脱9条のススメ    護憲・リベラルのための憲法9条講座 -12ページ目

脱9条のススメ    護憲・リベラルのための憲法9条講座

かつてガチガチの9条平和主義者だった私がその大矛盾に気づいてしまいました。
様々なテーマでリベラルの視点から、具体的・論理的に脱9条論を展開します。

2015.3月   

   報道ステーション “観光立県をめざす沖縄”

九条嬢: おはようございま~す。

私: うわ、こんなに朝早く誰ですか。あ、九条さんのお嬢さん、どうしたんですか。

九条嬢: 昨日の(3.26)報道ステーション見ましたか。

私: いきなりそういう話ですか。いや、私は報道ステーションは録画して翌日の朝見るんだ。今、洗濯も終わってコーヒー煎れてこれから見ようと思ってたとこ。

九条嬢: じゃあすぐ見ましょう今見ましょう。前半は飛ばして最後に沖縄の特集してるんです。すぐ見ましょう。

私: うわ、上がり込んできたよ、図々しい娘だね。

   ・・・・・・・・・・

   基地は雇用創出のための存在ではない

九条嬢: どうでした。

私: いや返還された米軍の跡地にこんなにホテルが出来て雇用も創出してるなんて知らなかったよ。USJが来るって話もあるし楽しみだね。

九条嬢: そうでしょう。そうでしょう。基地時代の何倍も雇用作って、もちろん米軍犯罪も無くなって、まさにフィリピンに続け、ですよね。

私: えーと。しかし雇用の数で、基地とホテル比べても意味あんのかなあ。いやそりゃ雇用の大切さは私もかねがね言ってることだし大いにケッコウなんだけどこの2つを比べてもなあ。

九条嬢: ほーら、またケチを付けるんですか。

私: いや例えば田舎の小さな村に駐在所があるとしましょう。どんな穏やかな村でも、犯罪のハの字もないような村でも、そこにおまわりさんがいつも居るってのは村人にとってはそれは心強いものなんだよ。

九条嬢: はい、それは解ります。

私: 一方この村にはそうだな、大手食品メーカーの下請けの加工工場があるとしよう。でパート正社員合わせて地元から30人ばかり雇っていると。

九条嬢: はい。

私: でも駐在所が雇ってるのはおまわりさん一人だけ。オマケに地元の村人雇ってるわけでもない。

九条嬢: ・・・・・はい。

私: この2つを雇用の数で比べても何の意味もないでしょう。そもそも存在の目的が違うんだから。

九条嬢: でも沖縄の基地問題って言うと今までずっと雇用とか沖縄経済の下支えみたいな意味で沖縄にも必要なんだって言われてきたじゃないですか。

私: そうだね。そういう意味で今回の、沖縄が観光立県として成り立つって話はとても画期的だと思うし、この特集もとても意味があると思う。

九条嬢: でしょ、でしょ?

私: 今まではまるで、“基地という迷惑施設も雇用を生むからしょうがないか” みたいな歪んだ視点が定着してしまってたからね。でも沖縄で基地なしでも経済も雇用も成り立てば基地の本当の意味を考える事ができる。

九条嬢: ほんとうの意味?

   九条嬢 “基地があれば美しい海は潰すし爆音はうるさいし・・・”


私: ほらさっきの、村の駐在所の話だよ。駐在所は何も村の雇用のためにあるのでは無いって。
基地だって本来雇用のためにあるのじゃなくて沖縄なり日本なり更には東アジアの平和を守るためにあるのだって。

九条嬢: でも基地があれば、観光資源である美しい海は潰すし、爆音はうるさいし、観光立県を目指す沖縄にはジャマなだけだって報道ステーションも言ってたじゃないですか。

私: 確かにそういう一面はあるさ。でもチュニジアの例を思い出してご覧よ。

九条嬢: あのテロのあった?

私: そうそう。あのチュニジアも地中海を挟んで対岸にヨーロッパ、素晴らしい観光地だったと言うじゃないか。

九条嬢: すっごい大きなクルーズ船が地中海巡りしてたみたいですね。

私: アラブの春を経て、民主化されたチュニジアはまさに観光立国として大きく一歩を踏み出していたのに今回のテロだ。九条さんは地中海巡りの旅でチュニジアに行きたいと思うかい?

