㈱OTS探偵社・梅木栄二の「グダグダ」小説!

㈱OTS探偵社・梅木栄二の「グダグダ」小説!

現役探偵・梅木 栄二(50代)の日々考えている事を事務所に帰った時まとめてみるつもりだったのが・・・。
いつしか勝手に小説化!へタレでド素人な小説読んでやって下さいぃ~。

人生悲喜交々・・・・。


そんなお話が日常の「探偵事務所」へようこそ!


「探偵」という生き方を通して日々どこにでも起こりうる問題や悩みを少し変わった切り口で考えてみたいと思います・・・。


私のブログを見て、悩んだり凹んだりしている方が少しでも元気になって頂けたら幸いです!

狩野省吾弁護士との電話を半ば乱暴に切った形で、私は管理栄養士の尾行をスタートさせる。いつもならYくんや他のスタッフが助手席に乗っていてサポートしてくれるのだが、今日は1人だ。ミスは許されない。

 

胸のポケットから煙草を取り出すとすぐに火を着けた。緊張を解す為のまじないみたいなものだ。

 

女性の運転する軽自動車は、順調に自宅方向へ向かって走っている。このまま帰宅してくれれば、ミス無く、私の調査持ち分は終了という事になるのだろうが…それはそれで、時間の無い現状の中きっと彼女は食材を誤魔化しただけでなく、金銭を着服した汚名も着せられ、退職に追い込まれる事になってしまう。

 

別に彼女へ対して、同情の念がある訳でも無い。寧ろ、どんな理由があるにせよ大切な入院患者に提供される食事の材料を持ち帰って良い理由などないのだから。

 

「んっ? 」

 

煙草をふかしながらそんな事を考えていた矢先、彼女が住んでいる住宅へ曲がる交差点を軽自動車はそのまま直進していく。思いがけない行動に、緊張の度合いが一気に増してくる。

 

--- 一体どこへ…?

 

そんな杞憂も束の間、ほんの2、3分も経っただろうか。交差点を直進した女性の軽自動車は、それから交差点を2つ通り過ぎた左側にあるドラッグストアの手前でウインカーを点滅させた。ここは昨日、中川佳恵が利用していたドラッグストアでもある。

 

--- やれやれ…ただの買い物か…。

 

煙草を灰皿の縁で揉み消して、私も同じ駐車場へと入っていく。入り口に1番近い駐車スペースに車を停めた女性は暫く車の中に乗ったままだったので、私も彼女を見通せる場所に車を停めた。

 

ギアをパーキングに入れると、すぐにカメラを取り出して撮影に入る。ズームで寄せて見た彼女の表情は、青白く、お世辞にも明るいとは言えないものだった。

 

暫くすると女性はバッグから緑色の財布を取って中を覗き込んだ。表情は余計に暗くなり、聞こえこそしないが、溜息をつく仕草がハッキリと見て取れた。

 

--- やっぱり生活が苦しいのかな…。

 

彼女が車を降りて店の中へと足を運ぶ姿を撮影すると、私も肩掛けのバッグを後部座席から取って、小走りで店の中へと入っていく。これが浮気の調査なら、別段店内までは追い掛けもしないのだろうが、彼女の暮らしぶりを図る上では必要な調査だと判断しての尾行になる。

 

この店に至っては今日も夕方だというのに客でごった返しているとは言い難い客の入りだ。彼女の姿を確認すると、カートを押すでもなく、また買い物かごを持っている訳でも無い様子に違和感を感じてしまう。目的の品物が決まっていて、それをひとつ握ってくるだけの買い物なら問題は無いのだろうが…

 

「まさかね… 」

 

そんな独り言を呟きながら適当な距離を取って彼女を常に視界に入れる。目的があるのなら売り場の棚へ向かってまっすぐ進むのだろうが、彼女の足取りにも少し違和感を感じていた。どちらかと言えば所謂「ウィンドーショッピング」に近いものだ。

 

そうしているうちに彼女は最奥の食料品が並ぶ棚まで辿り着いた。食料品なら尚更の事不自然だ。そう思った瞬間、彼女の視線が私の方へと向いた。

 

(続く)

 

