こんにちは!オトノアジト音楽教室の渡邉です。

GW(ステイホーム週間)も始まり、あっという間に5月に突入です。🌱

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

オトノアジト音楽教室は未だ休講期間中ですが、その間にできることを運営メンバー一丸となり動いています🔎

さて、それでは金曜日!本日は文献紹介のコーナーです。📚

 

医療崩壊・・・

 

新型コロナウイルスの影響で、昨今は「医療崩壊」という単語を耳にすることが多くなりました。

最前線で命を張っていらっしゃる医療従事者の方々に感謝しつつ日々過ごしています。👨‍⚕️👩‍⚕️💉

 

…と、そのような経緯から最近は医療に興味津々の渡邉です

(神代さんもこの記事で「仁」にハマってらっしゃるとのことでしたね😁)。

そんな中で思ったことがこちら。↓

今日の疑問:音楽と医療って結びつくのかな?

字面だけ見ると一見結びつかなさそうなこの2項目。🎼💊

しかし、近年は「音楽療法」という言葉もポピュラーになってきているので、

なんとなく関係性があることをご存知の方も多いのではないでしょうか。

ここで、1つ動画をご紹介します!

突然ですが、文献の内容に入る前に動画を見ていただこうと思います❗️

 

文章で「医療」となると急に難しい話に思えてきてしまうので…ウォームアップをかね、

まずは映像と人の話し言葉で、医療における音楽の力を感じていただきたいのです😊🤸‍♀️

前回の記事でご紹介した「多感覚知覚」を踏まえて、いろいろなアプローチをしてみてたくなっています👀笑

ロバート・グプタ「音楽と医学の間で」

米国ロサンゼルスを拠点とするロサンジェルス・フィルハーモニックで

バイオリン奏者を務めるロバート・グプタ(Robert Gupta)氏のスピーチです。🎻

(音声は英語ですが、動画右上の3点から日本語字幕をご覧いただけます。)

 

 

以下、TED公式ページからの引用にて、スピーチの概要をご説明します。🗣

ロバート・グプタは医師になるべきかバイオリン奏者になるべきか思い悩んでいた時、自分の進路はその中間にあるのだと気づきました。

手にはバイオリンを持ち、心には社会的公正の意識を抱いて進むことにしたのです。

社会の周縁にいる人々と、従来の医学では上手くいかない領域で成果を上げている音楽療法の力について語った感動的なスピーチです。

いかがでしたでしょうか。

さまざまな病気に対して音楽が効果的に働くということ、言語能力を高めるために音楽が有効であることなど、

驚くべき音楽の力について触れられています。

音楽が医療にもたらす可能性を感じられる内容となっていますね💪💥

 

それでは、今日の文献の内容に入りましょう!🏃‍♂️🏃‍♀️💨

今日の文献:自閉症における言語の神経経路について:音楽療法の可能性

本日ご紹介する文献はこちら。↓リンクから論文に飛ぶことができます(英語。上記のタイトルは邦訳したものです)。

Neural pathways for language in autism: the potential for music-based treatments

米ハーバード大学医学大学院のゴットフリード・シュラーグ(Gottfried Schlaug)教授および

Catherine Y Wan(キャサリン・ワン)氏による研究です。🔬

先ほどのスピーチで、グプタ氏がシュラーグ教授の研究室を訪れたと話していましたね。

 

この論文では、

音楽が自閉症を持つ子どもの言語活動にもたらす影響に

ついての研究がまとめられています。

 

Melodic Intonation Therapy 

ゴットフリード・シュラーグ博士は、メロディック・イントネーション・ セラピー(Melodic Intonation Therapy)と呼ばれる

主要な音楽療法の1つを提唱した人物として知られています。

これは言葉を歌唱の形で引き出し、発語・発話を促進するというやり方です。

驚くことに、失語症のせいで言葉を発することができない人でも、歌の旋律に合わせると

なぜかスラスラと言葉が出てくるのです。😳🗣

自閉症との関係性

すこし本文を読んでみましょう。

自閉症の子どもたち(言葉の遅れを特徴とする)の発話において、音楽がどのような影響をもたらすかが

紐解かれていきます。

Musical stimuli have been shown to activate brain regions associated with the processing of emotions, such 

as the insular and cingulate cortex, hypothalamus, hippocampus, amygdala and prefrontal cortex, thus further highlighting the therapeutic potential of musical activities in autism.

(訳)音楽的な刺激は、脳の島皮質・帯状皮質・視床下部・海馬・扁桃体そして前前頭皮質などといった「感情を処理する部分の働きをを活性化させる」ことを示してきた。それゆえ、さらには自閉症における音楽活動の治療的側面での可能性を強調しているのである。

 

固有名詞が多いですが、音楽が脳の感情処理を司る部分を活性化させるという事実が書いてありますね。🧠

自閉症の治療法としての音楽の有効性も仄めかしています。

もう少し読み進めていきましょう。

 

Motor activity (through playing an instrument) not only captures the child’s interest, but also engages a sensorimotor network that controls orofacial and articulatory movements in speech. The sound produced by the instrument may also facilitate the auditory–motor mapping that is critical for meaningful vocal communication.