九条嬢: そ、それは、しばらくはちょっと・・・・。

私: そうだろう?日本の外務省だって渡航注意のランクを一つ上げたって言うし、どんなに観光資源に恵まれ、リゾートホテルが乱立して、豪華客船の寄港地になって、世界中から観光客が押し寄せたって、そこが観光客の命に関わる戦乱の地だと思われてしまったら観光立国もへったくれも無くなってしまう。もちろん雇用も吹き飛ぶ。

九条嬢: じゃあ沖縄を観光立県にするのは無理だっていうんですか。

私: 無理じゃないから外国の観光資本も押し寄せてるんだろ?専門家が見立ててるんだからきっと間違いない。その素晴らしい観光資源と雇用を守るためにも基地はいるってことさ。何しろ沖縄は国境の島であり、そのすぐ向こうでは中国が沖縄県の尖閣を取ろうと毎日押し寄せてるんだから。
沖縄県内で万が一にも戦乱でも起こされたら観光客なんか寄り付かなくなってしまう。今のチュニジアと同じことになるってこと。


 九条嬢“基地があればテロの標的になるじゃないですか”

 私 “米軍基地が無くなれば尖閣に中国軍基地ができるって”


九条嬢: やっぱり観光立県であるより基地の街のほうが沖縄にふさわしいって言うんですか。
 でも沖縄の人だって基地で働くよりリゾート施設とかではたらくほうがずっと幸せだと思う。

私: だからそういう基地か観光地かみたいな二者択一じゃあないっていってるんだよ。
素晴らしいそして安全な観光地であり続けるためにも基地は必要だって。そういう意味じゃ沖縄自身にとってこそ、今まで以上に基地が必要だとも言えるじゃないか。戦乱の恐れのある観光地なんてだれも寄り付かないさ。

九条嬢: でもアメリカの基地があるってことは反米勢力のテロの標的になることでもあるわけでしょう。米軍基地が無ければ反米テロの標的には絶対ならないわけだし。

私: そういう可能性は確かに否定出来ないね。でも基地がなければもう確実に尖閣に中国軍が上陸する。これは可能性なんてもんじゃない。確実に、だ。で、さっさと中国軍基地作って、まさに“フィリピンに続け”状態になるわけだ、中国にとってね。で、沖縄には米軍基地は無くなったけれど中国軍基地はできましたってスゴイことになる。

  

九条嬢: いっそ尖閣みたいな無人島、中国にあげちゃえばいいじゃないですか。

資源とかは日中でシェアすることにして、中国にはこれ以上は日本の領土に構わないように約束させて。それで日中間が安定するなら安いもんだと思う。

私: そういうふうに考える九条派の人や若い人が多いって話は聞いたことあるけど。

九条嬢: 私の周りのひと、みんなそういってますよ。
 
私: まず歴史を振り返ってみればそんな“不可侵条約”みたいなのは、国家間の力関係とか国際情勢が変わればいとも簡単に破られてしまうものなんだ。中国とそんな約束取り付けたって何の意味もなさない。

九条嬢: そんな、約束を破るなんてヒドイじゃないですか。

私: うん、全くヒドイ。わが日本国にはぜったいそんな国にはなってほしくないね。でも世界にはそんな国があるんだから日本もそれに備えなくちゃしょうがない。

九条嬢: で、尖閣に中国軍基地ができたらどうなるって言うんですか。どうせ沖縄本島にミサイル打ち込まれるとか言うんでしょう?

私: 中国はそんなことしないさ。沖縄本島の港に輸送船とか客船乗り付けて少しの軍人にちょっとした武器を持たせて、あとは大量の経済人やら一般民間人を粛々と上陸させる。

九条嬢: パスポートもなしに?

私: だってこの話は米軍基地も自衛隊も無かったら、って話なんだろう?ということはこっちには普通のおまわりさんしかいないんだから、武器持った軍人の上陸を阻止できないさ。で沖縄は中国の一省か、自治区かなんかになる。で、中国人主導の観光都市が出来上がる。もちろん中国軍基地付きのね。

九条嬢: いっそ沖縄はそのまま国際都市になって、中国人も日本人も仲良く暮らせばいいじゃないですか。そうすれば戦争の心配もなくなるし。

私; チベット自治区とか新疆ウイグル自治区とかって知ってますか。


九条嬢: えっと、名前だけは。

私: チベットは元々独立国だったのに中国に武力侵略されて中国の自治区にされたんだ。新疆ウイグル自治区はホンの数年を除けば独立国だったことは無いけどイスラム教を信仰するウイグル人という、漢民族とは全く異なる人々がいて今は一応中国の自治区とされている。で、今そういう自治区で何が起こっているかといえば、漢民族がどんどん移住して経済も政治も牛耳っている。移住しちゃえばその自治区の住民ではあるわけだから、経済力で全く合法的に他民族を支配できるわけだ。“自治”もへったくれもない。

