O 今回は深夜に酒を入れつつという、T君との対談では無かったパターンでやってみます。

 

T 気分は朝まで生テレビですね。

 

O お、徐々にエンジンがかかってきたところでしょうか。そしてこれもまたT君とは初めての、自宅の一室という今までとは違ったシチュエーションでやっていきます。

 

T もう気分はとらやですね。

 

O お、そしてすでに今回のテーマを匂わすワードも入れていただきましたね。導入がしっかりできたところで、テーマ『男はつらいよ』に入っていきましょう。

 

T 今はBSジャパンで毎週土曜日に『男はつらいよ』を第1作から放送してるから、取り上げるタイミングとしてもちょうどいいんじゃないかね。

 

O 『男はつらいよ』って何年か前にもBSで毎週1作ずつ放送してなかったっけ?見た記憶があるんだけど。

 

T たしかにWOWOWでも去年全作放送をやってたし、時々放送してるかもしれないね。でも僕がきちんと第1作から見始めたのは今回が初めてだな。

 

O 再放送と言っても、全部で48作もあるわけだから、ドラマを再放送するようなわけにはいかないよね。一通り放送するだけでも丸一年かかる。

 

T ギネス記録にもなってるぐらいだからね。時間に換算してみると、1作2時間として約100時間か。すごいね。

 

O いやぁ、でも良い映画だよね。毎回基本パターンみたいのは決まってるかもしれないけど。

 

T お決まりのところはあるよね。地方に行き…

 

O 地方に行き、東京に帰ってくるんだけど、なんやかんやでまた地方に行き…。だいたい家族が噂話をしてたりすると帰ってくるんだよね。まるでレーダーでも付いてるんじゃないかと思うぐらい(笑)。

 

T そう言えば、昨日4作目の『新・男はつらいよ』を見たんだけど、寅さんが名古屋の競馬場に行って、一儲けして東京に帰ってくるってエピソードがあった。ちょうど明日ジャパンカップを控えた我々にも共通するネタだと思って見てたんだけど。

 

O そうですね、我々もですね、寅だけじゃなく馬も狙って…って、自分で言ってることがよくわかんなくなってしまいました。寅と馬をかけようとしたんですが。深夜だとこういうことが起きます(笑)。

 

T そうですね(笑)。

 

O でもワンパターンなんだけど、そのワンパターンが良かったりもするんだよね。だいたいいつも寅さんが旅をして、旅をする中で思いを寄せる女性が出てきて、そして最終的にはうまくいかない(笑)。もうモテない男のバイブルみたいな作品だよね。

 

T 山田洋次監督がテレビのインタビューで言ってたけど、『男はつらいよ』っていうとちょっと古い映画で、当然僕らの世代の映画ってわけではないんだけど、最近は若い人にも人気が出てきてるみたいだね。今になってまた見直されつつあるのかな。

 

O それを聞いて思い出したけど、前に先輩に連れてってもらったキャバクラで、キャバクラ嬢と寅さんの話で盛り上がるという一幕があったよ。

 

T 何歳のキャバ嬢やねん(笑)。

 

O いや、でもまだ30そこそこの人だったよ。なぜかふと話題に出た寅さんの話で盛り上がって、第1作目のマニアックなネタも知ってたりして、この人本物だなって思った(笑)。

 

T だけど初期のころの作品って、まだ型にはまってない感じがするよね。草創期ならではの雰囲気があると思う。

 

O 型が完全に作れてない段階なんだろうね。いろんな鋳型に流し込んでみて、どんな形が良いのか探ってる段階なのかもしれない。

 

T だから好きな作品の投票をやっても、十何作目ぐらいの作品が1位になるみたいだね。

 

O それってメロン事件が出てくるやつじゃない?

 

T あれはたしか『寅次郎相合い傘』だったかな。一番の名シーンと言われてる場面だね。

 

O 寅さんが出かけてる間にメロンを食べようということになって、人数分に切り分けるんだけど、寅さんが東京に戻ってきていることを忘れてて、寅さんの分を忘れちゃうんだよね。そのタイミングで寅さんが帰ってきちゃう。そのときの寅さんの第一声が面白くて、落ち着いたトーンで「わけを聞こうじゃねぇか。」(笑)。気まずい沈黙が流れてからの間がばっちりですごく面白いと思った。

 

T しかもそのメロンは寅さんが持ってきたメロンなんだよね。あれはやっぱり切れ味鋭い名シーンだ。

 

O ちなみにさっきのキャバ嬢が知ってた第1作の細かいシーンっていうのは、おいちゃんがさくらに押入れから枕を出してもらおうとして、間違えて「まくら、さくら出してくれ。」って言うシーンなんだけど、それを向こうから先に言ってきたからびっくりした。まあ、その話は置いときましょうか(笑)。

 

To Be Continued...