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弊社は情報を管理する会社である都合上、上記のお話だけに限らずブログ内、全ての「グダグダ小説」は全て「フィクション」です。実在する人物、団体は、私を含むスタッフ以外、すべて架空の物です。弊社で行われた調査とは一切関係ございませんのでご了承のうえお楽しみ戴ければ幸いです!それからお話の途中で設定が「おかしいな??」と、感じる部分があっても所詮「ド素人小説」なのでくれぐれも気になさらないように♡読んで頂く皆様の「想像力」が全てです( ´艸`)

「そうなんですか…想像していたよりも随分と早かったですね… 」

 

鈴木里美が徹夜に近い状態でチェックしたにも関わらず、ほとんど変わらないくらいのスピードで同じ作業を終えた中川佳恵に、私は内心舌を巻いてしまう。そんな私の心情を察したのか、狩野省吾弁護士が当たり前の様に呟いた。

 

「おそらく…向こうは1人で見た訳じゃないと思うよ。誰か協力者がいるかも知れない」

 

先生にそう言われ、すぐに川北事務長の事が頭を過る。

 

「あの…先生」

「何だい? 」

「頂いた電話で恐縮ですが、ちょっと今までの経過報告を話してもいいですか? 」

「そうしてくれると助かるよ」

 

狩野省吾弁護士も、私からの報告を待っていたのだろう。いつもの様に静かな口調で私の話に耳を傾ける。

 

「まず…映像の件ですが、栄養士の女性が食材を自分の私物に詰め込む様子は2度に亘って確認出来ています」

「そうなんだね… 」

「先生、それともうひとつ」

「うん… 」

「フード付きのパーカーを被った女性が夜遅くに侵入して、手提げ金庫から紙幣を抜く様子を確認しました」

「フード付きのパーカー?では、栄養士の女性とは違うという事なのかな? 」

「栄養士の女性ではない筈です」

「では誰なのだろう? 」

「うちの社員は、病院のスタッフで間違い無いと主張していますが… 」

「根拠は? 」

「それは… 」

 

まさか胸のカップが一致等と、ヘンテコな事は言えず口を噤んでしまう私。まるで誤魔化すように他の報告を続ける。

 

「対象者だった栄養士の女性ですが、北條病院から車で10分程度行った場所にある古い市営、若しくは県営の住宅に住んでいます。まだ詳細はご報告出来る段階にありませんが、かなり生活は困窮している様子にも見受けられます」

「そうなんだね… 」

「一方で、中川佳恵と言う事務方の主任は先生ご存知ですか? 」

「いや、そんな名前は初めて聞いたが… 」

「今回、私達が撮影した映像は、その女性がチェックしたものだと思われます。それと… 」

「うん? 」

「その中川佳恵と川北事務長の関係性を疑う動きがありました。その女性はマンションに住んでいるのですが、そこへ川北事務長が仕事終わりに立ち寄る場面を確認しています」

「年齢は幾つくらいなのかな? 」

「ハッキリは分かりませんが30代後半から40代くらいだと考えています」

「なるほど… 」

 

狩野弁護士も思い当たる節があるのかは分からないが、何かを考えているようだった。あらかたの経緯を説明し、先生に意見を貰おうと考えていた時、栄養士の乗る軽自動車が坂を下ってくる様子が見えた。

 

「先生申し訳ありません!今日はここまでのようです」

「分かった。邪魔したね、引き続き頼むよ」

「はい! 」

 

そう言って電話を切ると、私はすぐにカメラを抱え女性の乗った車を撮影する。

 

「さぁ…今日こそは何か教えてくれ… 」

 

祈る様な気持ちで私は彼女の尾行を始めた。

 

(続く)

 

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「あんたバカっすか? 」

「…… 」

 

事務所の中に何だか嫌な感じの空気が流れている。まぁ、2人が異議を唱える気持ちも分からないではないが、とどのつまり現状のままでは栄養士の女性1人が金銭盗の汚名を着せられて解雇されてしまう可能性が高い。

 

もっとも、映像を見る限り紛失した金銭を彼女が補充していた事もあるのでそこまで問われるかどうかは分からないのだが…

 

