書斎で事務仕事をしていると、パソコンが固まって動きが遅い。
とてもストレスで、つい声を荒げてしまう。

「あ〜、も〜、う〜、なんで動かんのだて〜」

いらいらしながらリビングに行くと、妻の詰子が呆れた顔で言ってくる。

「オツトくん、『あ~ 』とか『う~』とか、大きな声で文句言ってるの、ここまで聞こえてきたよ」
「パソコンが俺のいうことを聞かないもん」
「そんなことでいちいち文句を言わないで」
「文句じゃなくて、事実です」

すると詰子が、ふと思い出したように別の話題を出してきた。

「さっき、プチトマトを10個食べたんだけど」
「うん」
「最初の7個は甘かったのに、最後の3個は全然甘くないもん」
「……、それって文句?」
「いいえ、事実です」
「ハハハハ」
「俺たち、すごい似てきたね」
 

あとがき


僕は機械と会話できます。
パソコン以外にも、冷蔵庫とも会話できます。
例えば「マヨネーズってどこ?」、こんな感じです。

詰子に「それって文句?」と言いましたが、トマトが甘くないのは文句ではなく事実ですね。
受け取る側か文句と思えば文句になり、思わなければ事実になる。

ということは、僕の『あ~ 』とか『う~』を詰子が不快に感じたら文句になるのか。
まるでハラスメントのようだな。

日常で『あ~ 』とか『う~』さえも言えないとなると、さすがに窮屈すぎます。
ん〜、全く世知辛い世の中になったものだ。

 

 

家庭菜園で大根を育てることにした。
お手軽なペットボトルでやってみる。
しかし、ここのところ雨が続いており日差しに恵まれていない。
発芽したがヒョロヒョロとして徒長してしまっている。

妻の詰子に相談する。
「詰子ちゃん、徒長しちゃってるよ」
「ホントだ。ヒョロヒョロじゃん。新しく種をまき直したら?」

詰子はそう言い残して仕事に出かけた。

僕は、とりあえずネットで調べて対策することにした。
苗をベランダからリビングに移動させる。
デスクライトを使って真上から照明が当たるようにし、それをアルミで囲い光を反射させるようにした。
我ながら完璧である。

詰子が仕事から帰ってきて、それを見て大笑いする。

「ハハハハ」
「詰子ちゃん、何をそんなに笑ってるの?」
「ハハハハ」
「『コイツ、また何かやっとるな』って思ったでしょ。バカにしないでよ」
「思ってない。バカにしてない。ハハハハ」

ん~、なんとも後味の悪い反応だ。
 

あとがき

 

発芽するところまでは順調だったんですけどね。


発芽


そこからの徒長


照明セット


なんとか復活

それにしても今年の秋雨は長いですね。
名古屋はずっと雨です。
しかも台風25号まで来てますからね。

とりあえず復活しそうなので、このまま育ててみようと思います。
上手く大きくなって欲しいな。

 

妻の詰子は、医者の勧めで血糖値を下げる薬・リベルサスを飲んでいる。
薬はよく効くのだが、副作用の吐き気がつらく、3月からは7mgから3mgへと量を減らしていた。

今日は検査のために病院へ行った。
特に気をつけるべきなのは、HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)の値だ。

診察を終えた詰子が戻ってきた。

「詰子ちゃん、今日はどうだった?」
「A1Cが上がってた」
「マジで? で、どうするって?」
「リベルサスを7mgに変えたいところだが、そうすると副作用が辛いので、3mgと7mgをそれぞれ2週間分処方するから、あとは自分で調整してだって」

仕方がない。
多少の副作用は覚悟しないといけないようだ。
詰子が思い出したように言う。

「仕事場で、甘いコーヒー飲んじゃってるんだよな。いかんなと思って減らそうとしてるんだけど。最近ファミマでライオンコーヒーっていうココナッツミルクが入ってるコーヒーが売ってて、それ、美味いんだよな」
「それ、ついつい、買っちゃうの?」
「お~ん、ファミマ行くと買っちゃう」