九条嬢: それって例えば民族独自の言語の使用を禁じられるとかですか。

私: うん、いいところをつくね。でも実際にはそんなヤバンな政策を打ち出すまでもない。中国語を使えることを雇用の採用条件とかににしちゃえばチベット人やウイグル人は仕事にも着けない、漢民族だけがいい仕事や重要ポストに付く、そういう社会になってしまうということ。そんな“国際都市”に沖縄がなればいいって思いますか?

九条嬢: そんな沖縄はもちろん嫌だけど、

  でも今の米軍基地中心の沖縄でいいともとても思えないです。

  私: それは私も全く同じです。


九条嬢: え、そうなんですか。今までずっと基地の必要性を説いていたじゃないですか。

私: 基地は必要さ、中国を挟んだ国境の島なんだから。

九条嬢: 何ワケのわかんないこと行ってるんですか。

私: だから。基地は必要だけど米軍基地じゃない方がいいに決まってるってこと。

九条嬢: 中国軍基地の方がいいんですか。

私: そんなわけないでしょう。自衛隊の基地があって、日本人がしっかりと沖縄と日本を守ればいいってことですよ。独立国なんだから。まあ日米同盟まで解消しろとは思わないけど。そうすれば反米勢力のテロの標的にもならない。

九条嬢: ああ、それなら米軍基地よりずっといいですね。

私: えっ、ほんとにそう思うの?私はてっきり九条さんも九条氏と同じように全ての基地も軍隊も認めない、って考えかと思ってたよ。

九条嬢: あれ、確かに私そういう考えだし両親からはずっとそう教えられて来たんだけどなあ。自衛隊の基地ならいいって私、言いました?

私: 言った言った確かに言った。

九条嬢: おっかかしいなあ。熱でもあってうなされたのかなあ。まあいいや、今日は帰ります。朝からおじゃましました。

私: ひひひひひ、ふふふふふ、へへへへへへ。



領土問題などどうでもいい、尖閣など中国に挙げてしまえ、と言う九条さんへ

も御覧ください


2015.3月   

   イスラム国による日本人誘拐事件をめぐる検証番組

私: まさか九条さんの娘さんにお目にかかれるとは思いませんでしたよ。

九条嬢: 先日は父がお世話になりました。父ったら最後に取り乱してしまって、合わせる顔がないから、今度はお前が話してて来いって。ダンコ論破してこいってハッパ掛けられてきました。(笑)

  【Mr.九条との対話・イスラム国問題とどう向き合うべきか 】参照

私: いえ、取り乱してしまう気持ちはよくわかりますよ。なにしろ九条さんはかつての私自身なんですから。

九条嬢: えっ?

私: いや、それはともかく、今日はどういった話から始めますか。

九条嬢: 先日“報道ステーション”で、例の“イスラム国”による誘拐事件を巡る日本政府の対応を検証する番組をやっていたんだけど見ましたか。

私: ああ、見ましたよ。この時期、改めて経過を検証するのはとてもいい企画だと思いました。

   日本政府は身代金を払うべきだったか

九条嬢: そうですか、それなら話が早いです。番組によれば日本政府は初めっから身代金を払う気はなかったと言うことでしたね。これについてははどう思いますか?

私: うーん、これはですね、なんとも言えませんね。アメリカ・イギリス並みの毅然とした態度でよかったという思いと、金額の交渉ぐらいしてもいいじゃないかという気持ちと半々ってとこですか。

九条嬢: あら、今日はえらく歯切れが悪いですね。やはりあの番組で少しは考えを改めたということですか。

私: 別にそういうわけじゃないです。私だっていくらかのお金で日本人の生命が救えるのならそれに越したことは無いって気持ちは充分にありますよ。

九条嬢: あらそうなんですか。じゃあ日本政府はちゃんと交渉して、一方安倍さんはあの時期に中東なんか行かず、行ったとしてもあんな演説ぶたなければ、後藤さん達は救えたかもしれないですよね。