「元々狩野省吾弁護士からは栄養士の女性を探ってくれって言われてたからそっちもあるし… 」

「そりゃそうでしょうけど、どうやって2人も尾行するっすか? 」

 

鈴木里美が口を開いた。

 

「社長! 」

「ん?どした? 」

「今後の調査、私もついて行っていいですよね?チェックはもう終わった訳ですし」

「あぁ、まぁ… 」

「お願いです。私もこの案件の真実が知りたいです」

 

勿論、人手が足りていないから彼女を採用したのだ。断る理由などありはしない。

 

「分かった。ではお願いするよ。里美さんはYくんとコンビを組んで、まずは中川佳恵の行動を洗ってくれ。2人は彼女に面が割れていないからな。私は栄養士の行動を洗うよ」

「っす! 」

「分かりました! 」

 

ほんの数日前までの好奇心から出た返事だけでは無かった。鈴木里美の目には、何が何でもこの問題を解決に導く足掛かりを掴みたいという使命感にも似た光が宿っている。

 

「では、明日から早速やろう。早く終わった方が残っている方に合流する。それでいいな? 」

「っす! 」

「分かりました」

 

方針は決まった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

翌日、私は2人と別行動で栄養士の退勤を待っていた。Yくんと里美さんは少し離れた場所にいて、中川佳恵が動き始めた際に私からの連絡を待っている。

 

「おっと! 」

 

私は素早くシートを倒し、スマホを握る。中川佳恵の赤いBMWが丘を下ってくる様子が見えたからだ。

 

「おい、中川佳恵がそっち行ったぞ」

 

彼女が県道に出て進んだ方向を確認すると、すぐYくんに電話を入れる。昨日と同じ、自宅方向へ彼女は向かっているようだった。

 

「了解っす! 」

 

Yくんはそう返事するなり電話を切った。一方で私は、1人が北條病院を離れた事で緊張感も少し解れてしまう。後は自分が追い掛ける栄養士を待てばいいだけだ。

 

「ん? 」

 

続けてスマホに着信が入ってくる。画面を見れば、それは狩野省吾弁護士からの電話だった。

 

「先生、なかなか電話出来ずに申し訳ありません」

 

ここ数日、先生に報告が出来ていなかった事を詫びて電話に出る。

 

「いや、大変な仕事だという事は私も理解しているから大丈夫だよ。今、いいかい? 」

「はい、大丈夫ですが、もしも対象が動き出したらその時は… 」

「あぁ、その時はいきなり切ってくれて構わないよ」

 

私達の仕事に対する理解の深さには本当に助けられている。私は前方に注意を払いながら次の言葉を待った。

 

「今、例の川北事務長から電話があった。明後日、私のオフィスに来るそうだ」

「そうなんですね… 」

 

思わず唇を噛み締める。中川佳恵の退勤時間が昨日に比べ早かった所を見ると、彼女も既に映像のチェックを終えたのかも知れない。そう考えれば、2人の行動を洗うにはあまりに時間が無さ過ぎる。絶望的だと言ってもいい。

 

「と、いう事は先生… 」

「あぁ…先方も映像は全て確認したそうだ」

 

(続く)

 

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「洗い直すって何をっすか? 」

 

Yくんが怪訝な表情で私に尋ねる。

 

「うん、上手くいくかどうかは分からないが、もう一度中川佳恵が病院に夜中侵入したとしたら、それは彼女が金銭盗であるという大きな証拠になるかも知れない」

 

私がそう言うと、Yくんは異議を唱える。

 

「もう彼女は行かないと思うっすよ。だってカメラ付いているのを知ってる前提でわざと1回部屋に入ってるっすよ。1回防カメに映り込んだらそれで充分じゃないっすか? 」

「勿論、Yくんの言う事は私も正しいと思う。でもな、ああやってフードを深々と被って侵入している以上、どこまでいっても彼女が中川佳恵だという裏付けは出ないよ」

 

私にしても、無理筋な「賭け」である事は分かっている。しかし、今はそれしか他に思い付きはしなかったのだ。Yくんはそんな私に対して更に反論した。

 