その光景がなんとなく想像できる。

「っていうか、詰子ちゃんは間食が多いんだよな。ごはんをちゃんと食べて、間食をしないようにしたら?」
「いや、それはムリだな」
「ハハハハ」

間髪入れず「ムリ」ときた。

「オツトくんだって、毎日お酒飲んでるじゃん。お酒やめれんでしょう?」
「ん~」
「オツトくんの毎日のお酒の量に比べたら私の間食は大した話じゃないよ」

詰子の食事について話していたのに、いつの間にか僕の酒量に話題が変わっている。
すごい攻撃力だ。

「オツトくん、お酒、やめる?」
「まぁ、俺はちゃんと量を調整できてるから問題ないよ」
「できてないじゃん。こないだの検診で引っかかってたじゃん」
「ハハハハ」

詰子には適わない。
 

あとがき


「ライオンコーヒー」をはじめて聞きました。
ハワイの老舗コーヒーブランドなんだそうです。
コラボ限定商品が数量限定で発売中らしい。

調べると「ライオンコーヒーアイスバー」というヤツもありますね。
マカダミアナッツとバニラの風味が楽しめるアイスバーらしい。
詰子は何も言ってなかったけど、もしかして知らないのかな。

さて、血糖値もそうなのですが、詰子はカリウム不足でも悩んでいます。
今回もカリウム不足を指摘され、生野菜を多く摂取するように指導されました。

ん~、なかなか上手くコントロールできないな。
僕の酒量も気をつけないといけないな。
 

 

大阪マリオット都ホテルからウェスティンホテル大阪に移動した。
このホテルに来るのは2度目で、明日には名古屋に帰る予定だ。

チェックインを済ませて部屋に入ると、妻の詰子が言った。

「チェックインのとき『前回のご利用は4年前です』って言われたよ」
「そうなんだ。たしか……コロナのときでGoToトラベルだったな」
「あ~、そうだったね」

時がたつのは早いものだとしみじみ感じる。

しばらくして、ティータイムのためにラウンジへ向かった。 
スタッフがケーキを用意して運んでくれる。
とても美味しそうだ。

「詰子ちゃん、こんなケーキがあるなんて知らなかったよ。前に来たときもあったっけ?」 
「いやいや、オツトくんが忘れてるっぽいから、バスクチーズケーキがあるよって何回も言ったじゃん」
「マジで!? そんな話、はじめて聞いたよ」
「もう〜、人の話、全然聞いてないもん」
「ハハハハ」

聞いてるけど覚えていないだけ……ということにしてほしい。
 

あとがき


改めて思うが、やはりいいホテルです。
調べてみると、前回来たのは2022年の12月でした。
GoToトラベルで、マスクやPCR検査のことを思い出します。

詰子に「人の話を聞いていない」と怒られましたが、これはいつものことで詰子も半ば諦めているようです。
僕は動物占いで言うところの”象”。
耳が大きいくせに、人の話を聞かない象なのです。

それにしても、詰子にそんな話を聞いた覚えもないし、4年前に食べたことも覚えていない、さらに言えばこの記事を書いているときも「何ケーキだったっけ?」と「バスクチーズケーキ」が出てこないのですから、呆れられても仕方ないですね。
GoToトラベルのことは覚えてるんだけどな。


さて、この日も小雨が降っていて遠出する気になりませんでした。
カクテルタイムにラウンジで軽く飲んでから、隣の梅田スカイビル地下・滝見小路にある「出汁家浪庵」でうどんをいただきました。
“魚にこだわった出汁うどん”とあったので気になって食べてみました。
半分ラーメンのような感じで美味い。

大阪に来て以来、秋雨前線の影響で雨が続いていて、翌日も雨。
名古屋までゆっくりと帰りました。


バスクチーズケーキ。下のお皿にケーキを盛ってから撮ればよかった。


おつまみいろいろ


出汁うどん


部屋からの夜景


朝ごはん
 

 