私: そりゃあ後藤さん・湯川さん二人だけの命だけ救えればいいんだったら、それがベストですよ。

九条嬢: ええ、ベストですよね?え、なんですかその“だけ”ってのは。

私: いや、身代金を日本政府が出して二人を救出すれば、これは間違いなく“日本人を誘拐すればカネになる”っていうメッセージになるわけでしょう。対“イスラム国”に限らず他のテロリストや一般のプロの誘拐犯に対しても。
てことはこれから先も日本人は誘拐の危険にさらされるわけで、たとえあの二人の命だけ救えたとしても喜んでばかりはいられないってことですよ。
一方でアメリカ人やイギリス人は誘拐しても絶対カネにはならないというメッセージがイスラム国には確実に伝わっているわけで、まあ個人で出せる範囲の身代金なら別ですが。

九条嬢: しかし“報道ステーション”でも言っていたじゃないですか、フランスだって、公式には認めていないけど18億ドルもの身代金を払って人質をとりもどしたって。あなたの好きな“テロとの戦い”で先頭に立っているフランスだって、人質を巡る交渉では人命第一で妥協だってするってことですよね。フランスにできて日本に出来ないって事はないでしょう?

  フランスはテロと闘いつつ身代金も払っている

私: まさにフランスとの違いはそこですよ。

九条嬢: え?

私: フランスはホントにテロと戦ってますからね。“イスラム国”の支配地域をぼかぼか空爆してる。その上で、自国民が人質に取られたら開放交渉だってするってことです。いわば普通の誘拐事件に例えれば、犯人と身代金交渉もするし人命第一でお金も用意するけど、一方で警察も動いて犯人逮捕に全力を尽くすってことです。

九条嬢: それは普通そうしますね。

私: でも日本が“イスラム国”相手に身代金交渉するって事は、警察は何も動かずに身代金だけ渡すって事になってしまう。まさに再犯の勧め、誘拐の推奨になってしまうんですよ。

九条嬢: じゃあ日本も空爆しろっていうんですか。

私: いやそれは出来ないし、今すべきでもないと私も思います。

九条嬢: じゃあ、どうすればいいっっていうんですか、あなたは。

私: だから身代金交渉は一切しないって選択も正しいと思うし、もし身代金交渉するんだったら、せめて空爆とかして現実にテロと戦っている国に支持の表明ぐらいはしなきゃって事ですよ。いわば一般の誘拐事件で自国の警察動かせないんだったら、せめて他国の警察の応援ぐらいはしなきゃってこと。口先だけでも。

九条嬢: それじゃ前回の父との対談のフリダシに戻ってしまうじゃないですか。結局“イスラム国”と戦う国を支援するって安倍さんの演説はそれで良かったって。

私: そうですよ。私は何も変わっていない。

九条嬢: でも“報道ステーション”の検証は良かったって言ったじゃないですか。

私: ええ、この時期ちゃんと経過を検証したのはとても良かった。私が知らなかった事実もいくつか教えてくれたし。

九条嬢: “報道ステーション”の検証が良かったと認めるのなら、日本も身代金払って二人を開放させるべきだったって結論になるじゃないですか。

   報道ステーションのモンダイ点


私: そこが“報道ステーション”のモンダイ点なんですよ。フランスのやり方の一面だけを取り上げて、さあ日本も見習えばよかったって。さっきも言ったように一方でフランスは空爆をしている。空爆と身代金の支払いはセットで成り立っているんです。あなたの言うように“テロとの戦い”からは逃げておいて、身代金だけ払っていたら、日本は完全に“イスラム国”の“お得意さん”になってしまう。世界中のテロ組織やプロの誘拐犯の草刈り場・資金源になってしまうじゃないですか。

九条嬢: “報道ステーション”が間違っていると言うんですか。

私: 間違っているというより、事実の半分しか伝えていない。本来セットである、あるいは事実の光と影の両面のうち、光の面しか伝えていない。フランスの人命第一の人質開放が上手くいったっていう光の一方で、影には空爆があるってことをね。勿論フランス人はそんな事“影”だなんて思っていないだろうけど。

九条嬢: ・・・・・・。

私: “報道ステーション”って、そういうの多いんですよ。以前に長野智子だったかがレポートした特集で、フィリピンの米軍基地が撤去されて、跡地に工業団地作って雇用も二倍になって米兵犯罪も無くなって、めでたしめでたし、ってのがったんです。