「それにっすよ。仮にヤツが侵入したとしても、また同じ格好でやったら何も変わんないじゃないっすか? 」

「そこだよ」

「何すかそこって? 」

「もしも行動を逐一監視してて、彼女が同じ格好で病院に入れば、少なくとも疑いの目は多少彼女にも向けられるんじゃないか? 」

 

Yくんは腕を組み考えている。そんなYくんと私を鈴木里美は交互に困惑した表情で見ていた。

 

「ちょっと待つっす! 」

「何だ? 」

「それはいいとして、誰がそれを証明するんすか? 」

「中川佳恵が侵入したって事をか? 」

「そうっすよ。だって仮に彼女が北條病院に夜中行ったとして、職員の彼女が病院に行く事は、別に問題無いじゃないっすか」

「そうだな… 」

「逆に僕らは病院には入れないっすよ。現行犯は無理だし、そこをどうするっすか? 」

 

鈴木里美もその意見に同意するように頷いた。

 

「あぁ、だから鉢合わせするんだよ」

「何すか鉢合わせって? 」

「彼女が侵入するなら間違いなく私達が設置工事の時に入らせてもらった通用口だろう。だから、中川佳恵が北條病院に入ったら、その通用口を出るタイミングで鉢合わせるんだ」

「何すかそれ? 」

「そもそも私達が北條病院に来る事自体、不自然だろう? 」

「思いきり不自然っすね」

「何より彼女が通用口を出た所でバッタリ私達と出くわしたら驚く筈だし、動揺するだろう。考えようによっては自分が疑われていると疑心暗鬼になっても不思議じゃない」

 

暫く考え込んでいたYくんだったが、ニヤリと笑う。

 

「なるほど…そういう事だったっすか」

 

私も同じ様に笑った。

 

「あの…お2人で盛り上がっている所悪いんですけど… 」

「どうした?里美さん」

「それってその中川佳恵とかって言う女性が行動を起こす前提での話ですよね?もしも先に栄養士の女性が犯人にされて解雇されたり、女性が一切病院に行かなければどうにもならないですよね… 」

「……コホン!まぁ…そういう事だね… 」

 

Yくんはすぐに手のひら返しで反論した。

 

「そうっすよ!あんたバカじゃないっすか?来なかったらただの無駄足っすよ! 」

 

(続く)

 

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「全部…チェック出来ました! 」

「マジで!? 」

「マジっすか!? 」

 

思わず私とYくんは、同時に言葉を発してしまう。これだけの短時間で1週間分の映像を全て見終えるなど、私達には到底無理だろう。彼女の粘りに私達は慄いてしまう…

 

「で!で?どうだった!? 」

 

せっかちな性格が邪魔して、思わず食い気味に聞こうとする私に対し、Yくんは呆れ顔で注意する。

 

「あのねぇオッサン…。彼女がやっと見終えたものを、そんなに慌てて聞くもんじゃないっすよ。彼女からちゃんと報告があるまで待てないっすかねぇ… 」

「ぐっ… 」

 

今回ばかりはぐうの音も出ない私に対し、彼女は笑いながら報告してくれた。

 

「社長が心配なさらなくても大丈夫ですよ。管理栄養士の女性が最初に手を付けた3日後、もう1度食材をバッグに詰め込みました。それと手提げ金庫の女性ですが… 」

「うん、どうだった? 」

「あれ1度きりです。その後の犯行は確認出来ませんでした」

「そうか… 」

 

鈴木里美はそう言いながら、その瞬間を私達に見せてくれる。確かにさっきまで調査で見ていた女性がよそよそしく食材をバッグに詰め込んでいる様子だった。いくら生活が苦しいとはいえ、許される行為では無い。

 

「以上です…社長とYさんはどうでした? 」

「うん…栄養士の自宅は確認出来たよ。古びた県営か市営の住宅だった…やっぱり困窮しているのかなぁ… 」

「そうだったんですか… 」

 

鈴木里美の返事を最後に、暫く沈黙の時間が流れる。重苦しいと言うか、何ともやり切れない空気が事務所の中を包む。

 

「里美さん」

「はい? 」

「悪いが、もう一度あの金銭盗の映像を見せてはくれないか? 」

「あ、はい」

 

彼女は慌ててそのシーンを探した。

 