O ここらで前回の南アフリカ大会の話でもしましょうかね。まず一番気になったのは応援。あれはびっくりしたね。

 

T ブブゼラね。あれも賛否両論あったみたいだね。とくに選手には評判が悪かったらしいけど、僕は特徴的でよかったと思う。あの音を聞くとあの大会を思い出すといった感じで。

 

O とにかく最初見たときの印象がすごかった。ずっとあの音しかしてないんだもんね。テレビで見てても鬱陶しかったから、選手たちはなおさらだったろうね。

 

T プレイに集中できないって意見もあったみたいだよ。

 

O で、世の中もミーハーだから感化されて、日本でもブブゼラが売ってたりした(笑)。

 

T むしろ南アフリカ人も便乗して、絶対いつも以上に吹いてたと思う(笑)。

 

O ビジネスチャンスだということかな。でも蜂の羽音にも似てるから、僕はまずそれで嫌悪感を持ってたけど。

 

T でも夜中に起きて見る分にはあれぐらい騒がしいほうが眠気覚ましになってよかったのかもしれないね。

 

O あとは、あの大会で印象に残っているのはミスジャッジだね。ドイツ対イングランドのときだったかな。ゴールしたんだけど、ゴールしてないと審判が判断した場面があった。リプレイで見たらあきらかにゴールラインを割ってたんだけど。

 

T あれから審判が5人制になったりとか、ブラジルワールドカップではゴールラインテクノロジーというのも導入されて、ゴールの両端に機械を取り付けて、マイクロチップを埋め込んだボールが通過すると機械的にゴールが判定されるしくみになるらしいよ。

 

O 絶対そのほうがいいよね。ゴールのミスジャッジがあると、勝ったチームも負けたチームも気分が良くないからね。ドイツ対イングランドのときはたしか2点差とかで、結局はそのゴールがあってもなくても勝敗が決まっていたからまだよかったけど、その1点が明暗を分けるようなことになったらそれこそ後味が悪い。

 

T いずれにせよジャッジは難しい問題だけどね。ゴールは機械的に判断できるようになっても、ファウルはそういうわけにいかないから。退場になるならないとか、PKになるならないとか。だから、審判も人間だからときにミスをするものであって、そのミスジャッジも含めてスポーツだという考え方もあるね。

 

O たしかに野球のストライク判定とかも審判によって色があったりするし、スポーツには付き物なのかな。

 

T 野球で言うと、ホームランかファウルかを判断するのにビデオ判定が導入されたというのがあるね。昔はポールを巻いたかどうかがよく議論の的になっていたけど、ビデオ判定が導入されてそういうことはなくなった。サッカーもファウルのシーンで足がかかったかどうかをビデオ判定で確認するようにしたらどうかという考えもあるみたいだけど、サッカーは野球と違って時計が止まらないスポーツだから、難しいところがあるみたいだね。

 

O でもビデオ判定している時間はロスタイムに追加していけばいいんじゃないかな。ロスタイム10分とか(笑)。

 

T あと現代で厄介なのは、ビデオ判定はなくともすぐにリプレイが出ちゃうから、誤審だったかどうかもすぐにわかっちゃうんだよね。だから昔は誰も本当はどうだったかがわからなくて審判も逃げられるところがあったと思うけど、今はそういうわけにはいかなくなっちゃった。審判もつらいところだね。

 

O 本当のところは誰もわからないぐらいのほうが面白いかもしれないけどね。

 

T 『レフェリー』というEURO2008のときの審判の裏側を撮影したドキュメンタリー映画があるんだけど、それを見ると審判の様子がよくわかるよ。重圧と闘っている様子とかが。主審と副審のマイクを使ったやりとりなんかも公開されてるんだけど、「今のはオフサイドで上げたけど、あまり自信がない。」という会話があったりして、迷いながらジャッジをしていることが見てとれる。

 

O オフサイドは見てても微妙なところがあるよね。「今のオフサイド?」って思うのもあるし、逆に「あ、今のは大丈夫なんだ。」って思うのもある。判定が難しそうだ。もしかしたら一瞬ボーっとしちゃったけど、まいっかって旗上げてるときもあるかもしれないね(笑)。

 

T ブーイングや脅迫を受けることもあるし、試合後にはビデオで検証もされちゃうんだよね。ここのジャッジは合ってた、ここのジャッジは間違いだったって。それで採点もされて、点数が良かった審判団が決勝トーナメントの審判もできるようになっている。

 

O じゃあ審判もふるいにかけられていって、決勝戦の審判をやっている人はかなり能力の高い人ってことになるんだね。

 

T 当然審判だから自分の国が勝ち上がってきたら裁けないという条件はあるものの、基本的には技術のある人が準々決勝、準決勝と勝ち上がっていくことになる。

 

O もう一つのワールドカップが裏で行われているということか。知らなかったな。

 

T そうやって裏側を見てみるのもまた面白いよ。

 

O 裏側も知っていると、また違った視点でワールドカップが楽しめそうだね。ではその映画を次回のブラジル大会までに見ておくことにしますか。

 

The End.