九条氏: ああ、それは私も覚えてます。フィリピンに出来るのだから日本にだって、特に沖縄にだって出来るじゃないか、後に続け、と思ったもんです。

私: それがまさに事実の光の面だけだっていうんですよ。その後フィリピンで何がおこったかといえば、中国と領有権を争っていた南沙諸島をあっという間に中国に取られてしまった。フィリピンは慌てて一般空港の使用を米軍に認めたり、更にアメリカとの軍事同盟を再締結したりしたけど後の祭り。今や南沙諸島はどんどん埋め立てが進んで空港まで作られてしまった。いくらアメリカだって中国と戦争してまで一旦実効支配されてしまった同盟国の領土まで取り返してはくれませんからね。“報道ステーション”の特集じゃそんな事一切触れませんでしたけどね。

(追記・その後、フィリピンは“外国軍の基地は置かない”と定めた憲法を改正。米軍基地が復活した)

九条嬢: いや、南沙諸島に中国が空港作ってたのは“報道ステーション”でもやってましたよ。

私: まあ一般ニュースではね。ただ米軍基地の撤退とは関連付けていなかったし、もちろん以前の“特集”のめでたしめでたしの成れの果てがこうなんだって言う視点は全くなかった。
同じようにフランスが“イスラム国”を空爆してるニュースはやるけど、人質開放の身代金支払いとは全く無関連のニュースなわけ。普通に考えればこの2つはセットなんですよ。  

九条嬢: でも、でも、極端な話、ちっちゃい島の一つや2つ取られたって、米軍基地が無くなって、米兵犯罪も無くなって、基地じゃなく工場で働けたらそのほうがずっといいじゃないですか。戦争にもならなかったんだし。  

私: フィリピンの人達がホントにそう考えて選択したんならそれはそれでいいですよ。でもあわててアメリカに空港を提供して軍事同盟再締結したってことは、フィリピン政府も完全に読み違えていたってことでしょう。中国を甘く見ていた。米軍基地の持つ抑止力を軽く見ていた。

九条嬢: ・・・・・・・。

   九条嬢“安倍がイスラム国を敵視したから後藤さん達は殺されたんで         しょう?”

私: ああ失礼、話がそれましたね。今日のテーマはイスラム国への日本の対応、フランスを見習うべきか、でしたね。

九条嬢: 私はやっぱりフランスみたいにちゃんと交渉して身代金払ってでも後藤さんたちを取り戻すべきだったと思う。

私: だからそこは私も反対しませんて。ただあなた達が言うように“イスラム国”を敵視したから後藤さん達が殺されたっていうのは違うと。フランスみたいにモロ敵視して空爆までして、その上で“敵”と交渉して取り戻すのはアリだってことです。

九条嬢: でも“イスラム国”の声明では“日本がイスラム国と戦う国に支援すると言ったから後藤さんたちを人質にした、身代金払え”ってハッキリ言っていたじゃないですか。

私: そりゃ彼らは何とでもいいますよ。そんな言い分いちいち聞いてどうするんですか。テレビでサッカー見てただけで殺された少年たちは、少年たちが悪いんですか、エジプトのコプト教の人たちが殺されたのは彼らがコプト教であることが悪かったんですか。世界的文化遺産をぶち壊していくのはそんな“偶像”を崇拝するのが悪いんですか。“イスラム国”の言い分ではそういうことになるんですよ。

九条嬢: でも後藤さんは“イスラム国”の敵では無いでしょう?後藤さんのお母様だって“健二はイスラム国の敵ではありません”て言ってたし。

私: “イスラム国”にとっては味方でなければ敵か金づるのどちらかでしょう。まさか後藤さん、“イスラム国”の味方になりに行ったわけじゃないだろうから、敵じゃないと見なされれば金づると見なされたってわけでしょう。

九条嬢: そんなんで殺されちゃったんじゃあんまりヒドすぎるじゃないですか。

私: そうですよヒドすぎるんですよ、“イスラム国”は。だから世界中が“イスラム国”と戦っていたり少なくとも戦っている国を支援支持しているんじゃないですか。親米国も反米国もね。それをあなた達は日本だけは“イスラム国”を敵視しちゃイカンという。

九条嬢: だって安倍が敵視したから後藤さん達は殺されたんじゃないですか。

私: だからそうじゃないって、話が前に進まねえなあ。

   九条嬢 “もっと話しあえばいいんです”

九条嬢: だって現に後藤さん達は殺されたじゃないですか。で、あなたはフランスの空爆も正当化する。そうやって憎悪の連鎖、復習の連鎖が止まらない。戦争にのお決まりのパターンだってわからないんですか。こんな戦争もう終わりにしなきゃいけないんです。

私: あのねえ、じゃあどうしたら良いと九条さんはお考えですか。

九条嬢: “イスラム国”の人達とももっと話しあえばいいんです。

私: その議題は?