「社長、そんなもん何回も見てどうするんすか? 」

「いや、Yくんが言うようにあれが中川佳恵だと仮定したら、他に何か彼女を裏付ける手掛かりはないかと思ってな」

「だからっすよ! 」

「お前の言い分は分かるけど、それじゃあ狩野省吾弁護士が本人に詰問出来ないだろう?お前、胸の膨らみがどーたらこーたら言ってたら、逆に中川佳恵からセクハラで訴えられるぞ! 」

「ぐぅぅぅ… 」

 

今度は逆にYくんがぐうの音も出なくなってしまう。鈴木里美は声を出さずに笑っている…

 

「分かりました。何か見つかるまで何度でも見ましょう」

 

彼女はそう言って録画を再生した。

 

今度は私達3人の目が逐一監視しているのだ。何でもいいから目新しい情報が手に入るのではないかと淡い期待を寄せてじっと見ていたのだが…

 

 

 

 

「はぁ… 」

「やっぱり難しいですね… 」

「やっぱ僕の説を採用するしかないっすよ… 」

 

何度も何度も繰り返し見たのだが、女性らしきフードを被った人間が室内に入り手提げ金庫を物色して紙幣を抜いた以外の事は何も分からなかった。私達3人は思い思いに大きな溜息をついた。

 

「社長、どうするっすか? 」

 

Yくんが尋ねた。

 

「そうだ… 」

「何すか? 」

「この映像の中ではこれ以上の手掛かりは無理だ。もう1度、やり直そう」

「何をやり直すっすか? 」

「今回、私達は中川佳恵の自宅を突き止めたんだぞ。彼女の行動をもう1度洗い直す」

 

(続く)

 

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栄養士の自宅を突き止めた私達はそのまま事務所へ帰る事にしたのだったが、その道すがら私とYくんは中川佳恵と栄養士の話ばかりが話題の中心となっていた…

 

「社長…あれ、どう思うっすか? 」

「あれって何だよ、栄養士の事か? 」

「そうっすよ。いくら何でもありゃないでしょ… 」

「Yくんの言う事は分かるがな、人様の暮らしぶりなんて外から眺めただけでは安易に判断出来ないよ」

「そりゃそうっすけど… 」

 

一度はそう言って口を噤んだかに見えたYくんだったが、ものの1分も経たないうちに再び話を再開し始める。

 

「あの中川何とかって女…あっちは事務長とデキてるってだけで結構なマンション暮らしっすよ。なーんか僕は納得いかんっすねぇ… 」

「オイオイ…滅多な事言うなよ。まだ2人がデキてるて決まった訳じゃないだろう? 」

「じゃあ社長はそんな関係じゃないって言うんすか? 」

「そりゃまぁ… 」

 

あくまで状況証拠に過ぎないが、勤務を終えた事務長がわざわざ彼女の家を訪れるのはどう考えても不自然だ。Yくんの言い分は至極もっともだと感じていたのだが、問題の全容が解明されない限り、個人のプライバシーは極力尊重されるべきだろう。

 

「しかしYくんが言ってた、あの金銭盗。あれが中川佳恵だと思うのは本当なのかよ? 」

「思うじゃないっす。ありゃ間違いなく彼女っすよ! 」

 

根拠が乏し過ぎて俄かには信じられないが、逆を言えば、滅多な事では憶測を語らないYくんがここまで言い切るのも珍しい。

 

「しかし…しかしだよ。その…何と言うか、胸の?膨らみだけで彼女と決めつけるってのも…何だか説得力に欠けるんだよな。他に何かないのか? 」

「だってフード被ってるっすよ。他にありゃ誰も苦労しないっすよ! 」

「そりゃそうだけどさ… 」

 

内容は真面目な話の筈なのだが、どうも緊張感に欠ける。そんな戯言を話している間にも事務所へ到着した私達だった。

 

ふと2階を見上げると、ブラインドの隙間から光が漏れ出していて、中では鈴木里美が未だに頑張って映像のチェックをしているようだ。

 

「なんだかんだ…1番頑張っているのは案外、彼女かもな」

「そうっすねぇ… 」

 

珍しく2人の意見が合った。それほど鈴木里美は寝る間も惜しんで業務に励んでくれている。私は彼女に何の差し入れも買ってこなかった事を後悔しつつ、2階へと上がっていく。

