O では何年ぶりですかね?対談を始めましょう。
T バンプはテレビに出ないことでも有名だよね。この前Mステに初めて出て話題になってたけど。
O そもそもバンドの人ってあんまりテレビ出ないよね。最初からメジャーで売り出してる人たちは出てるかもしれないけど、インディーズから上がってきた人たちはあんまり出てるイメージがない。アジカンとかもそうだけど。
T テレビ嫌いな人もなかにはいるからね。バンプも出たけど、タモさんとのトークはなかったらしい。
O タモさんでもいじれなかったってことなのかな。
T 別にそういうわけではないでしょ(笑)。テレビに出ると大衆に媚びてる気がして嫌がる人もいるみたいだね。桑田佳祐の歌詞じゃないけど。
O 桑田佳祐の歌詞にそんなのあったっけ?
T 『すべての歌に懺悔しな!!』の歌詞に「テレビにゃ出ないと言ったのに」というのが。
O ああ、あったね。そう言えば、桑田佳祐とMステで思い出したけど、前にサザンが『愛と欲望の日々』でMステに出たときは、桑田さんがタモさんに「この曲はタモさんのために作った曲です」と言ってた(笑)。
T いかにも桑田さんらしいな(笑)。
O まあ、でもそういう大衆に媚びないところがファンに受けるのかもしれないね。
T それに反権力って見方もできるかもしれないね。大きな力に抵抗するというか。
O そもそもバンド名の「BUMP OF CHICKEN」も、日本語に訳すと「弱者の一撃」となるみたいだからね。そういう意味合いもあるのかもしれないな。自分たちの立ち位置を「チキン」としているバンド名ってのも面白いね。
T アイドルっぽさは全く無い名前だね。
O 逆にそういう名前でテレビにバンバン出まくってたら、それもそれで面白いかもしれない(笑)。
T すべては事務所の作戦次第だろうけどね。
O TさんはBUMP OF CHICKENのどんなところが気に入ってますか?
T やっぱり歌詞かな。歌っていうのは短歌や俳句のころからそうだけど、文字面だけでいかに勝負するかというのが本来の姿だと思うんだよね。バンプはそれに応えてくれるバンドだと思う。それに歌詞が良いと単純に心に沁みるし。
O バンプは歌詞に工夫があるところも良いよね。韻とかとはまた違うけど、歌の中に一つのテーマがあって、それが伏線のようにつながっていくのが面白い。ちょっと表現するのが難しいけど、何か遊び心のようなものが歌に隠されている。
T ちなみに僕の一番好きな歌詞は『メロディーフラッグ』の「僕らは嫌でも明日を迎えていつかは昨日を忘れる」ってところなんだよね。
O 深いですなぁ。
T とくに失恋時なんかには効果適面(笑)!O君は何か好きな歌詞はある?
O そうだなぁ、すぐにぱっと出てこないなぁ。歌詞が一番好きなのは『ロストマン』だけどね。でもその中でもとくにこのフレーズがってのはすぐに出ないな。
T 『ロストマン』は曲全体が好きって感じなのかな?
O そうだね。だからライブでも『ロストマン』やらないかなって密かに期待してたんだけど、結局やらなかったから残念だった。途中で「まだこのツアーでやってない曲をやります」と藤原さんが言って、一瞬「おっ、もしや?」てなった瞬間はあったんだけど、違った(笑)。
T リクエストできたらいいんだけどね。アルバムだと何が好き?
O 『ユグドラシル』かな。大学のころすごく聴いてたからね。僕の中では『ユグドラシル』が一番印象に残ってる。
T 僕は『jupiter』かな。
O そう、だいたい『jupiter』って言う人が多いんだよね。『jupiter』派が多い中、僕はあえての『ユグドラシル』かな。さっきスルメの話があったけど、『ユグドラシル』はとくに最初聴いたときは暗くて取っ付きにくかったけど、だんだん聴いてるうちに味が出てきたパターンだった。
T あとは最新アルバムの『RAY』も良かったな。ここのところバンプで気に入る曲がなかなか出てこないでいたんだけど、あのアルバムは自分の中で久々にヒットして、バンプの良さを再認識した。
O 最近の曲だと、僕は『グッドラック』が良いと思ったね。『グッドラック』の歌詞に文字通りぐっときまして(笑)、僕も久々に自分の中でのヒットを感じたな。やっぱりこういう歌詞を書けるのが藤原さんのすごいところなんだと改めて感心したね。
T やっぱり結局は歌詞の話に集約されてくるね。
O 『グッドラック』はとくに、「さよならした時初めてちゃんと見つめ合った」とか、言葉自体はわりとありふれた言葉選びがされてるんだけど、その中で別れる者の気持ちを的確に表現しているところがすごいと思った。
T バンプの歌詞の良さが改めて確認できたところで、このへんで終わりますか。
The End.
