回文俳句日記11月21日兼題「重ね着」 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

  重ね着がノビる或る日の垣根坂
  ———かさねぎがのびるあるひのかきねざか /

ゆるやかな、だが長い坂にかかって重ね着の男は息が切れました。思いの外、ぽかぽかと汗ばむような日差しの午後でした。

重ね着:冬の寒い時、何枚も衣服を重ねて着ること。厚着。重ね着した衣服を脱いだ時の身軽さは爽快である。ところがいったん馴染むと、なかなか脱げないのである。

「重ね着」と「着ぶくれ」は、歳時記には同じ冬の季語ながら隣同士に項を別にしている。作例を見比べても似通っていてどうも違いがわからぬ。
「重ね着」は、俳句的、「着ぶくれ」は川柳的? 「重ね着」が静的ならば、「着ぶくれ」は、動的?? 「重ね着」にして成因的表現ならば、「着ぶくれ」で結果的表現???

  ●重ね着す鎌倉熊が過ぎ寝釈迦
  ———かさねぎすかまくらくまがすぎねさか

見ろ!あの男。着ぶくれてまるで鎌倉山の熊だぜ。寝釈迦のまえを、ほら、いま、テクっている…。

  ●杵酒代弾まれ先づはて重ね着
  ———きねさかてはづまれまづはてかさねぎ

餅つきの酒手をはずむといわれて引き受けたはいいが、さてと、この厚着ではどうもね。〈酒手欲しいが杵持てず〉。