 

「…遅くまでお疲れ様ぁ… 」

「おっ!? 」

 

そっとドアを開けて中を覗くと、鈴木里美はデスクに突っ伏したまま眠っているのが見えた。私達は彼女を起こさない様にそっとスリッパに履き替えて事務所の中へと入っていったのだが…

 

「キャッ!あ…お…お疲れ様です!すみません!私眠ってました?恥ずかしい! 」

 

まるでバネが伸びて弾けたように、鈴木里美は飛び起きた。

 

「いやいや…里美さん気にしないで。まだ眠ってていいんだよ」

「そうっすよ!僕らならもう布団敷いて寝てるくらいの仕事量っすから」

 

そう言ってフォローすると、彼女は目の下にクマを浮かべて微笑んだ。

 

「やっと…全部チェック出来ましたよ」

 

(続く)

 

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市道から路地へに入ると、200mほど奥は狭い空き地になっていて、数台の車が駐車されているのが見える。そしてその路地を奥へ向かって右側に3本、左側にも3本の、更に小さな道が入っていて、その道に沿う様に平屋で同じ造りをした住宅が並んでいる。

 

新興の住宅団地かと考えていたのだが、そこに並んでいるのは非常に古い市営若しくは県営の住宅群だった。各戸とも、特に決められた駐車場などは無く、その家の前に空いているスペースが「駐車場所」といった感じだった。

 

「Yくん、ここは古い住民ばかりみたいだから、あまり目立たないようにな」

「そうっすよねぇ… 」

 

住宅が醸し出す独特の雰囲気を、私ばかりでなくYくんも感じ取っているようだった。皆、平屋の戸建てばかりなので割合に見通しはいい。周囲も随分薄暗くなってきたせいか、住民も今の所は見当たらないようだ。

 

管理栄養士の車だけは、すぐに見つける事が出来た。1本目の路地を入った突き当りに車が停めてあったのが見えたからだ。2台の車が並べてあり、女性の車が左側に停めてあったのでおそらくは左側に3軒並んでいる建物のいずれかだろう。

 

「1番奥なのかなぁ… 」

「…さぁ、どうっすかねぇ… 」

 

普通に考えれば向かって最奥の左側が女性の住まいだろう。しかし、決まった駐車場ではなさそうなので路地を塞がない様に車を奥に停めているのだと仮定すれば、そうとは言い切れなくなってしまう。

 

昨日に続き、またしても彼女の自宅を突き止める事は出来なかったが、尾行状況を考えれば仕方が無いのか。そう思い始めたた矢先の事だった。

 

「社長! 」

「? 」

 

微かに聞こえる子供の声の方へと視線を移すと、3軒並んでいる真ん中の住宅から聞こえているようだった。

 

「ちょっと!早く着替えなさい!! 」

 

母親が子供を叱責している声だったのだが、窓を見ると、カーテンが20㎝ほど開いている。そして、その隙間から一瞬チラリと見えた姿に釘付けになった。

 

「ここだな… 」

「っすねぇ… 」

 

見えた姿は一瞬だったが、2人で見たので間違い無いだろう。この家こそ、女性の住まいだ。偶然とはいえ、実にラッキーだったと私は安堵し、大きな溜息を突いた。

 

「しかし…あの女とは真逆の生活っすね」

 

Yくんが言う。

 

「確かにそうだな… 」

 

聞こえてくる子供の声は2人。旦那がいるのかどうかは分からないが、もしいるのなら、もう少しは違う生活をしているだろうと思えてしまう。いくらワンオペとはいえ彼女は「管理栄養士」といった資格を持っている。

 

一方で、中川佳恵は川北事務長の恩恵を受けているのかいないのか分からないが、この地域には珍しい新築マンションの上層階住まいだ。

 

「なんなんだろうな、この格差は」

 

別に彼女に対し、同情した訳では無い。しかし、何が違うからこうも違う暮らしを余儀なくされるのか未だに判然としない。

 

「おい、こんだけ小さな子供がいるのならもう外出はしないだろう。今日は帰ろうか? 」

「それもそうっすね… 」

 

