別れられない女(40)最終話 | ㈱OTS探偵社・梅木栄二の「グダグダ」小説!

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現役探偵・梅木 栄二(50代)の日々考えている事を事務所に帰った時まとめてみるつもりだったのが・・・。
いつしか勝手に小説化!へタレでド素人な小説読んでやって下さいぃ~。

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(貧乏探偵を脱出する為・・・皆様の温かい気持ちで当ブログは成り立っています・・・・




こちらを見て頂ければお話の見方もきっと変わるはず! 

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「そんな・・・・・。」


K(対象者)は愕然としていた。


「ちょ・・・ちょっと待てよ・・・・じゃあ俺は・・・俺は何処に帰ればいいんだ?」


K(対象者)の理解不能な理屈が始まった。


「知りません・・・・私ももう疲れました・・・それに貴方は子供達の事さえもなにひとつしてはくれなかったでしょ!!」


「わ・・・悪かった!!」


「・・・・・もう少し早ければ・・・」


Kさん(依頼者)は涙を流した・・・。


この涙は・・・・


今までの過去と決別する涙であったに違いない。


「別れられない女」は・・・・


この決別の涙と共に・・・・


これからの荒波を乗り越えて行く「強く逞しい女性」に生まれ変わった様な気がしていた・・・。


さすがに・・・・・K(対象者)にも堪えたのであろう・・・。


暫くは放心状態であった・・・。


私はその場の空気を入れ替えるかの様に切り出した・・・。


「Kさん(対象者)・・・結局どうしますか?」


K(対象者)が「空気を読め」と言わんばかりに私を睨みつける。


百も承知である。


今、ここで・・・・・


Kさん(依頼者)に逆恨みを抱かせる訳にもいかない。


・・・・結局


こんな時にご依頼者の役に立ってこそ真の「探偵家業」である。


人に恨まれるのは気持ちのいいものではないが・・・・


これも仕事。


料金のうちと割り切る・・・・


ああ・・・・・


こんな時にY君がいてくれたら・・・・


全てY君におっかぶって貰うのに・・・・


なんて事を考えながら・・・最後にK(対象者)に言った・・・。


「Kさん(対象者)」


「・・・・なんですか・・・」


「もう・・・・Kさん(依頼者)の事・・・・大概で自由にしてやんなよ。」


「・・・・・・・・・・・・・」


「でなきゃ・・・・この話(傷害事件)を蒸し返させて貰う。汚いと思うかも知れないが・・・俺は元々そう言うヤツなんでね・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・」


「さぁ・・・・どうする?」


暫くの沈黙の後・・・・・


「解った。」


と彼は答えた・・・。


かくして・・・・・警察署内で前代未聞の離婚劇は幕を閉じた・・・。


私は傷害に関して彼を訴える事も無く・・・無事「和解」に至ったのである。


その後・・・・・


彼は(K)元居た女性(ソープ嬢)の元に戻ったらしいが・・・・


風の噂では・・・・


速攻「叩き出された」らしい・・・・


行き場を失ったK(対象者)と


家族との絆を深め・・・母親手ひとつで家を切り盛りするKさん一家・・・。


全ては終わったのだと理解し・・・・


変わらず探偵業に邁進する我々であったが・・・・


実はこのお話・・・それで終わりでは無かった・・。





・・・・・・・・・2年後・・・・・・・・・・



暑い夏も終わりに近づいた頃・・・・


事務所でまったりしている所に・・・・


独りの女性が現れた・・・。


「・・・・・梅木さん、お久しぶりです・・・。」


「はぁ・・・・お久しぶりです・・・・」


正直・・・・誰だか良くわかんなかった・・・。


「覚えていらっしゃいますか・・・Kです。」


「おぉ!!Kさん!!!」


私は驚いた!


Kさんは2年前とうって変わって・・・・表現は大変失礼なものになるが・・・


しっかりお洒落をして・・・以前の暗さは何処かへと消えてしまっていた・・。


「いや~・・・失礼しました・・・。お元気でしたか?」


「御陰様で・・・・・あの時は本当にお世話になりました・・・。」


「いえいえ・・・・とんでもない!でも本当にお元気そうで良かった!!」


正直・・・・「ホッ」とした瞬間であった・・・。


「あの時・・・・最後に梅木さんがおっしゃってくれた事覚えていらっしゃいますか?」


「・・・・・・え?何か失礼な事言いましたっけ・・・?」


「ふふ・・・違いますよ。梅木さんに御礼を言ったら・・・梅木さん・・・」


「僕達はお金を貰う以上、御礼を言われる筋合いにはありません。だから御礼なんて言わずに、今回培った自信や経験をいつか困った人がいたらその時に・・・その人達の為に是非力になってやってくれって・・・・おっしゃってましたよね。」


「あ・・・・あぁ・・・・確かに・・・。」


これは私の探偵業に於ける信念である。実際にそう思っているのだから・・・


しかし・・・・その言葉が意味するものが良く分からなかった・・・。


「私・・・・今、ある悩み事相談室の室長を任されているんです。」


「へぇ・・・・・。」


「前の職場で・・・・困った方がいたら梅木さんがおっしゃった通り・・・ずっと話を聞いてあげてたんです。そしたら・・・・」


「そしたら?」


「人を通じて・・・・今の職場から是非勤めて欲しいって言われて・・・。」


「そうなんですか・・・・。」


そう話す彼女は生き生きと輝いていた・・・・。


きっと本来彼女が持っていたものがその職場で開花したのであろう・・・。本当に彼女は生命力溢れる女性へと変貌を遂げていた・・・。


本当に良かった・・・・・と私は素直に喜んだ!!