あべのハルカスの大阪マリオット都ホテルに泊まっている。
チェックインをしたときに、展望台の入場引換券をもらった。
妻の詰子はランチビュッフェでお腹がいっぱいになったようで、部屋に戻って休むという。
そんな訳で、これからひとりで行くことにした。

先ほどまで晴れていた空は、だんだん雲行きが怪しくなってきた。
とはいえ同じビル内なので気にすることではない。

16階のチケットカウンターで入場券を受け取り、展望台直行エレベータに向かう。

前まで来ると、スタッフのお姉さんがパンフレットを渡しながら案内してくれた。

「60階の展望台まで45秒で到着します。エレベータを降りると、正面が北側になります。ただ、今は少し曇っているようです」

展望台に着くと、確かに曇ってはいるものの、特別悪いわけでもない。
ちょうどガイドが眺望について説明をしているところだったので、立ち止まって聞くことにした。

「正面が大阪城です。手前に四天王寺、左に天王寺公園、茶臼山、天王寺動物園、さらに左に通天閣が見えます」

説明はさらに続く。

「視線を戻しまして、正面をずっと遠くに持って行くと、小さく”太陽の塔”が見えます。分かりにくいので右隣にある観覧車を見つけてください。肉眼で確認できます。その少し左側に白いものが……『あれかな?』と思ったやつが太陽の塔です」
「ハハハハ」

さすが、説明が上手くて面白い。

説明を聞きながら景色を眺めていると、正面の真っ黒な雲が次第にどんどん大きくなり、先ほどまで見えていた大阪城一帯が灰色の雨柱に吸い込まれていく。
夕立だ。

まるでCGのように景色が変化していき、ときおり稲光が地上に突き刺さる。
まさに“生の気象現象”を目の前で見ている感覚で、思わず興奮して写真をバシャバシャ撮ってしまった。

こちらに近づいてくるかもしれないと思い、しばらく待ってみたが、どうやら来ないようだ。
しびれを切らし、展望台を一周して部屋に戻ることにした。

詰子に報告する。

「曇ってるから眺めがよくないかなと思ったけど、逆に夕立が見えたよ」

詰子も雨柱を見たことがないだろうと思い、撮った写真を見せる。

「ふ~ん。ホントだね~」

頷いて相槌を打ってくれたが、全く興味がないようだ。
そんなものかもしれない。
 

あとがき


男の子は虫や乗り物にはじまり、チャンバラ、戦隊ヒーロー、格闘技、さらに火事や事故など、危険なものに興味を示す動物だと何かで読んだことがあります。
確かにその通りかもしれません。
僕も子どものころ、公道を自転車で無意味に競争したりしてましたね。
今から思えば危険だし迷惑だったな。
これは本能でしょうか?
詰子は女の子ですから、僕とは脳の作りが違うということでしょう。

帰りのエレベータで16階まで降りると、あべのハルカス美術館があります。
この日は「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」が開催されていて、多くの人でにぎわっていました。2026/07/04-09/09まで。

美術や絵画に興味はありませんが、こんな僕でも”ゴッホの跳ね橋”くらいは知っています。
あとから調べると、この絵は普段、ドイツのヴァルラフ=リヒャルツ美術館にあるようです。
たまたま僕が旅行で大阪に来ていて、本物のゴッホの絵が目の前の美術館で展示されていたのだから、見ておけばよかったかな。
夕立の写真を撮って喜んでいる場合じゃないな。
ゴッホ展に興味を持つくらいの教養がいるかも……。

さらに調べてみると、なんと、この展覧会が名古屋市美術館で2026年9月19日(土)から11月29日(日)まで開催されるとのこと。
大阪の次は名古屋に来るということだ。
ん~、これは何かの縁かもしれないな。
詰子に声をかけてみよう。



雨柱。大阪城一帯が灰色に。


パンプレット


入場券


展望台ではコナン君があちこちに。コラボイベントやってました。


あべのハルカス美術館の立て看板。「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」


ホテルに戻ってラウンジで休憩。