【12時25分】
じっと張り込みを続けている私達の前に、柏原幸広達が姿を現す。どうやら、パチンコでそれなりの成果が上がったのだろう。外へ置いてある灰皿の傍で煙草に火を着けて彼が一服始めると、同行していた女性は景品交換所の方向へ小走りで向かっている。
「ありゃパチンコに勝ったって解釈でいいのかい? 」
「十中八九そうっすね」
定時の見回りでも柏原幸広、女性共に結構な出玉を積み上げていた事から、ほぼ間違い無いだろうと断定出来た。
「もしかして今日は上がりか? 」
「さぁ、そればかりは分かんないっすよ昼休憩の可能性もあるっす! 」
「そうか… 」
昨日と同じようなリズムでは無い可能性が出てきた事に少し安堵しながら、私達は彼らの動きを注視している。ほんの2、3分待っていると、すぐに女性が柏原幸広の元へ駆け寄り、現金を手渡しているのが見えた。
「やっぱり今日は帰るっすかねぇ… 」
「かもな… 」
予想通り、柏原幸広は自宅方向へ向かって歩き出す。女性も彼の腕に自分の腕を絡ませ同じ方向へと歩いていく。
「行こう、Yくん」
「っす! 」
そう思った矢先に2人が国道へ出た所でタクシーを停めたのが見えた。瞬間、思わずYくんに「待って! 」と制し腕を引っ張った。
「タクシー乗るぞ!ちょっと待て!! 」
私がそう叫んだ事で、Yくんは再び助手席に乗り直し、2人の動向をじっと見つめている。
「勝ったせいか気が大きくなってるっすね」
「だな。豪勢なランチでも喰いにいくのか? 」
「かもっすね! 」
自分達が尾行されている等とは、全く考えもしない2人とタクシーの後をついていく事はそう難しくは無い。私は出来るだけ国道で離されぬ様に後ろへついて車の流れが途切れるのをタクシーと同じように待った。
暫くすると信号で車の流れは堰き止められて、タクシーはスムーズに出ていく。同じ様に私達も、タクシーの後をついていく。
「どこ行くっすかね?この暇人達は? 」
「さぁな… 」
昼間から豪勢にもタクシーで2人が向かう先など考えもつかない。せいぜい、いつもよりはちょっといい昼食を離れた場所で食べるくらい。勿論、さっきYくんに言った通りだ。時間だってちょうど昼時だし。
我ながら行動予測の貧困さに呆れつつも、慎重に尾行を続ける。持っていたハンディカムは既にYくんに手渡されていて、肝心な標識毎、どの道を通って移動したかを念の為に記録していく。
「こりゃ街だな… 」
「みたいっすね… 」
「面倒くせぇな… 」
「右に同じっす… 」
当たり前の話だが、繁華街で降りられて徒歩でブラブラされれば、当然に2人とも車を置いて後を追わなければならない。神経は遣うし大変な事この上ない。勿論、この仕事には尾行が付きものだから仕方が無いのは分かっているのだが。
【12時45分】
「着いたっすね… 」
「だな… 」
タクシーがハザードランプを点滅させ、昨日女性が降りた所と、そう変わらぬ場所に停車するのを見た。
(続く)
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