家庭菜園できゅうりを育てている。
きゅうりを育てるのははじめてだが、どうにか初収穫することができた。

早速、妻の詰子と食べてみる。

「詰子ちゃん、どう? 美味しい?」
「ん~、思ったよりみずみずしくない」
「なんでだろう? 採ったばかりなのに」

素人では原因が全く分からない。

「皮がちょっと硬いし、収穫のタイミングが遅かったんじゃない」
「そうかも。難しいな~」
 

あとがき

きゅうり

 

初収穫


やればできるものですね。
素人でもそれなりに育つから不思議な感覚です。
スーパーで買えば、1本70円くらいかな。

あらためて思うのは、やはり農家さんはすごいとういこと。
うまく育ったらラッキーだな……くらいの気持ちで僕はやっていますが、農家さんは美味しく育たなければ死活問題。
手間暇をかけて商売にするんだから並大抵のことではないと思います。


詰子の言うとおり、思ったよりみずみずしくなかったけど、とりあえず収穫までこぎつけたので満足です。


 

 

僕は物をそのへんに置いてしまう悪い癖がある。
置いたことすら忘れてしまい、あるはずの物が見つからないと大騒ぎし、妻の詰子に迷惑をかけてしまう。

そんな僕が今日は実家に戻り、母を医者に連れて行った。
帰宅してから、そのときの一連の出来事を詰子に話す。

「オツトくん、お母さん、どうだった?」
「診察を終えて、薬局で薬もらって、それを小さな手提げ袋に入れて帰ってきたんだけど」
「うん」
「家で薬をテーブルに広げたあとに、『手提げ袋がないない』って言いだして」
「ほぉ~」
「『そんな訳ないでしょ。絶対に、どこかにあるから、よく探して』って言ったんだけど」
「それで?」
「床にそれらしき物が見えたから『これじゃないの?』 って言ったら『はぁ~、こんなとこにあったか。ホント、疲れるわ~』だって」

詰子が腹を抱えて笑った。

「ハハハハ。それ、まるでオツトくんじゃん。やってることが完全に同じだわ」
「うん、俺もそう思った」
「ハハハハ」
 

あとがき


詰子に「遺伝だね」と言われました。
まぁ、遺伝というよりコピーというほうが合っているかもしれませんね。

自分では、どちらかと言うと父親に似ていると思っていました。
しかし、詰子に言わせると母に似ているとのこと。

確かに、言われてみると最近はそんな気がしています。
50を過ぎてから気づくとは……。
そんなものでしょうか。

親の癖って、気づかないうちに、しかも悪いところだけ自分の中に入り込んでいるのが怖いですね。
 

 

妻の詰子が台所で何かを探している。
「オツトくん、家にじょうごってあったっけ?」
「じょうご? あるよ」

何を思い立ったのか、まったく見当がつかない。

「詰子ちゃん、何やるの?」
「麦茶。ペットボトルに入れて凍らせたいんだよね」
「ふ~ん」

その気持ちはよく分かる。
暑い日が続いている。

「凍らせて仕事場に持って行きたいんだよね」
「いいね」
「暑いから、きっと美味しいと思うんだよね。」
「いいね」
「ジュース買わないで済むから節約にもなるし」

そこでようやく、詰子の言葉の真の意味を理解した。

「ーーーー。詰子ちゃん、それって、もしかしてだけど、暇なときに作っといてってこと?」
「お〜ん」

図星だ。
女の子に特有な、男の子にとって非常に分かりにくい"遠回りな依頼"だ。

「いや〜遠回りな会話だな。麦茶作っといてを言うためにじょうごから入ってきたからな」
「ハハハハ」

詰子は笑ってごまかしたが、忙しそうだったので、僕が麦茶を作って冷凍庫で凍らせておいた。
翌日、その麦茶を確認するとなくなっている。
ちゃんと職場に持って行ったようだ。

「詰子ちゃん、麦茶作っておいたの分った?」
「うん、飲んだよ。あのさ〜、今度からもうちょっと濃い目でお願いします」
「ハハハハ」

今度はやけに直球な依頼で驚いている。
 

あとがき


詰子には敵いません。
女の子特有なこの表現。
もうちょっと何とかしてほしいところ。
だいぶ慣れましたが、いまだに対応を間違えて詰子に怒られます。

例えば「あそこの焼肉屋さんが美味しいって聞いたんだけど知ってた?」と聞かれたとき、僕は素直に「知らん」と答えます。
これは一番ダメな回答。

詰子曰く「今度一緒に行こうね」が正解らしい。
知ってるかどうかを聞かれたので「知らない」と真面目に答えると、怒られる。
「このことを理解するのに20年かかったよ」と言うと、「まだ分ってない」と言われる始末。

難しすぎます。
 

 

梅雨空で気分の悪い天気が続いている。
僕はもともと車の運転が好きではない。

まして雨の日や夜の運転となれば、できることなら避けたい。
今日も雨がしとしとと降っており、フロントガラスに細かな雨粒が張りついて前方がとても見にくい。

助手席にいる妻の詰子にぼやく。
「前が見にくいよ」
「雨だからね。仕方ないね」
詰子が落ち着いた声で答える。

しばらく運転を続けていると、ふと違和感が胸に引っかかり、あることに気づいた。

「詰子ちゃん、なんか見にくいなと思ったら、メガネしてなかったわ」
「ハハハハ」

詰子が呆れた顔で大笑いしている。
 

あとがき


ちまみに、免許証には「眼鏡等」の着用義務はありません。
それでも、見にくいのでメガネをして運転をすることが多いです。

それにしてもボケボケの毎日が続いています。
僕は昔から財布を落としたり、忘れ物をしたり、ボケボケの経験が多いのですが、この歳になってからひどくなっているような気がしてます。
この先、大丈夫かな。

さて、天気予報によると台風が近づいています。
昨年はひとつも来なかったのに、今年はまだ6月なのにすでに2度目。
しかも7号と8号の同時接近って……。

みなさん、お気をつけて。

 

 

夜も深まり、そろそろ寝ようとしていたとき、妻の詰子が寝室から起きてきた。

「詰子ちゃん、 どうしたの?」
「肩が痛くて寝れない」

そう言いながら、眉間にしわを寄せ何かを探している。

「大丈夫?」
「ん~、これヤバいな〜」

やっと見つけた鎮痛消炎薬の軟膏を眠そうな目で塗る。

「あ〜痒い。じん麻疹が出てきた」

今度は痒みが襲ってきたらしい。 

「あ〜、これ、背中にも、じん麻疹が出とるな〜」

詰子は孫の手を使って掻こうとするも、肩が痛くて上手く掻けない。

「あぁ〜」

叫びながらおもむろに立ち上がり、壁に背中を押し付けてゴリゴリと掻いている。
その姿を見てつい笑ってしまう。

「オツトくんには、この辛さ、分からんだろうな〜」

詰子はそう言って寝室に戻って行った。 
 

あとがき


最近、詰子は肩が痛くて腕が上がりません。
この症状は過去にも何度かあり、しばらくすると治って痛みが引くのですが、忘れたころに再発します。
それは定期的にやってきて、その度にゴキゲンが悪くなります。

まぁ、歳だから仕方ないですかね。
しばらくすれば痛みが引くだけでも、ありがたいと思うしかないのかもしれません。 

さて、背中が痒くても手が後ろに回らない問題。
これは厄介。
背中を壁に押し付けてゴリゴリやってる詰子を見て笑ってしまいましたが、僕もいつそうなるか分からないところが悩ましい。

解決策としてはやはり、適度な運動しかないですね。
分かっているけど、継続が難しいんだよな~。