五月一日に思う | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

 
「歩兵の本領」という軍歌がある。最もポピュラーなもののひとつで教練の行軍には必ず歌わされたものである。

万朶の桜か襟の色   花は吉野に嵐吹く
大和男子と生まれなば 散兵綫の花と散れ

「花は吉野に嵐吹く」の意味がよくわからない。こどものころは「アラシルク」だと思っていた。吉野にまさるところは他にない(桜は吉野が最高だ)、と勝手に解釈していたのである。

戦後のメーデーで必ず歌うメーデー歌に「聞け万国の労働者」がある。
虫唾が走るほど嫌いになったはずの「歩兵の本領」とメロディーが同一である。

聞け万国の労働者    轟き渡るメーデーの
示威者に起こる足どりと 未来を告ぐる鬨の声

このほかに歌詞を変えて運動会の応援歌に使われている。戦後を引きずった日本人の鈍感ぶりを示す好例ではなかろうか。
このオンチ向きの歌はいまでも、というか、またぞろ、というべきかスピーカーの音量を上げた宣伝カーで耳にするようになった。

この稚拙な歌曲に比べると「インターナショナル」はテーマソングとしてはさすがに高度で「ラ・マルセイエーズ」とともに世界を風靡するにたる名曲である。

はなしはこれで終わりだが、「歩兵の本領」のほうでヘンテコなニホンゴをみつけた。

軍旗守る武士は  総て其の数二十萬
八十餘ケ所に屯して 武装は解かじ夢にだも

最後の「夢にだも」である。「夢だにも」じゃないのか。
ヘータイさんに唄わせて誤ったほうを普及させる気か。

辞書を引いた。

「だにも」(連語)〔副助詞「だに」に係助詞「も」が付いたもの〕体現またはこれに準ずるもの、副詞などに接続する。「だに」を強めた言い方。①せめて…だけでも。②でさえ。

「にだも」は無いから「だも」を見る。

「だも」(連語)〔副助詞「だに」に係助詞「も」の付いた「だにも」の転〕接続・意味ともに「だにも」に大体同じ。→だにも(連語)

さて双方をこもごも舌頭にのせてみる。
辞書の説明の「転」じたものではなくて「誤用」したものが一般化したのではないか。
よくあるのだよニホンゴには。消耗はショウコウじゃなくてショウモウとかね。
しかしこんどのようなヘリポクター式誤りははじめてなので

  なるほどね!キチンライスと孫のいう   ウロ

すこしこのテのものを精力的に集めてみようかと思う。
いややめた面倒くさい。