京大対策数学 文系編 | 元国立医学部生 数学の定石 鉄則を解説します

元国立医学部生 数学の定石 鉄則を解説します

国立医学部を卒業し、現在医師として働いています。頭の体操も兼ねて、趣味で大学受験の数学の問題を解いてます笑
勉強方法や、オススメの問題集を紹介していきます。ひとりでも多くの難関大の受験をする人の役にたてればと思います。

ブログを書くのめちゃくちゃ久しぶりになりました笑

今回は、京大対策数学 文系編ということで、いかにして京大数学を攻略していくかという方法についてお話をしていければと思います。

具体的に何をどのように考えて行動するか?ということに踏み込んで解説しているので、超実践的な内容になっているかと思います。

読んでいただけた方に少しでもお役に立てれば幸いです!

 

今日のブログは、以下の進め方で行きたいと思います。

1、京大頻出分野

2、京大数学の勉強方法

3、具体的に何を用いてするか

 4、まとめ


1、京大頻出分野について

 京大では、確率、整数、微積、図形問題 の4分野は毎年必ず出題されます。この4分野を突破することが合格するための必要条件となります。よって、普段勉強する時も、この4分野を重点的に勉強するのが効率が良いでしょう。

それぞれ頻出の考え方を見ていきたいと思います。

 

確率について

n回の試行、n個のサイコロなど、一般のnに関する出題が多いです。そして、傾向としては、圧倒的に確率漸化式に関する出題が多い印象です。一般のnに関する問題は苦手とする受験生が多いかもしれませんが、やることは単純です。鉄則として、まずは簡単なn=3,4,5などで具体的に実験をして様子を掴むことです。この実験で、ああそうか!という要所となる気づきを得ることができます。勘所を発見できるまで、表を書いたり、図を書いたりしていきましょう。

確率漸化式に関しては、なぜ確率漸化式を用いる発想が湧くのか?ということが大切になってきますが、ポイントが2つあります。

1、起こりうる状況が数個に限られる場合

2、反復試行の場合

以上の2つが、もしかして確率漸化式を用いるのでは?という思考につながります。

 

整数について

京大で毎年出題され、年度によって難易度の差が激しい分野でもあります。 京大整数の特徴として、素数に関する出題が圧倒的に多いということが挙げられると思います。素数の扱い方に関しては、知っているか知らないかで圧倒的な差が生じるので、次回の記事に素数の扱い方について、別途まとめて行きたいと思います。

他にも、無理数・有理数に関する証明、漸化式と絡めた問題、数学的帰納法や背理法を用いる証明なども多いため、これらの問題は数多く解いておく必要があります。

 

微積について

微積は必ずどの大学でも出題されますが、京大でも毎年必ず出題されます。この分野は新しい問題が作りにくいという性質があるため、典型的な問題が出題されます。自分の持っている問題集のパターンは完全にマスターし、微積に関しては、必ず完答しましょう。

 

図形について

京大数学を特徴づけるのが特にこの分野かと思います。京大数学の最大の特徴として『解法選択をする』ことが挙げられます。

図形問題を解く際の方法としては主に以下の4つあります。

1幾何的に解く

2ベクトルを用いる

3座標を設定する

4三角関数を用いる

(理系であれば、5複素数平面の導入)

そして、受験本番では、この中からどれを用いて解くか?という解法を選択することから始まります。京大の出題陣は、図形の解法を選択する能力も問うています。この能力を向上させるためには、たった一つの方法しかありません。それは、『図形問題を解く際には4つの解法で解けないか常に考え、解けたとしても別解を考える』ということです。

 

また、図形量の最大・最小の問題も頻出です。特に差がつくのは、自分で変数を設定して解く問題かと思います。

図形量の最大・最小の問題には鉄則がありますので、以下の鉄則にしたがって問題を解いてください。

図形量の最大・最小問題⇨辺or角度を変数に設定する。

当然と言えば、当然です。図形を決定づけるのは辺と角しかありませんので。問題は、どっちを変数に設定したら計算が楽になるかを考えることです。

 

2、京大数学の勉強方法

以上の頻出分野と傾向を踏まえて、京大数学の勉強方法について具体的にまとめていきます

 

別解を考える習慣をつける

 先程の図形問題の所でもお話しましたが、京大は誘導が無い問題が多い分、自分で解法の選択を1からしなくてはなりません。そのため、1つ問題が解けたとしても、違う解法で解く訓練が絶対に必要になります。解法の選択によって計算量に差が生じたり、問題の難易度が変わってくるため、どの解法が適切かを見抜く力が求められているからです。

本番で適切な解法を選択する力は日々の別解研究で培われます。

 

誘導を無くして問題を改変する

 近年の京大数学は、誘導のある問題が増えてきましたが、依然として差がつくのは誘導無しの問題だと思います。普段問題集を解く時は、必ずしも誘導無しの問題ばかりではないかと思います。そこで、京大の過去問でなくても、京大対策に結びつける方法として、『誘導を無くして問題を改変する』という勉強方法が役に立ちます。

 例えば、(3)まである問題だったら、

 ・(1)(2)がなかったら、自分はいきなり(3)だけでも解けるのか?