T スルメじゃないけど、噛めば噛むほど味が出る、そんな曲もあるよね。最初はわからなかった歌詞の意図に後から気付くとか。そういうところに惹かれて藤原教(笑)みたいな人も出てくるのかもしれないけど。
O たしかにそういうカリスマ性はあるね。あと、藤原さん自身がどうかは知らないけど、バンプはネガティブなイメージもあるよね。
T 自虐色が強いところはあるね。逆にそこが今の時代にも合っていて共感を呼ぶのかもしれないけど。
O ちなみにこの前ライブに言ったときに藤原さんのトークも聞いたけど、意外と面白くて、そのへんのお笑い芸人よりも笑いをとっていた気がする。
T へぇ、そうなんだ。
O ライブの終わりのほうで「ずっと続けていたいけど、大人の事情で今日中に会場を片付けて返さなくちゃならないから、9時半までには終われって言われてるんだ(笑)」と言ってみたりとか、ユーモアのあることをたくさん言ってた。
T まあ、彼らもプロですからね。
O 改めてライブのMCは大事だって思ったね。お客さんは歌を聴きたくてライブに行くわけだけど、トークが面白いとより一層楽しくなるからね。これが話がつまらないと、しゃべってないで早く歌えよと思っちゃう(笑)。
T 今までにそういうバンドはあったの?
O 別にそういうわけじゃないけどね。僕もそんなにライブ行ったことないし。
T 藤原さんはどういう背景を持ってる人なんだろうかね。それなりに人生経験を持ってないとあんな歌詞は書けないんじゃないかと思うんだが。
O 僕も藤原さんの半生までは知らないな。もしかしたらそこまで好きじゃないのかもしれない(笑)。
T そこけっこう気になるけどね。ただ音楽が好きで音楽やってきましたというだけじゃ、ああいう言葉は浮かんでこないと思うな。
O 本もけっこう読んでるのかもしれないね。北欧神話に出てくる「ユグドラシル」をアルバムのタイトルに付けるぐらいだから、神話とかにも造詣が深かったりするのかもしれない。
T 歌詞の種類もある程度カテゴライズできるよね。「天体」シリーズだったり、「電車」シリーズだったり。
O でもとくに「天体」とか「宇宙」をテーマにしたものが多いよね。『天体観測』はその筆頭だと思うけど、他にもこの前のライブでは『宇宙飛行士への手紙』とか『銀河鉄道』とかもやってた。『銀河鉄道』はタイトルだけ聞くと「宇宙」も「鉄道」も両方入ってそうだね。「鉄道」シリーズの曲は意外と少ないのかな。
T 「鉄道」シリーズだと、あとは『車輪の唄』ぐらいかね。バンプはアマチュアバンドとかにもコピーされてたりするよね。そういった意味でもやっぱり王道なバンドなのかな。
O そうなんだ、コピーもされてるんだ。
T よくコピーされてるバンドっていうと、バンプやアジカンが思い浮かぶかな。
O アジカンはいかにもロックって感じがするけど、バンプは途中から雰囲気がちょっと変わってきたよね。『車輪の唄』とかでマンドリンみたいな音を取り入れるようになったり。変わったことも試してみるようになったのかな。
T たしかにそうかもしれないね。
O 初期のころはいかにも王道なロックといった感じだったね。
T 最初のアルバムの『FLAME VEIN』なんかはアップテンポでイケイケな感じだね。
O そのころの曲の『ガラスのブルース』もライブでやってたし、王道ロック時代の曲もバンプを代表する曲の一つになってるのかもしれないな。
T そのころって今とはテンションが違うよね。若かったころに勢いで作った感じがする。
O まずネガティブ色はないよね。
T まあ、バンドってだんだん落ち着いてくるからね。
O だけど僕はネガティブ色が入ってきてからの曲のほうが好きだな。『ギルド』とか。
To Be Continued...