面白いですね。
おもしろくないことがひとつ。
妻が転倒し頭と背骨を強打し入院しました。晴天の霹靂です。
こんなことがあるのですね。こちらも体が動かないし困ったもんです。
ではみなさんの健康を祈りつつ擱筆します。