こんにちは、はじめまして。オトノアジト音楽教室の渡邉です!

普段は発達サポートの講師と、幼児リトミックのサポートをしております。

(オンラインでは英会話レッスンも担当🗣

 

今日は金曜日ですので、保護者の皆さま・教育者の方々に向けて、音楽に関連した文献をご紹介します。

 

 

文献紹介・・・?

文献紹介と聞くと、何やら肩肘張った雰囲気になってしまいますが、内容は簡単!

このコーナーは「音楽ってこんな力があるんだ!💡」「こんな歴史があるんだ!👀」

と、音楽の新たな一面を知っていただけるような内容となっています。

音楽のいろいろな顔を、学術的な観点から皆さんに知っていただければと思います。

 

それでは、早速始めていきましょう🏃‍♂️

今日の疑問:科目「音楽」はどうして存在するのか?

…急に何を言い出すんだというような見出しになってしまいましたが。
1度考えてみて頂きたいのです。💭
 
当たり前のように幼稚園では歌を習い、小学校では「音楽会」というイベントに参加する。
我々は教育の中に、いわゆる勉強科目(国語・算数・理科・社会等)とは違う
「音楽」を、疑問もなく受け入れているわけです…それは、なぜでしょうか?
 
小学校における音楽教育は、明治5(1872)年にスタートしました。
「学制」が公布された時期に唱歌教育が始まったことに端を発しています。
かなり前ですね。
100年以上前(❗️)から小学校での音楽教育は始まっていたのです。
 
そんな昔から存在するということは、当たり前といえば当たり前のことなのですが、
教育において重要な側面があるから、ということでしょう。
 

前置きが長くなってしまいましたが、今日のテーマはズバリ、

その「教育において重要な側面」とはなんなのだ!?という話になります。

それでは文献の紹介に進みます。

今日の文献:音楽によるコミュニケーションの必要性(Ⅰ)-人間の成長過程の中で-

本日ご紹介する文献はこちら。↓リンクから論文に飛ぶことができます。

音楽によるコミュニケーションの必要性(Ⅰ)-人間の成長過程の中で-

長崎県立大学 国際情報学部 国際交流学科 三輪宣彦教授の研究です。

音楽が持つ「教育において重要な側面」のうちの1つ、

「コミュニケーション的側面」を分かりやすく理解できる小論文です!

 

この小論文は、人間社会における音楽の起こりの解説に始まり、

乳幼児〜児童の、それぞれの発達過程における音楽の役割を紐解いていく、という内容になっています。

(10ページほどの読みやすいボリュームです📚)

 

起源から見る、音楽の性質

音楽の起源については確たる共通理解は得られていないが、

人間の声を伴う感情の昂ぶりや意志の伝達と深い関わりがあったと捉えることができる。

音楽の起源については諸説あるとされていますが、

多くの説に共通するのは、音楽はもともと他人に何かを伝えるための伝達手段であったこと、すなわち

「コミュニケーションの一環」であった事実です。

(ここでは割愛しますが、論文内「1. 人間社会における音楽の起源と特質」に、諸説についての記載があります。)

 

つまり、コミュニケーション手段となる要素を、もともと音楽は持っているのです。

 

「何かを伝える」行為は、人間社会において欠かすことのできない重要なもの。*

子どもたちが社会で生活していく上で必要な能力を、音楽教育は与えることができる、ということになります。

*コミュニケーションスキルの向上は、社会的スキルの向上と比例関係にあることが、大坊・栗林・中野 (2000)の実験によって明らかになっています。

 

それでは、もっと具体的に見ていきましょう。

児童と音楽の関係

さて、みなさまにはごく一般的な「小学校の音楽の授業」を思い浮かべていただければと思います。

(画像はバンドですが…)個人でリコーダーを練習したり、音楽会に向けてグループ演奏の練習をしたり。

そう、この「グループ演奏」。小学校ならではですよね。

三輪は、このグループワークに注目しています。

 

一般的な社会性の発達という面からも、グループにおける活動の意義は重要であり、とりわけ児童期の音楽体験という局面において、グループのもたらす効果は大きい。このことは、音楽の内包する社会性、すなわち仲間と共に演奏する喜びと達成感、演奏する者と聴くものとが一体化する相互関係や感動の共有と無関係ではない。このような音楽を媒体とした人間関係はグループ演奏によるアンサンブルに最も如実に表れる。アンサンブル教育はこうした社会的意義の他に、感情や心を音によって表現する人間の持つ基本的なコミュニケーション能力の育成に関わるものであり、前述のように、これからの人間関係を豊かに築き上げていくものと考えられている。(中略)

こうした共有体験の積み重ねは個と集団を認識し、グループの中の自分の役割りとグループ全体としてのまとまりを把握し、互いの心的交流を深めていく。

 

「他人は自分を映す鏡」とよく言われますが、他者の存在は、子どもが自身の中身を深く知るために重要な存在。

「他者と共に1つの事柄に取り組む」行為は、他人との関わり合いを学ぶだけでなく、自身を深く知るきっかけにもなります。

 

何気なくこなしていたあのグループ演奏も、子どもが自身の社会的な役割・位置付けを学ぶことや、

基本的なコミュニケーションスキルを身につけることに繋がっていたのです。

演奏を通じて、社会で生きていく術を学んでいくだなんて、なんだか素敵ですね。

 

おわりに

時節柄、おうちでお子さまと接する時間が増えてきているかと思います。

「おうち時間🏠」に音楽を使った、お子さまとのコミュニケーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。

より詳しい情報を知りたい!という方は、参考文献もチェックしてみてください。

参考文献

三輪宣彦, 音楽によるコミュニケーションの必要性(Ⅰ)-人間の成長過程の中で-, 県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要, 12-20, 2005

奥田昌代, 小学校音楽科教育の変遷と展望, 大阪信愛女学院短期大学紀要 47, 1-10, 2013

瀬戸尊, 音楽教育と人間形成, 幼児の教育, 07-01, 1967

大坊郁夫, コミュニケーション・スキルの重要性, 日本労働研究雑誌, 2006

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最後までお読み頂きありがとうございました。

それでは次回もお楽しみに!

ご意見・ご質問等々コメント欄にてお待ちしております。😊