九条嬢: “イスラム国”の人達だって理由があってあんなことをしてるんだから、その要求にも耳を傾けるべきです。

私:彼らの要求ははっきりしてますよ。全人類がイスラム教に、それも彼らが掲げる“歪んだひとりよがりのイスラム教”に改宗することです。その要求を呑むんですか。

九条嬢: そんな要求は飲めないけれど話しあえばきっと妥協点はみつかります。そうすればこんな殺し合いを止められるわけだから。

私: どんな妥協点?全人類はかんべんしてもらって、せめて半分ぐらいが“イスラム国”に編入することで許してもらいますか。

九条嬢: そんな、ふざけないで下さい。例えば今の現状を認めていわばその地域をシェアして停戦ラインを引く、とか。

私: え、じゃあ、武力とテロによって国境線を変更させる事を認めるってことですか。

九条嬢: そうじゃないけどこれ以上テロや空爆っていう戦争で殺し合いが続くよりいいじゃないですか。

私: 冗談じゃない、そんなもの国際社会が認めたら、世界中にもっとテロと戦争がはびこってしまうじゃないですか。何しろやったもん勝ち、取ったもん勝ちを認めてしまうんだから。

九条嬢: じゃあどうしたらいいんですか。

私: あのねえ、

こういう問題には予め用意された正解なんて無いんですよ。

目の前の課題に対しひとつひとつその時ベストと思われることを各国が連携を取りながら自分の国にあったやり方で行動してゆくしか無いんです。現場のまっただ中のクルド人部隊は地上戦で“イスラム国”と戦い、フランスやアメリカ、いくつかの周辺のイスラム圏の国は空爆で食い止め、日本は難民支援等で“イスラム国”と戦う国を支援する、一方全ての国が“イスラム国”に加わろうとする者を出国時に食い止める、それでダメならまた考え次の行動を起こす。勿論この間あなたの言う“話し合い”による解決を模索する動きもあって良いし。

九条嬢: あ、話し合いもアリなんですか。

私: そりゃ、現状の“領土”は認められないけど、例えば“イスラム国”を解散すれば幹部の命は保証するとかそういう話はあってもいいでしょうね。アメリカとかは認めないだろうけど

九条嬢: あ、それ、いいじゃないですか、話し合いによる解決、大賛成です。

私: ただそんな話し合いのテーブルにつかせるためには“イスラム国”を相当軍事的に追い詰めないといけないでしょうね。

九条嬢: それじゃいつまでたっても争いは終わらないじゃないですか。

私: そうだね、そうなるかもしれない。

九条嬢: それにいくら空爆を繰り返しても“イスラム国”を潰滅は出来ないって人もいますよ。

私: そうだね、私もそう思う。世界の何処かで形を変えて生き続けると思う。


九条嬢: じゃあ、いくら空爆したって意味無いじゃないですか。


私: あのねえ、たとえば国内の事件で一生懸命犯人を追っているおまわりさんに“そんなことして犯罪が無くせると思ってるんですか”ってあなた聞きますか。


九条嬢: …・・・いえ。

私: でしょう?テロだろうが犯罪だろうが永遠に無くならなくたって、目の前の悪や不合理はひとつひとつ取り除いていくしか無いんですよ。もちろんその一方でテロや犯罪がおこらない社会作りは進めていかなくては行けないけど。

九条嬢: じゃあいったいこれから何人殺し合えば気がすむんですか!

私: 気がすむとかじゃなくてー。あの、あなた達ってこの地球上に本来あるべき“地上の楽園”があって現実世界がこれと違うって嘆いているだけに見えるんだよね。

九条嬢: 理想を描いて何が悪いんですか。

私: 理想を描くのは悪くないさ。ただその理想に向けて目の前で起こっていることをしっかり捉えてひとつひとつ解決していくしか無いじゃないか。100点満点の解決法なんて無いんだから、それが上手く行くときもあるし失敗することもあるけど。

九条嬢: ほらまたそうやって空爆を正当化する。戦争を正当化する。また戦争が繰り返される。
罪のない人が殺されてゆく。うううっ。

私: え、な、泣いているの?

