木造・金属・陶器などいろいろの材質、大きさも大小いろいろの五重塔があります。
このブログを書くために調べたら、五重塔・五輪塔・板塔婆は全て釈迦の墓(ストゥーパ)をモチーフにしているようです。
さて、九州定年旅行で訪れた 満月(まんがつ)寺五重塔です。
阿蘇溶結凝灰岩製の五重塔です。
初層の屋根は軒反が認められませんが、二層より上の屋根には軒反があります。また塔全体に白色の彩色痕が見られます。
塔身には黄土色の色彩痕が認められます。
塔身中央に梵字と蓮の花を刻み、右縁に正和四年乙卯夘月五月願主阿闍梨隆尊敬白、左縁に合力作者 阿闍梨日秀。
鎌倉時代後期の1315年(正和4年)に隆尊阿闍梨が発願し、日秀阿闍梨の協力で造立しました。
右為先師聖霊尊善及隆尊之先考先妣
滅罪証覚利益衆生所奉造立供養如件
亡くなった尊善師と隆尊師並びに亡父と亡母の供養と人々に仏の加護が有らんことを願い滅罪の証として造立致しました。
同じ満月寺境内の日吉塔は白・赤に彩色されていましたが、この五重塔も少なくとも白・黄土色に彩色されていました。格狭間の模様の類似もありますから、五重塔に名を記す隆尊阿闍梨・日秀阿闍梨によって同時期に日吉塔も立てられたのかも知れません。