[ゑ] 歌川国定
絵(ゑ)双六(すごろく) 賽(さい)のまろびし 袖(そで)の香(か)の
手(て)煞(そ)し広間(ひろま)の いざ黒子(くろご)据(す)ゑ
———絵双六で手のサイコロを振るたびに香水がきつくて目が回りそうだ。応接間の座敷わらしを匂い封じの陶器(すえもの)にして、なんとか逃れることにするか。
絵双六(えすごろく):絵を散らしたすごろく。近世初期には浄土双六・道中双六・遊女双六など趣向を凝らしたものがあったそうです。
因(ちな)みに「双六」は骰子(さいころ)が六のぞろ目のことで、「骰子(サイコロ)」のことを五二(ぐに)ともいう。目の五と二のこと。
まろぶ:転がる。ころぶ。倒れる。
袖の香(そでのか):袖(そで)香炉(こうろ)を袖の中に入れて香を焚きしめたり、たもとに匂い袋(においぶくろ)を忍ばせたり(誰(たが)袖(そで)という)、袖は、恋の達引(たてひき)や泪(なみだ)など世話物(せわもの)の世の機微(きび)を表現する小道具として、象徴的に扱われた。「誰袖」は、古今集に、「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」から、匂い袋のこと。
煞す(そす):殺(そ)ぐ。効果を減殺(げんさい)すること。
黒子(くろご):人形の芝居に後ろで操(あやつ)る黒衣(くろこ)を着ているひと。歌舞伎の後見(こうけん)など黒衣(くろご)は芝居中に存在しないきまりのもとに芝居の進行を補助している。黒具。くろんぼ。
「ゑ」はコトバが少ないので難関です。
あと「ひ」「も」「せ」「す」「京」で、おしまいです。
がんばるぞ!