6月11日
「こんにちは。本日のニュースです。元東京都知事の〇〇氏が何者かによって殺害されました。被害者は、政治金の不正使用の疑いがあり、そのまま辞職していました。警察は、、、」
テレビでアナウンサーが話している。最近のニュースで最もホットな話題だった〇〇氏の殺害は驚いた。
「物騒ねえ。」
と母が言いながらテレビを消す。
「さ、侑李。早く学校行きなさい?」
「うん。ご馳走様。」
僕は立ち上がり、ジャケットを着て、バッグを右手ににぎり玄関に行く。玄関で靴を履いて、傘を左手に持ってドアを開ける。ザーっと言う雨がうるさいので一瞬家を出るのを躊躇うが、1歩足を踏み出し傘をさして歩き出す。
駅のホームで携帯でtwitterを見ていた。皆『HORN』の話ばかりをしている。電車が、まもなく来る合図のメロディが流れた時だ。携帯の画面とメロディが一瞬止まり、一人の男の声が流れる。『HORN』だ。
「こんにちは。皆さん。昨日は投票していただけましたか?昨日の投票の結果、〇〇氏が殺害対象に選ばれました。」
その場がわっとどよめく。それと同時に轟音を立てて電車が僕の前に止まる。電車に乗りながら彼の声を聞く。
「ね?なにも分からないでしょ?投票してない人もした人も。罪悪感なんて感じることはありません。彼は大罪を犯したのですから。皆さんの血と涙の結晶を私利私欲の為だけについてったんですから。クズです。カスです。自由を、人権を、思いを冒涜した行為だ。殺されて当然だ。」
彼は少し声を荒らげいていた。そして一呼吸置いてこういった。
「警察の皆さん。〇〇氏をやったのは私だ。捕まえたければ捕まえなさい。私は絶対に捕まることは無い。さあ、かかってきなさい。」
彼は両手を広げそう言った。その直後、画面は元に戻った。電車の車内は、ざわついていた。みんな驚きを隠せない様子だった。

この事件の直後警察が公式に、『HORN』を指名手配する方針を示した。が、一方て『HORN』を救世主とするものも多少現れ始めた。

6月12日
昨日の雨と打って変わってとても晴れた朝だった。世間は今日は誰が殺されたのだろうと、少しずつ『HORN』に、興味を示しだした。