(こちらもどうぞ・・・・宜しくお願い致します)
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T氏の事を忘れ・・・・たとは言えない3日ほど経った日・・・・私の携帯電話が鳴った・・・。
「ん?」
電話の主は紛れも無くT氏であった・・・。
「はぁ~・・・・どうしたんだろ??」
「はい。梅木です・・・。」
「梅木さん・・・・た・・・たたた大変です!!」
「どうしました?」
「や・・・や・・やっぱり騙されました!!」
「騙された?」
「例の・・・・I社ですよ~・・・・」
「・・・・・」
私は狼狽した・・・・・。半分分かっていた事とはいえ・・・
「騙されたって・・・どういう事です?」
「I社に調査依頼したんですが・・・」
「まぁ・・・落ち着いて話して下さいよ・・・・」
話はこうだ。T氏は金額の安さと相談員の押しもあり、I社と契約を締結した・・・。
しかし契約を締結した途端、I社の対応が変貌する・・・。
T氏は相談員の「全て任せなさい!」の一言を信じ調査依頼したにも関わらず、I社は一向に動こうとはしない・・・。
「今日は別の調査が入っている。」
「今日は奥さんはきっと動かない。」
「こっちに任せるっていったでしょ!」
「ご主人・・・あんたがそんなだから奥さん浮気すんだよっっ!!」
まぁ・・・・簡単に言えばそんな流れである・・・。
T氏はさらに続けた・・・・
「しまいには私の電話に出なくなりました・・・・」
「そうだったんですねぇ・・・・・。」
「わかりましたTさん・・・私がお取引させて頂いている弁護士の先生をご紹介しましょう。」
「いえ・・・それは・・・」
「どうしました・・・?」
「やはり・・・相手が相手なので・・・・ちょっと怖いですから・・」
「Tさん・・・何言ってるんですか!そんな輩怖がったってしょうがないでしょう!!心配ないですよ」
「いえ・・・いいんです。」
聞くとお金については契約金額の半分しか入金していないらしい・・・。私はどうしたものかと暫く考え込んだ・・・。
「Tさん」
「はぁ・・・」
「弁護士にお願いすれば少し位お金はかかると思いますが・・・本当にそのままでいいんですか?」
「はぁ・・・・それで・・・」
「それで?」
「改めて・・・梅木さんに・・・お願い出来ればと・・・」
「はぁ?」
流れから言えば自然なのかも知れないが・・・私は全く予想だにしないT氏の言葉に暫し戸惑う。
「Tさん。」
「はぁ・・」
「まだI社との契約は残ったままなんですよね。」
「はぁ・・・そういう事になるんですかね・・・」
「勿論そうでしょう。私達は社内規定で他社と2重契約は出来ません・・・結局I社とは料金を返す返さないではなくちゃんとお話をしないとお引き受け出来ないんです・・・。
「はぁ・・」
別に意地悪をしている訳ではない・・・。ちゃんとケジメを付けないとT氏の今後に不安を残すだけである・・・。
「ですから・・・・私と一緒に弁護士事務所に行きましょう」
「はぁ・・・」
「それともヤメときますか?」
「いや・・・・分かりました・・・」
私達は同業者とは直接「折衝」しない・・・。なぜなら業者と顧客の間に入れば余計に業者は「意地」になる。それよりキチンと弁護士等を通じて折衝を行なった方が後に問題が尾を引かなくて済む。
私はT氏とS弁護士の事務所を訪れた・・・。
S弁護士「おぉ・・・梅ちゃん・・・元気だった?」
「はい。先生、お久しぶりです・・・すみません・・・お忙しい所に無理やり時間を取って頂きまして・・・。」
「ははは・・・全くだよ・・・無理やり今すぐ会いにくるなんて電話よこしやがって(笑)お前くらいだぞ。そんな奴ぁ・・・」
「本当に申し訳ありません・・・実は今日お連れした・・・こちらはTさんです。Tさんのご相談に乗って頂きたくて・・・」
「あぁ・・・そう。」
T氏「宜しくお願いします・・・・」
「なんだい?奥さんの事?」
「いえ・・・まだそこまでも行っていなくて・・・」
私は・・・・そこで全てを先生に任せ帰ろうと決めた・・・。
「それでは先生・・・私はここで失礼します」
「なんだ?お前帰っちゃうの?」
「はい・・・今回は同業に対する苦情相談なもので・・・」
「なるほどね・・・・梅ちゃんらしいやなぁ・・・」
「申し訳ありません・・・何卒宜しくお願いします・・・」
私は狐に摘まれた様な顔をしたT氏を残し弁護士事務所を後にした・・・・。
他社の苦情相談→弁護士事務所→解決→当社と契約・・・・私はこのパターンは嫌いである。
一端、お客様から離れなければそれは他者の商売を見ようによっては「邪魔」しただけに過ぎないと考えるからである。お客様は業者と契約を解除した時点で、一気に緊張感が緩む。その後、また新たに覚悟してまでお客様が調査依頼したいと思うかどうかは誰にも分からない・・・。
そんな時・・・私が傍にいれば当然・・流れで断る事が出来なくなってしまう。
私はそんな契約は望まない・・・・お客様の意思で決めた契約ではないから・・・。
別に格好を付けたい訳では無い・・・・「苦情」やお客様の心が違うところにある状態で仕事を進めて行く事自体が「嫌い」なだけである・・・。
だから・・・・未だに「ボンビー」である・・・・。
勝手知ったる何とやら・・・で先生と私は別れた・・・・・。
翌日・・・・・改めてT氏から電話を頂いた・・・・・・・
(続く)