長居は無用とばかり住宅を撮影すると、私は振り返りその場を後にした。

 

(続く)

 

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「出たな… 」

「出たっすね… 」

 

「出た」と言っても、別に幽霊の話では無い。翌日、私達は栄養士の女性を見失った場所で車を停車させて張り込んでいた。そして昨日とほぼ同時刻に、思惑通り女性が私達の見ている前を通り過ぎた所だ。

 

北條病院を少し離れた事もあり、後方へ張り付く事に抵抗は無い。勿論、女性は何ら私達の存在に気付く様子も無く、長い下り坂を制限速度通りのスピードで走っている。

 

少しすると交差点が見えて、女性の車は右へ曲がるウインカーを点滅させた。

 

「ここを右だったのか… 」

 

昨日の反省を踏まえ、私も同じように彼女の後をつけていく。昨日見失った疑問が解消された事で少し安堵した。

 

「やっぱ…失尾(見失う事)した時の答えって意外に単純っすね」

「だな… 」

 

そんな会話をしながら後続の私達も右折したのだが、彼女の車はまたすぐに、同じ右折のウインカーを点滅させる。

 

「なるほどね。右からすぐ右へ曲がったから、昨日は全く分からなかったんだなぁ… 」

「っす!ここでやられたっすね」

 

ナビで確認すると、彼女が曲がった路地の先は、途中で更に何本かの小さな路地へ枝分かれしているのだが、それらは全て蟻の巣のように行き止まりになっている。彼女の自宅が近いと直感した私達は、彼女と同様に再右折する事はせず、そのまま彼女だけを行かせる格好になった。

 

「……意外にゴールは近かったんだな」

「……そのようっすね… 」

 

少しやり過ごした後、路肩が広くなっている場所へ車を停車させた私は、彼女が自宅に入るタイミングを待っている。

 

「しかし…なかなか見ない道の分かれ方だな。新興住宅の団地か何かだろうか? 」

「いや、どうっすかねぇ…僕もこの辺には入り込んだ事が無いっすよ」

 

20年以上この仕事をしていても、未だ分からない道がある。そんな自分達の未熟さを感じながら時が過ぎるのを待っていた。

 

「Yくんどう思う?ここ、車で入っていいと思うか? 」

 

狭い路地には通常、その辺の住民しか通らないものが多い。車で探す方が遥かに効率はいいが、万一、女性と鉢合わせでもしてしまえば、あまり良いものでは無い。

 

「さぁ…どうっすかねぇ…でも道に迷ってる体で入れば、あまり問題無いと思うっすけど… 」

 

Yくんの意見ももっともだと思える。しかし、単に自宅が判明しただけでこの女性の素行を調べたとは言えない。当然に明日以降もどんな動きをしているのか観察する必要はある。

 

それともうひとつ。現に今、中川佳恵は監視した映像の全てをチェックしている最中な筈だ。どんなペースで確認しているかは知りようも無いのだが、もしも不正を見つけて川北事務長と中川佳恵が管理栄養士の女性に詰め寄ったとすれば、いきなり出勤停止とか、彼女そのものの動きが変化する恐れもある。

 

「やっぱYくん、面倒だけど歩こう」

 

私が少しだけ考え込んでいる様子を見て、何を言わんとするか察知したYくんは「仕方ないっすね」と気怠そうに返事をしながら助手席を降りた。

 

この路肩に停車させていれば、さして問題は無いだろう。私もハザードランプを点滅させるとエンジンを止め、Yくん同様、車を降りた。

 

(続く)

 

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弊社は情報を管理する会社である都合上、上記のお話だけに限らずブログ内、全ての「グダグダ小説」は全て「フィクション」です。実在する人物、団体は、私を含むスタッフ以外、すべて架空の物です。弊社で行われた調査とは一切関係ございませんのでご了承のうえお楽しみ戴ければ幸いです!それからお話の途中で設定が「おかしいな??」と、感じる部分があっても所詮「ド素人小説」なのでくれぐれも気になさらないように♡読んで頂く皆様の「想像力」が全てです( ´艸`)

いつも弊社のヘッポコブログに足を運んでくださる皆様には感謝しかございません<m(__)m>

 

