覚えたただひとつのデンマーク語は「タク(ありがとう)!」。
ドイツ語のダンケ、ロシア語のスパシーボ、ポルトガル語のオブリガード、トルコ語だったかどうか忘れたがテシェクルエッディリーム。フランス語の、中国語の……
はなしがもう逸れた。すぐ脱線する。
物珍しがりの赤ゲットが贖ったところの、さて思い出の品は、レコードアルバム《SVENSKTOPPEN》24.50クローネ、丁英語辞書――丁英語? いやオレもはじめて書いたが、「デンマーク」は「丁抹」と書くらしいからデンマーク・イギリス語ディクショナリはこうなるのじゃないかと邪推しただけだ。辞書の名は『Lilliput / DANSK-ENGLSK』630ページ。タテ50mm×ヨコ35mmの豆本でカンニング用じゃないかな。
実物の写真はオレの動画『ノクリコ亀さん』にあるので見てくんない
http://ameblo.jp/ouroboros-34/entry-11999272835.html または
https://youtu.be/vxBONCaS1qM
まだある。
ゾーリンゲンの三徳ナイフ。これは買ったものではなくて、商談に行った先のお客さんからセビり倒して貰ったそこのノベリティーだ。だから“SOLIS”とそこの会社の名が刻印されている。
あとスーベニアショップで、土産みやげしたものとしてはただひとつオルゴールを買った。人魚姫の銅像の台座がロイヤル‐コペンハーゲンの焼き物で紐を引っ張ると「Wonderful Copenhagen!」の曲が流れる。ついで店先に実に見事な飾り蝋燭があって欲しくなったが指さす前にそこの主人から「それは日本製だよ」といわれて驚いたことがあった。
女房殿へはデパートの食器売り場ですてきな曲線美、なんといったらいいのか女性のヒップライン形のスプーン、北欧らしい木製の柄がついた6本セットを買った。左右対称でない独特な造形が面白いと思ったのだ。あたしへのお土産って実用的なのね、と彼女は言った。カレーライスのときはいまでも出番だ。このあやしい曲面をみると胸が苦しくなるが、ベランダに干してあるパンティを盗むときの気持ちもこんなかな?と思う。
向こうでの口慰みにスーパーで買い喰いした袋菓子にグミのような食感の駄菓子があって安いのでガサガサとカズ買い込んで餞別のお返しにみんなに配った。
みんなおいしいと好評だったが、その後、向こうのひとが出張で来日した折に話題にしたら、なんとあれはガムのようなもので飲み込んではいけないのだとのことで目が点になった。
土産ではないが記念になるものとしてはデンマークのお客さんのHBH社からもらったもので飾り皿がある。
飾り皿の絵柄はクロンボー城。例の『ハムレット』のモデルとして有名だ。
これもROYAL-COPENHAGENであそこの王室は作陶所を持っていて、ロイヤルなにがしのブランドネームで盛んに売りまくっている。王様の一族はクロンボー城に住んでいるわけではなく街中のアマリエンボーに居る。すぐ近くの運河べりに、さっき書いたオルゴールのホンモノの人魚姫のブロンズ像Den lille havfrueがあるが見に来るほどもないちっぽけなものでがっかりした。見ているひとはフィリピンのケソン島から来たという女性ただひとりだった。彼女のカメラで写真を撮ってあげただけでおわった。何回か手紙のやりとりをしたような気がするがもう覚えていない。
メモリアルグッズは、どれもくだらないものばかりだけれど、形をなさない思い出が籠っていて愛おしい。
あれ? オルゴールが見当たらない。どこへいった? おかしい、どこかにあるわけだが…
大切にしすぎて…どうしたろう? メロディはこうだ…
