母が胃のポリープを切除するため入院している。
主治医によると一週間ほどの入院が必要で、今日は入院生活4日目だ。
そして母からメールが飛んでくる。

「歯ブラシを失くしちゃった。持ってきて」

母は歳のせいか物忘れが酷い。
毎度のことながら、どこかに置き忘れたのだろうと思い、病院まで持って行くことにした。
ナースステーションで面会の申請をすると看護師が言ってくる。

「山田さん、今から退院ですね」
「えっ?」

完全に意表を突かれた。
大急ぎで病室を片付けて、会計して、退院手続きをする。
シッチャカメッチャカであるが、何とか病院を出て、母を実家に送り届けた。
落ち着いたところで二人でお茶を飲みながら、しばしの休憩をする。

「あのさ~母さん、結局、歯ブラシ、どこに置いてきちゃったの?」
「あ〜、歯ブラシ、別のところにあったわ〜」
「ーーーー」

あとがき


てんやわんや、シッチャカメッチャカとはこのことです。
母は4日で退院できて喜んでました。

胃のポリープ切除ということで、病院の食事はお粥ばかり。
帰宅後は早速あんぱんをかぶりついていました。
やっぱり家が一番落ち着くようです。

 

妻の詰子がリビングでテレビを見ている。
今日の予定を確認するために声をかける。

「詰子ちゃん」

呼んでも返事がない。
もう一度呼んでみる。

「詰子ちゃん」

全くの無反応で、完全なる無視である。
大きい声で呼んでみる。

「お〜い、詰子ちゃん」
「うん、あのさ~、みかん取って〜」
「ハハハハ。聞こえとるがや〜」
 

あとがき

冷蔵庫にみかんが冷やしてあったので取ってあげました。
テレビに集中しているからか、返事をするのが面倒くさいのか分かりまぜんが、全くもってのシカトでした。
詰子には敵いませんわ。

老人はワガママになる傾向があります
僕も気をつけたいです。


 

 

寝室の蛍光灯が切れた。
新品に取り換えてほしいと妻の詰子に頼まれたので交換する。

「詰子ちゃんの部屋の蛍光灯を換えたんだけど……」
「うん」
「でもさ、ちょっと事件が起きたよ」
「どうしたの?」
「グロー球をちょっと触ったら、粉々になって詰子ちゃんの布団の上に降っちゃった」
「ハハハハ」
「いや〜、掃除機をかけるのが大変だったよ」
「ハハハハ」
「とりあえず、蛍光灯は交換しておいたからね」
「ありがとう」
 

あとがき

ほんの少し触っただけなのですが、経年劣化でボロボロと崩れました。
まるでトムとジェリーみたいに。
そんなことがあるんだなというぐらいでした。
たぶん10年以上経っていると思います。

さて、僕と詰子は、蛍光灯や家電の配線などは男の仕事、家事は女の仕事……という時代に生きた世代です。
ところが今は自衛隊で女性が活躍し、男性が育休を取る時代。
さらに進んで、子どもを〇〇くん〇〇ちゃんと呼んではいけない空気。
そしてトランプさんは行き過ぎた多様性をなくそうとしています。

何が正しいのか分からないけれど、てんやわんやのシッチャカメッチャカということだけは理解できます。

世知辛い世の中ですね。

 

妻の詰子が僕にポップコーンを作ってほしいと言う。

「詰子ちゃん、ポップコーンって、どうやってやるの?」
「電子レンジで『ごはん』ボタンを3回押すだけだよ」

僕が皿の上にポップコーンを置いてスタートボタンを押すとパチパチと爆ぜる音がする。
レンジが止まったが、まだ袋の中でパチパチと爆ぜていて、全てのポップコーンが開いてないようだ。
もう少し加熱したほうがいいと思い、4回目の『ごはん』ボタンを押してスタートさせた。
詰子に出来上がったポップコーンを持って行く。

「詰子ちゃん、できたよ。どう?」
「ん~、なんか焦げてるな」
「4回やったからね」
「!? なんで4回やった?」
「いや、ちょっと加熱が足りないかなと思って」

詰子が呆れた顔をして言ってくる。

「はぁ~、いらんことやってくれるわ〜」
「もしかしてありがたいけど、迷惑だった?」
「ホントに、どいつもこいつも言うことを聞かんわ~」
「ーーーー」
 

あとがき

電子レンジで温めるだけができませんでした。
完全な蛇足ですね。
だって、しょうがないじゃないか~。

さて、この記事を書いているとき、以前にもポップコーンのことを書いた記憶がよみがえってきたので読み返しました。

 

このときも上手く調理できないことが書いてありますね。
全く進化していないな。
まぁ、この歳になると進化なんてもってのほかで退化があたりまえ。

それでも詰子と第二の人生を楽しめるように頑張ってみます。

 

妻の詰子とかかりつけ医に行った帰り、昼食を取ろうとコメダに寄った。
名古屋人の僕たちにとってコメダは何十年も通うお気に入りの喫茶店であり、何を食べようかと考えると気分が高揚する。

「オツトくん、店に入ってくるとき大声で歌ってたよ」
「マジで?」
「変なオジサンがいるなと思って見たらオツトくんだった」
「そんなに言うほど大声じゃないでしょ?」
「ーーーー(ダメだな、こいつ)」
 

あとがき

詰子に言わせると、僕は声がデカく、ひとりごとを言う……らしい。
例えばこんな感じ。

https://otsuto205.com/2024/05/09/941/

傍からすると変なオジサンに見えますが、もう直らないので諦めています。

今回はランチタイムだったので、ミックスサンドとホットコーヒーのランチプレートを頼みました。
よく見ると店舗限定と書いてあるので、他店にはないメニューなのかも。

 

 

コメダは名古屋で創業された喫茶店で全国にフランチャイズ展開されています。
名古屋人の僕からするとコメダは落ち着ける場所であり、同じくコーヒーを提供するスタバとは意味合いが少し違います。
正確に表現できませんが、アラ還の名古屋人なら共感してもらえるはずです。