T あのときのイタリアはカルチャースキャンダルがあって、その逆境をバネにして優勝したという見方もあったね。

 

O スキャンダルがあったの?

 

T ユベントスが審判を買収する不正をしたんだよ。それでユベントスはリーグ優勝を剥奪されて、2部降格という処分を受けた。

 

O 僕はそういう背景とかを知らず、いきなり大会から入ったから、そんな状況だったとは思わなかったよ。

 

T 背景とかを知って見るとまた面白いんだけどね。背景だとか、昔からの歴史だとか、昔からのキズナだとか(笑)。

 

O 今日はちょいちょいキズナを引っかけてきますな(笑)。

 

T まあ、さっきの競馬とはスクリプトが別だから何のことやらという感じだが…。でも、ヨーロッパのサッカーなんかもスカパーとか入っているファンじゃなければ普段見る機会もないから、そういった意味でもワールドカップは楽しめるかもしれないね。

 

O 僕はとにかくお祭りごとが好きみたいで、ワールドカップもお祭り感がいいんだよね。いろんな国が見れるし。

 

T 要はミーハーなんだね。じゃあ、オリンピックも好き?

 

O オリンピックも好きになってきたね。オリンピックはいろんな競技が見れるのがいいね。僕はみんなが注目するようなメジャーな競技よりも、マイナーな競技の中に新たな面白さを発見して楽しんでるかな。去年のロンドン五輪でも、重量上げとか、トライアスロンとか、そういうのを見て面白いと思ってた。

 

T 何だか長いものに巻かれようとしているのか、人とは違う路線を行こうとしているのか、よくわからんな(笑)。

 

O どっち路線なのかは自分でもよくわからないな。ワールドカップも日本代表がとくに好きってわけでもないし。どちらかというと海外勢、いろんな国がそれぞれの威信をかけて闘っている、その感じが好きなんだよね。

 

T 日本代表も自分の国だから見てて楽しいけどね。思い入れじゃないけど。

 

O そういうときに自分のあまのじゃくな部分が顔を出しているのかもしれないな。みんな応援してるから、自分一人ぐらい応援してなくたっていいだろうと。

 

T でも自国を愛してこそ、他国も愛せるものじゃないのかね。

 

O 敵を知るにはまず味方からということかな。

 

T そうだね。自国というフィルターを通して見るからこそ、他国の実力がわかるんじゃないかな。

 

O この話をしていて思い出したんだが、去年読んだ、沢木耕太郎が日韓ワールドカップを観戦したときの連載をまとめた『杯(カップ)』という本に、ワールドカップには二つの楽しみ方があると書かれていた。一つは自国を応援する楽しみ方、もう一つは僕の言ったような、祭典として世界最高のプレーを発見していく楽しみ方。

 

T たしかに、自国以外にも好きな国があったりすると、より楽しめるね。僕の場合はそれがポルトガル代表だったりするんだけど。

 

O ポルトガルかぁ。ポルトガルは僕もちょっと気になるところがあって、僕らと同い年のクリスチアーノ・ロナウドがいるんだよね。たしか同い年だったよね?

 

T 彼は早生まれだったと思うけど、学年は同じだよ。

 

O だからそれを知ってからまた親近感が…

 

T キズナを感じたんですね(笑)。

 

O やっぱり今日わかったことは、僕はつくづく人情派だということだな。

 

T つまりキズナを大切にするということですね。しかし、キズナは買わなかったと(笑)。

 

O キズナのことはもういいよ!これから「キズナ」とひとこと言うごとに罰金500円な(笑)。で、やっぱり同い年世代は気になるところがあって、自分の小ささを知るきっかけにもなるんだよね。彼らは世界で活躍しているのに、片や自分は極東の片隅で何をやっているんだろうと…(笑)。フェイスブック創始者のザッカーバーグ氏とかもそうだけど。

 

T まあ、それはあるかもしれないな。

 

O ちなみに他にも気になる国はあるの?同じヨーロッパで見てもいろんな国があると思うけど。

 

T 強豪国なんだけど、超一流とまではいかない一段落ちるような国が好きなんだよね。ポルトガルもそんな国の一つだと思う。サイドアタッカーにはいい選手がたくさんいるけど、センターフォワードにはいい選手が出てこなかったりとか、少し欠点というか弱さを持った部分がまたいいと思う。判官びいきじゃないけど。

 

To Be Continued...