「ところで梅木さん・・・。」


「は・・・はい。何でしょう・・・」


彼女の表情が一瞬引き締まった。


「実は・・・・今日は大切なお話があって伺いました・・・。」


「は・・・・・はぁ・・・?」


そう言うと彼女は一度事務所を出た・・・。


「なんだろう・・・?」


私が考え込んでいると・・・


Y君は・・・


「いや~・・・・なんだかんだ言いながら社長あの時、無理やりKさん夫妻を別れさせたじゃないですか・・・きっと刺されるっすよ!!」


うんこたれY君がいやらしい顔で笑う・・・。


「そん時はお前(Y)盾の役目な。」


「嫌っすよ!社長ひとりで死んで下さい!!」


「なんだと!」


等と・・・・馬鹿話をしていると・・・


Kさんと・・・・・・


Kさんの元夫が入ってきた!!!


「!!!!」


正直・・・・死ぬほど驚いた!!


マジで・・・・刺されるのかとさえ思った位ビックリした!!!


「梅木さん・・・・・」


は・・・・はひ!! ←(声の裏返ったトコ) 


「すみません・・・・なんの相談も無しに・・・・実は私・・・・」


と言おうとしたKさんの声を遮り・・・元夫K氏が話し出した・・・。


「あの時は本当にご迷惑をおかけしました!!梅木さんには何とお詫びしていいのやら!!」


ビシッとしたスーツに身を包んだ元夫K氏は・・・直立不動でこう切り出した・・・。


「あの後・・・私も一旦はホームレスにまで身を落としましたが・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「本当に目を覚まし・・・・今日までささやかながら努力してきたつもりです!」


「は・・・・・はぁ・・・・・」


「どうしても●●(Kさん)と暮らしたくて・・・・本当に頑張ってきたつもりです!!」


「へ・・・・へぇ・・・・・・」


「そこで梅木さんのご許可を戴いて!復縁したくて今日は伺わせて戴きました!!!」


「な・・・・・・」


正直・・・・・・今迄驚くような事は山ほどあったが・・・・


今でもこの時の驚きは・・・・


3本の指に入る位驚いた!!


「な・・・・なんで・・・・私・・・?」


「あの時・・・あれほどの迷惑をかけた梅木さんに・・・キチンとケジメをつけなければ・・・私達も夫婦として再スタートを切れないと思って!!」


K氏の必死さが・・・・驚く程伝わってきた・・・。


スーツに身を包み、直立で必死に話すK氏の姿には・・・・


もはや2年前の「傍若無人」ぶりは露ほども感じられなかった・・・。


「でも・・・・・でもご夫婦の事ですから・・・・私なんかの許可はいらないでしょう・・・。」


「いえ!私達夫婦には身内がおりません!!ここはひとつ梅木さんに・・・梅木さんにだけはちゃんとお話をしておかないと!!!」


そう言ってK氏は突然涙を流し始めた・・・。


その涙は・・・・・


2年前Kさんが見せた決別の涙のように・・・・


何かにケジメをつけた様な・・・・


見ていて美しいとさえ感じる涙であった・・・。


さすがに私もやっとの冷静さを取り戻し・・・・


「Kさん(元夫)・・・」


「は・・・・はい!」


「二人でこれから本当にお幸せになって下さい・・・。」


「あ・・・・・ありがとう・・・・梅木さん・・・」


そう言ったきり・・・・K氏は男泣きした・・・。


結局・・・・・・


2年前無理矢理「離婚届」を書かせた私は・・・・・


2年後・・・・


今度は二人の婚姻届の・・・・「立会人」になってしまった・・・。


なんじゃそりゃ?


今でも・・・Kさん(奥さん)は悩んでいる人達の為に日夜労を惜しまず頑張っている。


更に嬉しい事に・・・・


時々同じ悩みを抱えた人を・・・・


当社にご紹介してくれる。


そしてK氏も・・・・・


それからは人が変わった様に仕事に勤しみ・・・子供達を二人で育てている。


陰ながら・・・・Kご夫妻の今後が幸せであるように祈っている。


慈悲深い・・・・・


「別れられない女」は・・・・・


最後迄本当に「別れられない女性」だったのである・・・。


(終わり)