 ・(1)(2)があるおかげで、この問題はなぜ簡単になるのか?

 ・(3)をいきなり解くために必要な発想は何か?

ということを自問自答していただきたいのです。一問を解くたびにこのことを心がけておくことで、『発想力』は大いに向上します。

 

既存の典型問題と結びつける 細分化する

 京大に限らず、必ず必要な考え方だと思いますが、解いた問題を『あの問題と似ているな!』という、自分が過去に解いた類似問題と結びつける作業を行なって欲しいのです。これによって、問われ方が違っても、解法の本質を見抜く力が養われます。普段の勉強では、『あの問題』を一題でも増やすことを心がけていきましょう。私は、これを『問題のストックを増やす』と言っています。入試に出題される考え方・パターンはある程度限られているので、やはり知っている問題が多い人の方が圧倒的に安定した成績を残せると思います。当然ですが、100問の解法を知ってる人と、10問しか解法を知らない人では前者の方が成績は良さそうですよね(もちろん、完全に理解した100問です。中途半端な知識は、生兵法は大怪我のもと、になるのでご注意を)

京大志望の方は、解いた問題をできるだけ京大の過去問と結びつける作業をして欲しいと思います。『この問題は、京大のあの問題と考え方が似ているなあ』という分析を普段の勉強からやってもらいたいです。

 

また、入試問題は複数の典型問題の組み合わせで構成されている事が多いです。よって、問題を解いた際に『この問題はあの問題と、あの問題の2つを組み合わせて作られたんだな』と、一つの問題を複数の問題に細分化することをしてください。

こうする癖をつけておくことで、あらゆる問題は既存の問題の組み合わせに過ぎないという認識が得られる他、よく使う『あの問題』が自分の中でブラッシュアップされ、違う聞かれ方をされても既存の問題を想起しやすくなるといった、メリットがあります。


④実験する

東大や京大で必要とされる数学の力に、この実験力があると思います。具体的な値で実験する、表や図を用いて規則性を見抜く、などといった、手を動かして初めて問題の糸口が見抜ける問題が毎年出題されますが、このような問題は非常に差がつきやすいです。特に、整数や確率、数列の分野で顕著だと思います。一見、糸口がわからない問題でも、とにかく手を動かして実験することで糸口は見つかるのだと心がけてください。

 

3具体的に何を用いて勉強するか

①京大の過去問

 京大の問題を解く力をつけたければ、最優先に取り組むべきは京大の過去問です。やはり、京大の問題は独特な雰囲気があり、普通の問題集を解いて力をつけてから京大の問題をとく という流れでは、京大の問題は解けません。(もちろん、ある程度の解法暗記は終わっている前提です。)京大の問題を解けるようになるための最優先事項は、京大の過去問演習です。

 そして、京大の過去問を解説している本は、赤本や青本、25ヵ年などたくさんの本がありますが、圧倒的におすすめな参考書が『世界一わかりやすい京大文系数学』です。京大志望で、この参考書を持っていない人は是非ともすぐ本屋さんに行って買ってもらいたいです。京大の問題は、答案を書くまでの考え方・発想の仕方の部分が非常に大切になるのですが、この本は、どうしたらその解法が思いつくのか?ということを、これ以上丁寧に説明できないというくらいまで丁寧に説明しております。市販の問題集の解答を読んで『こんな発想思いつくわけないよ!!』という人には、非常に役立つ一冊だと思います。

また、こういう問題には、こういう解法選択があるからこの中から選ぼうね というまとめの部分もあり、その部分が非常に優秀で役立ちます。

私自身も使用しましたし、京大文系志望の子、京大医学部志望の子にもこちらを用いて過去問指導し、2人とも合格することができました。

収録されている問題は60題と決して多くはありませんが、だからこそ1周しやすく、復習も短期間でできるためおすすめです。

何を隠そう、京大の数学を解けるようになる近道は京大の問題を解くこと とは、この本の著者から学んだ考え方です。

 

また、京大は過去問を大切にするという文化があり、過去に出題された考え方が繰り返し出題される傾向にあります。そのため、最低でも10年分、余力があれば15年分〜20年分を解くことをおすすめします。

 

他大学の過去問  

演習する際には、京大の過去問以外の他大学の過去問演習も役立ちます。

『電数図書館』というサイトで、無料で数学の過去問が見れますのでおすすめです。

また、東進の過去問サイトに登録すれば、実際の問題を表紙から印刷して使用でき、解答や難易度なども見ることができるので、登録しておくことをおすすめします。

 

