回文俳句日記12月26日兼題「餅搗(もちつき)」 | ouroboros-34のブログ

ouroboros-34のブログ

こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

  餅搗のほら来た切らほ退きつ地も
  ———もちつきのほらきたきらほのきつちも /

餅搗(もちつき):お祝い事があると餅を搗いた。誰しもが浮き浮きと高揚した。正月用の餅は近所も集まりみんなで搗いた。搗いたばかりの餅を頬張り楽しい正月を思い描いた。
退きつ地(のきつち):過疎で越した家。集落。

朽ちかけた家、過疎の集落の跡に立つと、満ち足りていたころの威勢のいい若衆が掛け声をかけながら餅を搗き、女子衆が餅を千切って丸めていた様子が髣髴と浮かんでくるのだった。

「白鳥の」は、シラトリの、と読んで、白鳥が飛ぶ意から、トブ・トバなどにかかる枕詞だそうです。
  
  白鳥の飛ぶまへ舞ふと祝詞らし
  ———しらとりのとぶまへまふとのりとらし

鷺が飛翔するまえに大きく羽根をひろげて舞うというのは天上への挨拶にほかならないのだろう。

「しらとり」は、「鷺(さぎ)」をいい、「はくちょう」ではありません。
川でよく見かける馴染みの濃い鳥ですが、「鷺」は一年中通して居る留鳥として季語ではありません。「鷺の巣」季・春。辞書には「白鷺」と「青鷺」が記載されていて白鷺は無季、青鷺は三夏です。
「はくちょう」は、冬鳥。季は晩冬。古称は「鵠(くぐひ)」で白鳥は現代語。従って「白鳥(はくちょう)」の俳句は現代俳句だけです。
読み方で季が変わる季語のひとつです。
白鷺は上記のように、本来無季でしたが、三夏とする俳人がでてきました。ここでも「夏の句」としておきましょうか。