この「博士の愛した数式」は、第55回読売文学賞と第1回本屋大賞を受賞した小川洋子原作の同名小説を映画化した作品です。

 私は映画よりも原作小説を先に読んだ後、ぜひ映画版を観てみたいと思い、映画を鑑賞した口である。そう思うくらい小説を読んた後、せつなく温かい気持ちになれたのだ。

 そして機会があれば、ぜひ小説もみなさんにも読んで欲しいと思っている。

 

 

 

 

 

 

・映画「博士の愛した数式」を観た感想

 

 個人的採点 ★★★★☆(4点/5点満点中)

 

 この「博士の愛した数式」は、交通事故のせいで80分しか記憶が持たない元数学博士と、彼の家に家政婦として派遣された女性とその息子(ルート)の交流を描いた作品である。

 原作では現在進行系の「私(家政婦)」視点で描かれていたのだが、映画の冒頭はその「私」の息子、大人になった「ルート(√)」が先生となり、授業の中で博士との過去を回想するシーンから始まる。ただだからといって、原作とは大きく違う内容なのかといえば決してそうではなく、かなり原作を忠実に再現している作品でした。

 そして小説同様、観終わった後に何とも言えない切ない気持ちと優しい気持ちになれた作品でした。

 記憶障害のせいで毎回同じ質問する博士とそれに対して毎回笑顔で答える「私」の交流を見ていて、もしも自分が毎日同じ質問をされたらそんな風に答えられるのだろうか、そしてどんなに親しくなれても、次の日にはまた一から関係をやり直さないといけないなんて、たまらなくせつないなと。

 

映画「博士の愛した数式」予告編

 

 

 さて、「博士の愛した数式」をご覧になったみなさんはどういう感想を持ったでしょうか?

 ぜひコメントしてもらえたら嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映画「13階段」は、第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和明原作の同名のミステリー小説を映画化(2003年)した作品です。

 

 実は私は、映画よりも先に原作小説を読んでいる。

 原作と映画の内容が違っているのはよくある事だが、今作品は原作小説が素晴らしい事もあり、世間の評価は厳しいものになっている。私は原作小説が非常に面白いだけに、映像化はかなりハードルが高かったのではないかと思っている。

 ちなみに原作者の高野和明氏も、映画版「13階段」をあまり評価していなかったようである。

 

 まず私が皆さんに伝えたいのは、読書好きの方で「13階段」をまだ未読という方がいたら、ぜひ原作小説を読んで欲しいという事だ。とにかくデビュー作とは思えないほど、面白い小説に仕上がっているのだ。物語終盤の急展開も素晴らしく、賞を取ったのも納得の作品である。

 

 

 

 

 

 ・映画「13階段」を観た感想

 

 個人的採点 ★★★☆☆(3点/5点満点中)

 

 ジャンルはミステリーです。とある死刑囚の冤罪を晴らすという高額報酬の依頼を受けた刑務官を退職した男と、その刑務官がパートナーとして雇った仮出所中の青年をベースにしてストーリーが進んでいきます。一体真犯人は誰なのか?終盤のドンデン返しともいえる展開も、きっとみなさんを驚かせると思います。

 

 私の場合はすでに原作小説を読んでいるので、原作小説と映像、2つの照らし合わせをしながらの鑑賞となった。

 観ていて思ったのは、原作小説は息つく暇もなくスリリングな展開で進んでいくのに対して、映画の方は非常に静かに、そしてゆっくり淡々と進んでいくという事だ。

 あと気になった点は、この作品は原作を改変した場面もかなり多かったのだが、結果的にそれが良い方向には転んでくれなかったのかなと。

 

 この作品を観て、原作者や世間の評価が非常に厳しかった理由も納得出来ました。ただ個人的にミステリーは好きなジャンルなので少々甘めの採点となりました。

 

 さて、すでにこの作品を観られたという方はどのような感想を持ちましたか?

 小説を読んだという方もよろしかったら感想を聞かせていただけたら幸いです。

 

 

 

映画「護られなかった者たちへ」は、中山七里(なかやま しちり)原作の同名小説を映画化した作品です。

主演は佐藤健。2021年10月に劇場公開され、興行収入は8億2600万円。2022年には台湾でも公開されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

・映画「護られなかった者たちへ」を観た感想

 

 個人的採点 ★★★☆☆(3点/5点満点中)

 

 ジャンルは社会派ミステリーになります。

 私はかなりのミステリー好きなので、ジャンルがミステリーという時点で高評価が確定しているはずだったのですが、今回はどっちつかずの中途半端な評価になっちゃいました。

 

 残念ながら私のような薄っぺらい人生しか歩んでこなかった人間には、この映画のテーマが少々重すぎたんですよね…。

 

 

 というわけでさっそく映画の感想に入りたいと思う。

 

 この映画は、「東日本大震災」「生活保護」「連続殺人事件」、この3つをベースにして物語が進んでいく。

 

 東日本大震災がきっかけになって浮き彫りになったのが、生活保護を不正受給をする人たちがいる一方で、本当に生活保護を必要としている人たちが生活保護を受けられないという、生活保護制度の矛盾部分だ。

 

 そしてこの制度の矛盾が、周囲を巻き込んだ悲劇を生んでしまうきっかけとなる。
 

 私の中で今作の評価が中途半端になってしまったのには、個人的な感情面が大きかったと思う。

 テーマがテーマだけに、何とも言えない、やり場のない感情が最後まで残ってしまうのだ。

 「果たしてこれしか選択肢はなかったのだろうか?」「ここまで追い詰めてしまう前に誰かが気づいてあげれば悲劇は生まれなかったかもしれない」という、一体誰に対しての怒りなのか悲しみなのか、訳のわからない気持ちが私に芽生えてしまったため、ミステリー好きではあっても評価が難しくなってしまった面があった。

 どうやら私は映画というものを、あくまで娯楽として楽しみたいタイプの人間のようである。

 

 おそらくこの作品の結末をむりやり綺麗事に持っていったのは、見終わった後の後味の悪さを誤魔化すためなのだろうと思う。

 

 ただその一方で私は、この映画が決して見ていて辛いだけの作品ではないとも思っている。

 震災後の大変な生活の中にも小さな幸せが存在していたであろう事を、この作品内で匂わせてくれているからだ。

 そこがこの作品の唯一の救いになっているのではないだろうか。

 

映画『護られなかった者たちへ』予告編

 

 

 さて、すでにこの作品を観たという方はどんな感想を持ったでしょうか?

 きっと私とは違う感想を持ったのかもしれません。

 

 ぜひみなさんの感想も聞いてみたいです。

 よろしかったらコメントもよろしくお願いします。