今日は朝から1日ぎっしり調査予定が詰まっている為に「新緑の頃」はお休みさせて頂きます。予定では(60)くらいで最終話を迎えるつもりなのですが、それはいつも通り「予定は未定」ってヤツでニヒヒ

 

鈴木里美という新メンバーを迎え、このお話は始まりましたが、架空の人物故、どんなキャラクターかすらもまともに定まっていません。これからお話を進めていくうちにきっと決まってくる事でしょう。Yくんに関してはいっそ架空か幻になって欲しいと願う今日この頃です…

 

早いもので新緑の頃に始めたこのお話も現実にはすっかり「梅雨」になってしまいました。きっと新しいお話を始める頃には「うだるような夏」になっちゃうのでしょうね…

 

どうぞ明日も読んでやって下さい

 

 

梅木 栄二

 

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「まさか2人は夫婦って事は無いっすよね? 」

「それは無いよ。だって名前だって違うからな」

「そうっすよね… 」

 

退屈しのぎにそんな会話を交わし時間を潰す私達。陽はすっかり暮れてしまい、今では県道を走る車さえほとんど無かった。

 

日付が変わるまで待って川北氏に動きが無ければ、引き上げよう。そんな事をYくんと話していた時、丘の上から車のヘッドライトが下ってくるのが見える。

 

「あれか? 」

「ライト見ると…多分っすね」

 

車内で身を屈めて様子を窺う。丘を下りきった時一瞬だけナンバーの大きな数字だけが見えて、それが川北氏の乗るアウディだという事が分かる。

 

「中川佳恵といい、川北事務長といい、結構いい暮らししてるもんなんだな… 」

「そうっすねぇ… 」

 

別に2人が羨ましく思える訳では無い。しかし、2人が乗っている車はいずれも新型で普通のサラリーマンに買えるような代物では無い。そんな事からも北條病院が充分に収益を上げ、職員の暮らしを支えているのは容易に想像出来る。

 

一方で、あの管理栄養士はどうだろうか。もっとも乗っている車や住んでいる家だけで本当の暮らしを図れる訳ではないだろう。しかし、それでも彼女は中川佳恵と違い、正式な資格を持った専門職である筈だ。一般職の中川佳恵と単純比較しても腑に落ちない。

 

「おい、Yくん」

「何すか? 」

「あの管理栄養士、独身だと思うか? 」

 

私は川北氏の車が走り去った後、車をゆっくり出しながら尋ねた。Yくんは暫く黙っていたが「さぁ…どうっすかねぇ… 」と、言葉を濁す。

 

映像で見る限り、特に特徴の無い、女性には失礼な物言いだが、所謂「年齢不詳」に見える人物だった。見た目には30代くらいに感じるが、20代後半だと言われても40代だと言われても驚きはない。化粧っ気の無い、管理栄養士とは言い難いくらいに細く、血色が悪い。そんな印象だ。

 

当然に彼女の事を深く知るのは明日以降になる。どんな結果が待っているのか想像も付かないが、それでも調査は進んでいる。

 

「ヤツの家が近付いてきたみたいっすよ」

「だな… 」

 

通りの少ない夜間の尾行だったが、変に気負いもなく、最悪見失ってもいいくらいに力の抜けた感覚で尾行していたので、拍子抜けしてしまう程にあっさり川北氏の自宅を把握する事が出来た。私達はまた少し時間を置いた後にそこへ近付き、お決まりの撮影を行う。

 

郊外とはいえ、なかなかの邸宅だ。門柱にある「Kwakita」の表札がその豊かな暮らしぶりを存分にアピールしているようにも見える。

 

「さぁ…今日は帰るか」

「っすねぇ… 」

 

思わぬ副産物的に川北氏と中川佳恵の関係を炙り出す事が出来たが、それでも栄養士を逃してしまったのは少しだけ悔しく、心残りだ。

 

「メシ…どうする? 」

「寄って帰りたいっすけど、里美ちゃんまだ作業しているんじゃないっすか? 」

「それもそうだなぁ…じゃあ事務所帰って決めるか? 」

「っす! 」

 

ほとんど車とすれ違う事も無い夜道の中、私達は事務所へと走った。

 

(続く)

 

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