九条嬢: 泣いてなんかいません!あなた達みたいに理想も持たず、現状追認の屁理屈ばかりが上手な戦争好きの人達がいる限り、私は決して泣きません。

私: そこにテイッシュあるけど・・・・。

九条嬢: この世に戦争がなくなった時こそ私は喜びの涙を流します!ぐしゅっ、帰ります!

私: あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







 


2015.2月 

 安倍晋三の演説が無ければ後藤さん達は殺されなかったのだ・・九条氏

 目の前でイジメがあっても関わらないほうがいいって事ですか・・私


私 :九条さんは今回の一連のイスラム国を巡る事件についてどうお考えですか。
日本人二人が惨殺されるという最悪の事態に至ってしまったわけですが。

九条氏 :そもそも安倍が中東まで行って、“イスラム国と戦う国を支援する”とか言うから、イスラム国にとって日本は敵とみなされたんだ。だから二人は拉致され殺された。

私 :中東まで行ってもイスラム国については何も触れないほうが良かったというわけですか。  

九条氏 :そう。あの時点で後藤さん達二人が誘拐拉致されていたのは、政府として把握していたというじゃないか。ことさらイスラム国をを刺激するべきではなかった。ただ中東支援、難民支援に2億ドル出すとだけ表明しておけば、日本人が敵とみなされることはなかったのだ。

私 :それって、イジメを目の前で見た時、止めに入ったりしなければ自分が次に標的にされる事もない、 だから関わらない方がいいっていうのと同じリクツなんじゃないですか。

九条氏 :なにも中東と関わるなといってるんじゃないんだ。イスラム国を刺激しないような形で、実際には、 イスラム国の被害に会った地域や難民を支援すればいい。

私 :それってイジメの現場は見ないふりして通りすぎておいて、あとからイジメられた子を慰めたり傷の手当をしたりしてあげればいいってこと?

九条氏 :いや、見ないふり、とかじゃなくて、少なくともその“いじめっ子”に対して、面と向かって“俺はお前の敵だ”とか言わないほうがいいでしょう。そのいじめっ子を刺激しないほうが。

私 :つまりは目の前のいじめも止めに入らないほうがいいと。

九条氏 :いやそれは止めに入るのは理想ではあるけれど、いじめっ子は凶暴で腕力も強いし喧嘩慣れしてるしで、ボクみたいなひ弱な男が止めに入ったって、何の力にもなれないし。

私 :それって日本がイスラム国に武力行使はできないって話ですか?

九条氏 :そうそう。何しろ日本には世界に誇る憲法9条があるし、武力行使は出来ないしするべきでも無い。今までもそうすることで中東においても平和国家としての信用を築いてきたわけだ。それを安倍の声明が台無しにしてあの誘拐殺人につながったと、そういう流れがあるわけだよ。

私 :いや、9条との関連はともかく、私だって、今、日本が空爆に参加しろとか地上軍を派遣しろとか言ってるわけじゃないです。安部首相だってそんなことは言ってない。ただ“イスラム国と戦う国を支援する”と。さっきのイジメの例えで言えば、いじめっ子を力ずくで押さえつけなくてもいい。いや腕っ節に自信が無ければ止めに入らなくってもいい。でもせめて勇気を持って止めに入ってる子や最後は力ずくででもイジメをやめさせようとしてる子を“支持する”ことぐらいは出来るでしょう。“ボクは暴力は苦手だから手出しできないけど、今止めに入っているヤマダくんの味方だし、応援してからね”って、遠くからでも叫ぶべきでしょう。もちろんその上でイジメられた子を慰めてあげるのも大事だし。子供にはそう教えませんか?

九条氏 :いや、キミのイジメの例えはなかなか面白いけど、そこが例えとしての決定的な弱点だね。

私 :というと?

