[ぬ] A・A・ミルン
ぬひぐるみ 蜂蜜(はちみつ)さがし 森(もり)へ木(き)へ
り文字 嵩(かさ)積み 地(ち)はミルク古(ひ)ぬ
———クマのプーさんは、例によって森へハチミツ探しに出かけました。
見つけられるか見つけられないか。
幸運は、うずもれているのですが、プーさんは見つけることができるでしょうか。
森の中の地面はしっとりしていて、すこし古くなったミルクのような匂いがたちこめています。見つけたと思うひとは手をあげて!
ぬひぐるみ(ぬいぐるみ):『クマのプーさん』(英: Winnie-the-Pooh)は、A・A・ミルン(Alan Alexander Milne)の児童小説。息子が持っていたテディ・ベアから着想したクマのぬいぐるみでハチミツ好きの「プー」と、森の仲間たちとの日常が描かれている。
り文字:「り」の文字詞(もじことば)。ここでは「理運(りうん)」を表す。①当然出会うべき運命。②理にかなっていること。③運のいいこと。幸運。
古(ひ)ぬ:【動詞】下二段。名詞ヒネが動詞化したもの。古びる。古臭くなる。年を経る。
ぬ:完了の助動詞。…た。…してしまった。過去の助動詞ではない。
90歳に到達すると、世間の見え方が微妙に変わってきます。
臨終を待っている病床の人たちのように、周囲の人が急に優しくなって少々のわがままが通るようになります。
しかし、静かに最後の病変を秒読みしながら待つ諸君のその目は、すでに葬式を終えたあとの政変を値踏みしています。それを臨終の床から眺めているのは愉快だな、最後の面白いドラマだなと思います。
死んでゆく身には、面白かろうが、面白くなかろうが、そんなことはどうでもいいことで、そんな煩悩にかかずらわっている自分が最も奇妙でこちらを観察するほうがよほど面白いのですが、影身は影身で別の興味に取り付かれているらしく面白がってくれません。
影身がわたくし自身を放擲していること、これが目下、唯一の悩みの種です。
ぬるい風呂でぼんやり、そんなことを考えていると、よし、明日の原稿の続きを工夫しなければ、と元気が湧いてきます。
しかし、「ゐ」と「ぬ」はどっちが「ヌ」とよむのだったかなとわからなくなって、意欲の石鹸の泡立ちがわるくなってくるのです。応援にボディーシャンプーを追加したつもりが「る」というリンスだったりして……
きょうのテーマの「ぬ」はウロにとって嵌め殺しの窓だったのでした。