他大学の過去問演習で特におすすめしたいのが、九州大学、一橋大学、東京大学の3つの大学です。

難易度はご存知かと思いますが

九州<一橋≦京大≦東大というイメージです。

 

九州、一橋の問題は京大よりやや簡単か、同難易度という点で共通テスト後の、共通テストぼけの解消に非常にいい演習ができます。また、比較的、京大と似たり寄ったりな問題が出題されるということもあり、京大対策の素材としては優秀な教材です。

大切なことは解き終わった後に、『誘導を外したらどんな問題になるか?』『別解はないか?』『京大のあの問題と似ているなあ』といった、分析をすることです。それが京大対策につながります。

どの年度も演習に役に立ちます。時間がない人向けに、特におすすめの年度を記載しておきます

九州大学 2021年、2020年、2018年、2016年、2015年

一橋大学 2021年、2020年(最強におすすめ)2016年、2013年

 

 東大の問題は、京大とは少し毛色が違いますが、思考力を涵養する という観点では非常に有意義だと思います。少し難易度の高い問題演習を行うことで、難易度の上限を見ておくというのも大切な勉強法です。悪戯に難しいわけでなく、非常に良質な問題で思考する価値の高い問題が揃っています。また、整数、確率、図形、微積 といった毎年出る頻出分野が京大と被っているので、無駄がないというのも東大の過去問が使いやすい理由の一つです。実験しないとわからない問題も数多くあり、実験力の養成にもピッタリだと思います。

ただ、時間がない人や、そこまで数学の点数を求めない人にはオーバーワークになってしまう恐れがあるので、残された時間と自分の数学力と相談して用いるようにしてください。

時間がない人のために、東大の問題に関しては分野別に京大対策としておすすめの近年の問題の中から20問を厳選して記載しておきます。

特に、図形問題はかなり京大対策として有用な教材かと思いますので解いておくことをオススメします。

整数 

2018年 大問2

2017年 大問4

2016年 大問4

2014年 大問4

確率 

2017年 大問3

2016年 大問2

2015年 大問4

2013年 大問4

2012年 大問3

図形 

2019年 大問1 ((1)の誘導を外して解いてください)

2018年 大問4

2017年 大問2

2016年 大問1

2015年 大問3

2012年 大問2

微積 

2021年 大問1(かなりオススメ 河合塾が的中させたらしい)

2017年 大問1

2016年 大問3

2013年 大問1

2011年 大問1

 

③問題集 参考書

a.過去問対策

・『世界一わかりやすい京大文系数学』

・『京大数学の25ヵ年』

オススメは、先程述べた、世界一わかりやすい京大数学です。ただ、問題数が少ないため、演習量を積みたい方は京大数学の25ヵ年や電数図書館、東進過去問posを併用して活用すると良いでしょう。

 

b.典型問題対策 

・『新数学スタンダード演習』 

・『文系数学のプラチカ

・『ハイレベル数学IA ⅡBの完全攻略』

問題数を稼ぎたい方や、一対一対応の演習の後にやるのなら、新数学スタンダード演習

難易度の高い典型問題を150問ほどで解きたい方は、文系数学のプラチカ

問題数は少ないが、解説が豊富で一題から数多くのことを学びたい方は、ハイレベル数学の完全攻略 をオススメします。

 

c.模試過去問の活用

 過去問が解き終わった方や、更なる実力を向上させたい方、京大に特化した演習量を増やしたい方は、駿台や河合塾から発売されている京大模試の過去問を解くことを強くオススメします。理由としては、本番より少し難しい問題に接することで実力向上が見込めること、配点が書かれており自己採点がしやすく簡易的に偏差値が出るため自分の立ち位置が把握しやすいことの2点です。京大の問題を解けるようになるには、京大の問題を解くのが近道だというお話をしましたが、模試の問題は京大の過去問にそっくりな問題のため、京大型の問題をストックするのにうってつけだと思います。また、入試本番は数年に一度、えげつない難化をする年がありますが、そういった難易度を経験するという観点からも有用だと思います。

 

 4、まとめ

①頻出分野を鍛えよう。整数、確率、図形、微積

②別解を考える、誘導を取る、典型問題への帰着と細分化、実験する などの意識を持とう。

③京大の過去問の徹底的な演習をしよう。他大学(九大、一橋、東大)の過去問や京大模試過去問の活用しよう。


以上です!! 非常に長くなりましたが、普段の勉強にお役に立てる考え方が少しでもありましたら幸いです!

京大数学は正しい考え方、やり方で対策すれば誰でも高得点が取れるようになります!受験生の皆さん、頑張ってください!