九条氏 :イジメなら例え勇気を出して止めに入って、いじめっ子から報復を受けても、まあ殺されはしない。いざとなったら、先生にでも親にでも、なんだったら警察にでも届ければ今の時代、なんとか対処してくれるさ。ところが相手がテロリストじゃそうは行かない。最後は殺されてしまうんだ。

私 :後藤さんたちみたいに。

九条氏 :そういうことだ。

私 :つまりイジメなんかに比べてイスラム国のテロリズムははるかに凶悪・巨悪であると。

九条氏 :うんうん、だからイジメなんかのいわば些細な悪とどう向き合うかなんて例え話を持ちだしても意味が無いってことだよ。もちろん実際にいじめにあっている子の辛さは大きさで測れるもんでは無いけどね。

私 :つまり、些細な悪には立ち向かっても最後は誰かが助けてくれるからいいけど、巨大な悪には立ち向かうべきでは無いと。誰も助けてくれないし。


九条氏 :キミねえ、机上の正義を振りかざすのは簡単だけど、イスラム国のテロに立ち向かうって事はアメリカの言う“テロとの戦い”に参戦するってことで、つまりは日本が戦争に巻き込まるって事なんだよ。

私 :イジメを止めに入れば、次に自分がねらわれることはあるでしょうね。

九条氏 :ホラ見ろ。じゃあ君は日本が戦争してもいいっていうのか。

私 :そりゃあ戦争なんかしないほうがいいに決まってるけど、目の前でイジメが起こっていれば何とかしたいじゃないですか。普段大人たちは子供にそう教えて居るわけでしょう?本題に戻れば、目の前で、戦時下の国際法すら無視した虐殺が広がっていれば何とかするべきじゃですか。

九条氏 :例え戦争に巻き込まれてもか。

私 :だーかーらー、戦争には巻き込まれたくないけど、テレビでサッカー見ただけで子どもたちが何十人も殺されるなんて状態、何とかしたいじゃないですか。自分の身さえ安全ならいいってもんじゃ無いでしょう。

九条氏 :例え戦争に巻き込まれてもか。

私 :そうなったらもうしょうがないでしょう。イジメを止めに入れば報復されることもあるってことで。もともと悪いのはむこうなんだし。報復を恐れていたらなにもしないほうがいいってことになる。

九条氏 :ついに正体を現したな。

私 :えっ?

九条氏 :やっぱり君は戦争肯定の軍国主義者だったのだな。


私  :えっ?

九条氏 :戦争賛美の日本再軍備論者だったのだな。

私  :いや、そうじゃなくてー。なんでそうなるのかな。全く不当に虐殺される人達を何とか救いたい、日本としても何とかするべきじゃないかと言ってるだけなんですけど。

九条氏 :そのためには戦争も辞さず、か。歴史を振り返れば、戦争は常にそうした正義の仮面を 着けて始められるのだ。

私 :じゃあ日本さえ戦争に巻き込まれなければ何処で何人罪もない人が虐殺されてもいいっていうんですか。国家の目的って報復をされないことじゃないでしょう。戦争をしない事、じゃないでしょう。人々がより幸せに生きる事、より多くの人々がより平和に生きる事が出来るように国家は尽くすべきなんじゃないですか。

九条氏 :“強い国より優しい社会っ!”。すぐに国家国家って言葉を振りかざす奴が戦争をしたがるんだ。そうして庶民が戦争に駆り出されて、庶民同志が殺しあう。それが戦争ってもんだ。キミも少しは戦争の歴史を勉強しなさい。

私 :かつてそういう戦争があった事は私だって知ってますよ。でも歴史を振り返れば、戦争の形って一つじゃないでしょう。侵略に立ち向かった戦争もあったし、植民地の人達の自由を求めた独立戦争だってあった。そんなやむを得ない、窮鼠猫を噛むような戦争もあなたは全否定するんですか。もっと言えば、それこそ庶民同志が殺し合いをしていたコソボ紛争を、とにかくも停戦に持ち込んだのはNATO軍が介入して空爆して、双方に停戦合意させたたからでしょう。まさにその“優しい社会”を守るためにも作るためにも最低限の国の強さは必要だって事でしょう?

九条氏 :そんな屁理屈をこねてまで戦争を賛美したいか。戦争がしたくてたまらないか。人殺しがしたいというのか。

私 :だからそうじゃなくて-。

九条氏 :よろしい。そこまで人殺しがしたいのなら、まずボクを殺してから行け。そして戦争でも何でも始めて、日本を破滅へと導くがいい。だがな、よく覚えておけ。ボク一人を殺そうとも、そこを突破口にお前たちみたいな戦争賛美者がアメリカと組んで戦争を始めようとしてもな、そうはいかないぞ。なぜなら日本には憲法九条があるからな。九条を守っている限り日本は絶対に戦争はできないのだ。どうだ恐れいったか。この人殺しが。さあ殺せ-。ボクを殺して戦争でも何でも始めてみるがいい。ははははは。ははははは。はははははははははは。

私 :・・・・・・・・・・。