世や睦月陽潜る鵠吉夢やよ
———よやむつき ひくぐるくぐひ きつむやよ /
睦月(むつき):旧暦一月の異名。「一月」とともに冬の季語。
鵠(くぐい):白鳥の古名。以前は、晩冬の季語。黒い白鳥もいる。
しかも今日は「立春」。おめでとうございます。
いよいよ、年替わって「子年」ですね。
子年来る
●大黒を見ず寝しねずみ招く小板
———だいこくを みずねしねずみ をくこいた
大黒(だいこく):大黒天。七福神のひとつ。大袋を肩に打ち出の小槌を手にして米俵のうえに座っている像がある。「鼠は大黒天神の使者也。」(源平盛衰記)。
招く(をく):神や貴いものを招き寄せる。「正月(むつき)立ち春の来らばかくしこそ梅ををきつつ楽しき終へめ」(万葉集815)
小板(こいた):①小さな板。②茶室で炉向こう切りにするとき、炉ふちと壁のあいだに入れる板。③風炉の敷板。
大黒様は歓迎するが傍に侍っているネズミがすぐ齧り始めるのでどうも苦手です。
お供のネズミが待ちくたびれて眠っている間を狙って、風炉の小板が手招きするのでした。
このごろ、注意が散漫になりました。
俳句ポスト365兼題「冬眠」が発表されていたのに気づかなかったのです。遅まきながら以下、
●内回り鶯谷まで冬眠す
●冬眠のアプト式から山の歯ぎしり
●蝦蟇の冬眠身じろげば夜と同衾
●川原石の冬眠が一番早い 「人」位選
●鉈さきに冬眠中の蛇尾を断つ
●蛇を割く冬眠の血の泡こごり 「人」位選
●冬眠す塋なのかここ花の苑
塋域(えいゐき):墓場。