(訳)楽器演奏による運動活動は子どもの興味を惹きつけるだけではなく、口顔および発話における調音運動をコントロールする感覚運動のネットワークに関わっているのである。

楽器から生み出される音は、意味のある音声コミュニケーションにとって重大な聴覚運動のマッピングを促進し得る。

楽器演奏は、言葉を話す際に必要な感覚に対しプラスの影響を与えると述べられています。

医学的にプラスの影響があると証明されている点はもちろん魅力的ですが、子どもの興味を惹きつけるということは

子どもにとっても無理なく意欲的に取り組める活動、ということになりますね💡

音楽だからこそできることなのではと思います。🤔

 

Research has also shown that the dopaminergic system plays an important role in some aspects of language processing (e.g., grammar) and that this system also mediates musical pleasure in individuals with autism. Moreover, a common network appears to support the sensorimotor components for both speaking and singing, and engaging in musical activities has been shown to improve verbal abilities in language-delayed children.

(訳)ドーパミン作動性のシステムは、文法等、一部の言語処理の側面において重要な役割を果たすことが研究によって明らかになった。そしてそのシステムは自閉症を持つ個人に対し音楽的な喜びを与えるということも分かった。

さらには、発話と歌唱の双方における感覚運動の構成要素に対し、共通のネットワークが見つかり、それらがその構成要素を支えているように見える。そして、音楽活動に取り組むことは言葉の遅れが見られる子どもたちの言語能力を高めることも判明した。

「発話すること」と「歌うこと」この2つの行為の構成要素において共通のネットワークが人間には存在していることがわかりました。

だからこそ、子どもの言語能力を高めるのに音楽は効果的なのですね。

また、自閉症を持つ個人に対し音楽的な喜びを与えるとあるように、

音楽は精神的にもポジティブな影響を与えてくれるのです。

一石二鳥ですね。🦉

ちなみに、前々回の記事でストレスと音楽の相関性についてまとめてあります💡

 

これは個人的意見ですが、「音楽セラピー」「音楽療法」という単語に対して、

まだまだ胡散臭さやスピリチュアル要素を感じてしまう方は多いと思うのです。🤔

 

しかしながら、このように医学的な研究で音楽の力が証明されていくと、

より医療×音楽のコンテンツに対する信頼度も上がっていくのではないかと考え、嬉しくなっています。

もちろん、病状の改善には精神的な面も大事なのは承知しております!

 

おわりに

今回は、医療と音楽の関連性に注目して書かせていただきました。💉

音楽教室のブログから医療の話だなんて突拍子もないと思われてしまうのではと、はじめは心配でした😓

 

みなさんが慣れ親しんでいる音楽は、実は意外にも医学との繋がりがあったのです。👀

意外と他人事ではない!医療!

実は、音楽教室という立場から「医療現場は他人事でない」という発信をし、

遠回りすぎますが医療従事者の方がへのエールとなれば良いな…との気持ちも密かにあり、書き進めておりました。✏️

 

GWはステイホームで、健康第一に過ごしましょう!

また教室でレッスン再開できる日を心待ちにしております😻

 

 

なお、宣伝になってしまいますが、オトノアジトでも発達サポートクラスで、

自閉症スペクトラム(ASD)等、発達の気になるお子様向けの音楽レッスンをご用意しております!

もし宜しければホームページよりご覧ください。

私も講師を担当しております!

 

おまけ

前回に引き続き体験できるコンテンツをご紹介します👶

今回は少しカタい内容でもあったので、最後はぜひこちらで遊んでいってください🎠

 

なんとシュラーグ教授の研究室HPから、音程の聞き分けテストを受けることができます!

聞き分けテストは👉こちら👈から。

 

私も実際にやってみましたが、途中から結構難しくて苦戦しました🤔💧

イヤホンまたはヘッドフォンをご用意の上、

ぜひおうち時間でお子様と一緒に試してみてくださいね!🏡🎧

 

参考文献

✔︎自閉症者の言語能力改善における音楽療法の可能性, 近畿大学臨床心理センター紀要, 第6巻, 2013-11-01

✔︎Catherine Y Wan & Gottfried Schlaug, "Neural pathways for language in autism: the potential for music-based treatments", Future Neurol., 2010

✔︎Gottfried Schlaug教授 研究室ページ, 2020年4月28日

✔︎TED, (2012, 10月3日), Between music and medicine, Retrieved from <https://www.youtube.com/watch?v=qx6KK-eT4qw>

 

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今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

 

さて、日常に潜む音楽関連の疑問を解決する形で進めてまいりました

こちらの音楽研究紹介コーナーですが、この形式での更新は、ひとまず今回でおしまいです。😌

 

しかし、オトノアジトの研究は続きます!⚗🌡

 

文献紹介はまた別形式にてお届けいたします。😊

オトノアジトならではのコンテンツとしてパワーアップして戻ってまいりますので、乞うご期待ください!

 

ご意見・ご質問や「オトノアジトにこんなことを調査してもらいたい!」等々は、

引き続きコメント欄にてお待ちしております!!!!!

 

以下に今までの文献紹介をまとめましたので、宜しければご覧ください!✏️👀

第1回:音楽教育の力〜コミュニケーションとの関連性〜

第2回:音楽とストレスの関係〜自粛ストレスを吹っ飛ばせ!〜

第3回:音楽と味覚の関連性〜チョコの味が変わる?おうち時間で試してみよう!〜