俳句ポスト365第217回「水鉄砲」投句一覧と自解 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。


●繃帯を濡らしてまでも水鉄砲
水鉄砲はまず、「水鉄砲つくり」からはじまります。朝早くから藪に入り竹を伐り出してきます。最後に、じぶんの名前を彫り込みます。午後からは遊びの後半。肥後守で指を切った子が必ずいますが、ヨーチンが繃帯の外までにじむので、赤十字の女の子も甲斐甲斐しい。それでも戦場へ向かう少年兵の、つまり、自分の勇ましさに自己陶酔するのです。戦争ごっこ、ここに谷まれり。

●自衛官の募集ポスター水鉄砲
駅前の町役場の広報板に協力ポスターが貼ってあります。腹を立てた誰かが、泥水を水鉄砲に仕込んでひっかけてありました。

●到来すオイラ出初めの水鉄砲
「出初め」は新年の季語です。でも、ここでは、夏到来の待ちに待った気持ちをあらわす「勢い」が欲しいと思いました。

●椅子と瓜洗面器には水鉄砲
「瓜」は、夏の季語です。真桑瓜は水に漬けて冷やしています。水鉄砲で思い切り遊んだ後は甘い瓜を食べて昼寝をする、こどもにとって至福の季節です。季語だからと言って欠かすわけにはいきません。

●つちのこのにじり寄るらし水鉄砲
つちのこも遊びたいのです。背後ににじりよってくる気配がします。振り向いて、おいでおいでしたいのですが…。いまは気が付かないふりをして我慢しています。

●雨し吹く天へ打ち込む水鉄砲
「し吹く」は、しぶく。「雨降りしぶく鉄兜」の軍歌が、バックにあります。遊びたいのに雨で遊べない悔しさ。そこで天へはかない抵抗。水でお返し。

●歓声に火口のしぶく水鉄砲
●歓声の銃口しぶく水鉄砲
2句同工異曲。「歓声があがる」が、眼目でしたが…いずれにしても「銃口に薔薇を!」の変奏曲としての反選句です。なお、「火口」は、カコウではなくて、ヒグチです。

●弾込めの静けさありて水鉄砲     「人」位選
銃の装填とは甚だブッソーな話と思いきや、水鉄砲の水でしたという、ウッチャリの効果をもくろんだものですが…

以上、つまらないハナシですみませんでした。ごきげんよう。

原稿は書いていたのですが、公開するのを忘れていました。スミマセン。