6月13日
その日、内閣総理大臣は、殺された。
「ありがとうございました!皆さんのご協力のおかげで、私の計画は、1つ。前へと進みました。皆さんの新しい世界はすぐそこまで来ています。今日は昼の12時に皆さんにお知らせがあります。それまで、お楽しみにしていてください。お願いします!」
彼は朝の八時そう言った。ネットでも電車の中でも学校でも皆「HORN」の話で持ち切りだった。ほとんどの人間が彼の作る新しい日本。に興味を示していた。マンネリ化した毎日に訪れた変革は、混乱と期待を同時に孕ませた。
「こんにちは。本日のニュースです。本日の未明首相官邸から火が上がっているのが発見されました。原因はブレーカー付近からの発火と見られており、放火の疑いはない。と言う警察の発表です。これと同時に警察は、「HORN」と名乗る男についての捜索を続けていくと発表しています。」
今朝のニュースは、こんな感じだった。この国は、どう変わっていくのだろうか。
ああ。疲れた。ここ数日全然寝れていない。最悪だ。「HORN」とか言う人騒がせな革命家のせいで私たち警察は眠ることも出来ない。最悪だ。
「ええ。今日殺害されたのは内閣総理大臣だ。正直事故としか認められないが、奴が犯行声明を発表しているので我々としては調査をしない訳には行かない。そもそもだが、この「HORN」と呼ばれる彼はどこの誰なのか。調べる必要があると我々は見た。そこで、一から彼のことを調べて欲しい。高松!横西!」
俺たちの名前が呼ばれる。
「1からやつのこと調べてくれ。」
「分かりました!」
と横西が元気に答える。仕事が与えられたのが余程嬉しいのだろう。
「はい。」
とため息混じりに答えてしまう。めんどくさい。
「さあ!何から始めますか!」
「よくもまあ、そんな元気よくいられるもんだな。」
「だって、こんな大仕事!」
「だからめんどくせーんだよ。」
「よし!じゃあまず聞き込みからですね!」
「マイナンバーの情報からだ。」
「なるほど!さすがです!」
「お前が馬鹿なだけだ。」
そして俺達はマイナンバーデータから「HORN」のデータを探すことにした。整形などをした場合でも変更届を出さねばならない。しかもその人物がどこで何をしていたかも国の機密情報として防犯カメラの映像などが保存されている。だから、日本に存在する人間であれば必ずここにヒットするわけだ。
「えーっと。この顔写真でいいですか?」
「そうだな。昨日のハッキング時の動画だな。」
「はい。」
横西が画像ファイルを、添付し検索をクリックする。
「検索結果無し。」
そこに表示された言葉を俺たちは、理解できなかった。
「どういうことですか。高松さん。これ。」
「分からねえ。やつは日本に来たことがない外国人ってことかもしれねえな。」
「じゃあなんでわざわざ日本に?」
「分からねえがこれは、よっぽどやばい事になってる可能性があるな。」
「報告に行きましょう!」
「ああ。そうしないとやべえな。」
扉を開けて走り出す。
「課長!」
「なんだね。そんなに慌てて。「HORN」がどこの誰だか分かったのかね?!」
「いや。分かりません。何も。」
「どういうことだね。」
「マイナンバーデータからなにも検索されなかったんです。」
「それは、どういうことだ?」
「奴は日本に来たことがない。生まれてもいない。つまり、海外からの犯罪である可能性が高いと考えられます。」
「それは、つまり、海外から日本の政治家を殺害することで日本との外交を有利に進めようってことか?」
「そうかもしれません。分かりませんが、とにかく再度会議を!」
「ああ。分かった。」
その日の12時奴がまたハッキングをした。
「こんにちは!みなさん!大事なお知らせというのは。いよいよ。皆さんにも行動するチャンスが来ます。それは、明日、国会議事堂のまえでデモを起こしてください。」
やつの狙いがなんなのか。俺達にはわからない