第200回俳句ポスト365兼題〈鰯雲〉には9句出しました。
「鰯雲」は身近な題材で親しみやすいので投句数も多く、また、大根のようにどのように料理してもおいしいので、実に多種多様な材料との「取り合わせ」が見られました。
少し俳句の事情がわかってくると、類想から抜け出ることに「もがく」ようになります。類想から逃れるということは奇想天外なアイデアに頼むことになり、人目に付くにはどんな表現があるかに腐心するようになります。創作活動は例外なくそのようで、そこからあたらしいものが創造されるのではないでしょうか。
●入水ほど美しきものなし鰯雲
玉川上水は水がきれいなので、足元に眺めていてふっとそんなことを思いました。ただし「入水」するほどの水量は無く太宰のはなしが嘘っぽく感じられてなりませんでした。太宰の入水は六月ですが、この暑さにはちょっと入れば気持ちがよさそうに思えて感情移入には程遠いのですが、まあ、ケレンで作りました。
●目笊に蒼くうろくづ残せ鰯雲
鰯雲は雲でありながら、「鰯」という記号特性をもっています。この特性を生かさなければこの季語の存在理由は無いことになります。だからと言って付き過ぎても、婆さんの孫への愛情が孫をコロシテしまうように句をコロシテしまいます。これ、殺された句。
●ちぢれっ毛笑はれしころの鰯雲
直毛の連中から縮毛のウロはからかわれました。その怨念の一句。
禿げてくる昨今、ぜいたくな悩みだったな、と今にして思うのですが…
●鰯雲所帯もってたかもきみと 「人」位選
ストーリー仕立ての一句。
●大正てふアナーキーてふ鰯雲
●モッブ過ぐ野の花を手に鰯雲
モッブ:群衆・暴徒
この辺が当店おすすめの一品。
●鰯雲西の右から焼かるらん
きれいな夕焼けになりそうな…
〈鰯雲南の端が取れてゐる〉クズウジュンイチさんの句ですが、さすが「地」位選の句だけあってうまいですね。
●うつくしきはこの処方箋鰯雲 「人」位選
9種類もらってくるクスリが1種類減りました。こんな他愛ないと思われることが病人にはうれしいのです。
●お天気マーク晴れのち大漁鰯雲
新聞の天気予報です。「晴れのち大漁」とありました。空を見たら鰯雲がいっぱいに広がってました。当店おすすめの一句ですが、川柳向きでしたかね…
パソコンが不調です。いまも、よそさんのブログを覗こうとしてフリーズしてしまいました。
「いいね」できずにいるウロの心中、お察しあれ!