こんにちは。オトノアジト音楽教室の渡邉です!

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、先週から始まりました金曜の文献紹介コーナー📚

本日はタイムリーな話題に合わせてお送りしていきたいと思います!📢✨

 

自粛ストレス・・・

最近よく耳にする言葉ではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で広がる自粛ムード。💭

「自粛疲れ」「自粛ストレス」こんな言葉が飛び交うようになっていますね。

 

「カラオケ行けない!」「ライブが中止!」🎤💥

ストレス発散をする場が無くなっている、という声も多く聞こえます。

当たり前のように「カラオケでストレス発散!」なんて言ったりしていますが…

今日の疑問:あれ?音楽ってストレス解消になるの?

ストレス発散の道具としてカラオケは人気ですよね。

ライブやフェスでワイワイストレス発散するも、ごく普通のこととして捉えられているのではないでしょうか。

では、それは何故??

 

 

今日のテーマは「音楽って本当にストレス解消に効果があるのか!?」という話になります。

音楽がストレス解消になんらかの力を持つことは、なんとな〜く皆さまも感じていらっしゃる&聞いたことがあるのではないかと思います。

しかし、それに関する研究にまで触れることはなかなかないのではないでしょうか!

 

…というわけで、文献の紹介に進んでいきましょう!🏃‍♀️

今日の文献:音楽の授業は子どもたちのストレスを下げる

本日ご紹介する文献はこちら。↓リンクから論文に飛ぶことができます。

音楽の授業は子どもたちのストレスを下げる

 

服部安里氏(京都教育大学附属京都小中学校)

豊島久美子氏(大阪樟蔭女子大学)

福井一氏(奈良教育大学音楽教育講座)による研究です。

 

音楽とストレス緩和についての研究は多数あるのですが*、

今回は、オトノアジトらしく音楽教育にフォーカスしている研究を取り上げます🔍💡

 

この文献では、とある公立中学生徒30名に対し実験と調査を行い、

音楽の授業の前後で、生徒のストレスや不安にどのような変化があるかを示しています。

 

そして実験および調査結果を踏まえた上で、

音楽教育はどのような形で子どもたちに有益性をもたらすか?音楽教育の存在価値とは?という検討をしている(←ここが重要❗️)内容となっています。
 

*J-POPを聴くことにより自律神経のバランスが整ったという実験結果や

ライブに参加することがストレスの減少に繋がることを科学的に示した研究を

参考文献に記載しておりますので、宜しければご覧ください💁‍♀️

 

音楽教育の存在価値を「共感性を育むもの」として定義

前回の記事にも書かせていただきましたが、

音楽は「他人に何かを伝えるための伝達手段」「コミュニケーションの一環」として起こったものであるという説が多く存在します。

音楽は社会性を高めるツールとして古来より用いられてきたと言われているのです。

この論文でも、そのようなことが述べられています。

子どもにおける社会性、特に共感性の欠如は子どもの心において大きな問題となると述べた上で、

古来より社会的ツールとして使われてきた音楽であれば、「ヒトの共感性を養う」要素があるのではないか?

との検討を冒頭で行っています。

また、音楽が持つストレス軽減効果にも着目しており、下記のような記述があります。↓

音楽のもつ効果を学校の音楽科教育において利用し,子どもたちのストレスを軽減し,共感性を高めることが出来るのであれば,音楽科教育の目的を「共感教育」に求めることが可能となるであろう。

本研究では,音楽科教育の存在意義を,これまでの「情操」にかわり,「共感性」に見いだすことを目的とし,心理学指標及び生理学指標を用いて音楽科教育が生徒に与える効果を科学的に検証する。

「情操教育」のためのものであると言われる音楽教育ですが、

「共感性を養い」「ストレスを軽減する」有益な存在として、新たに音楽教育を位置付けられるか否かーー

その科学的検証手段として前述の実験を行う、という流れとなっています。

 

音楽科教育が生徒に与える効果を科学的に検証

 

それでは、実際の実験内容を見てみましょう。

実験は,音楽の授業(i.鑑賞,ii.合唱)を,それ ぞれ異なる日に実施した。

実験の流れは, 1 )授業前の唾液採取及び心理テスト,2 )音楽の授業(i.鑑賞,ii. 合唱), 3 )授業後の唾液採取及び心理テスト,である。 

授業は,音楽科教諭により行われた。鑑賞及び合唱の両授業では,混成三部合唱「しあわせがあつまるように(山 本瓔子 作詞・大田桜子 作曲)」が取り上げられた。

また, 授業外において,音楽行動に関する質問紙及び日本語版 STAIC-II(特性不安のみ)を実施した。

回答後の質問紙は,プライバシー保護のため,生徒自らに厳封させた。

ちょっと用語が複雑ですね…

つまりは、

音楽授業の前後の唾液データ・心理テスト、そして不安尺度や共感性を測定できる質問紙調査結果から、

音楽の授業が生徒の心理状態にどのような影響を与えたかを明らかにした、というわけです。

唾液からはストレスホルモン数値を測定でき、質問紙調査は信頼性・有用性があるものを使用しています。

実に科学的❗️⚗

な〜んとなくの感覚ではなく、音楽がどのような影響を子どもに与えるのか、科学的に知ることができます。⚖

 

結果は…

音楽科の授業は,全被験者のC値を減少させ,その効果は授業内容が「鑑賞」でも,「合唱」 でも有意であることが明らかとなった。

この結果は,音楽の授業は,授業内容,音楽活動の嗜好に関わらず,子どもたちのストレスを減少させる効果があることを示した。

(C値とは、ストレスホルモンの値です。ストレスの大きさと比例関係にあります。)

実験の結果、音楽の授業は子どものストレス軽減に効果的だと証明されました!

 

ちなみに共感性については…

もともと共感性が低い群の生徒は,音楽の授業により,共感性が高まったといえる。

もともと共感性が低い子どもには、「共感性を養うもの」としての効果があるとわかりました。

すべての子どもたちに対してではありませんでしたが、少なからず共感性を養うものとしても、音楽は作用するのですね🌱👀

前回の記事ではコミュニケーション力を高める効果についてお話ししましたが、

その中でも共感性にのみ注目すると、このような結果になるのですね…🤔なるほど。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

音楽はストレス解消に効果的なのだとわかりましたね💡

ちなみに私のおうちストレス解消法は、音楽を聴きながらの筋トレです。🏋️‍♂️‍♀️

音楽を聴きながらやるからスッキリするのかなぁ、と、この論文を読んで感じさせられました。

 

今までの生活が一変して、ストレスを大きく感じていらっしゃる方も多いかと思います。

ストレス解消のお供には、ぜひぜひ音楽を!🎼

情勢が落ち着いて、外で音楽を楽しめる日が待ち遠しいですね。

参考文献

・音楽の授業は子どもたちのストレスを下げる, 服部 安里, 豊島 久美子, 福井 一, 奈良教育大学紀要 64, 11-30, 2015

・音楽刺激が心拍変動に与える影響, 青木 孝志, 足達 義則, 鈴木 昭二, 国際生命情報科学会誌, 27, 1, 2009

・Attending a concert reduces glucocorticoids, progesterone and the cortisol/DHEA ratio, Daisy Fancourt, Aaron,  Williamon, Public Health, 2, 2016

 

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今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
ご意見・ご質問または「オトノアジトにこんなことを調査してもらいたい!」等々、

コメント欄にてお待ちしております。😄

それでは次回もお楽しみに!